入居者募集のキモ。募集条件を見直そう!
(画像=Andy Dean Photography/Shutterstock.com)
木崎涼
木崎涼
大手税理士法人で多数の資産家の財務コンサルティングを経験。ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパートの資格を持ちながら、執筆業を中心に幅広く活動している。

安定して賃貸経営を続けていくためには、一定の入居率を維持する必要があります。入居率を維持するには、入居者の募集条件の見直しが効果的です。ここでは、募集条件を見直す際のポイントや注意点についてわかりやすく解説します。

満室経営を実現する2つの方法

賃貸経営をしていて、空室リスクに悩まない人はいません。入居者を確保し高い入居率を維持できれば、賃貸経営は安定します。入居率を維持するには、入居者にとって魅力的な物件にすることが必要です。入居者にとっての物件の魅力は、主に2つあります。1つ目は物件そのものの魅力です。物件の魅力といえば、新築物件やデザイナーズマンションなどが挙げられます。

また、駅近など立地条件も物件の魅力1つです。しかし、すべてがそういった魅力的な物件ばかりというわけではありません。新築や駅近といったアピールポイントがなかったとしても、魅力的な設備を導入することで入居者を確保することが可能です。忙しいビジネスマンに人気の宅配ボックスや、最近流行りのIoT設備などを導入すれば、他の物件と差別化することができます。

2つ目は、家賃設定をはじめとした入居者のコストです。条件が同じであれば、コストが低い方が魅力的に感じられるのは明らかです。特に家賃など予算は、入居者が最も重視するポイントでもあります。設備投資は入居者確保に効果的な方法ではありますが、まとまった資金が必要というデメリットもあるでしょう。

また、地域や物件の特性をよく理解したうえで設備投資をしなければ、大きな成果を得ることはできません。設備投資の結果、かえって入居者離れを引き起こしてしまうこともあります。その点、入居コストの見直しは、まとまった資金がなくともすぐに実行に移すことができます。返済に支障が出るなど、すぐにでも入居者を確保したい場合は入居コストの見直しがおすすめです。

入居コストを見直す5つのポイント

ひとくちに入居コストの見直しといっても、さまざまな方法があります。代表的な5つの入居コスト引き下げの方法を紹介します。

1.敷金・礼金をゼロにする
2.フリーレントをつける
3.火災保険や家賃保証をゼロにする
4.家賃を引き下げて共益費を上げる
5.物件に家具家電をつける

1.敷金・礼金をゼロにする
かつては、敷金・礼金ありの物件が一般的でしたが、最近では敷金・礼金のない「ゼロゼロ物件」が増えてきました。引っ越しには、ただでさえお金がかかるため、敷金・礼金ゼロ円というのは入居者にとって魅力的です。

2.フリーレントをつける
フリーレントとは、一定期間賃料を無料にすることをいいます。1か月のフリーレントが付いていれば、入居者は初月の家賃は発生しません。入居者の転居コストを下げることでお得感を出すことができます。

3.火災保険や家賃保証をゼロにする
火災保険料や家賃保証の料金を入居者サービスとして不動産オーナーが負担することで、入居者のコストを下げることができます。ただし、火災保険や家賃保証は見た目のインパクトが少なく、「入居者にメリットを感じてもらいにくい」というデメリットがあります。

4.家賃を引き下げて共益費を上げる
受け取る賃料の総額は変わらなくても、ポータルサイト上では家賃の方が大きく表示されることがほとんどなので、入居者の目にとまりやすくなります。また、家賃で検索して安い順で表示している場合、家賃が少しでも安い方が上位に表示されます。あまりにもアンバランスな設定にする必要はありませんが、共益費が極端に安い場合などは検討すると思わぬ効果が得られるかもしれません。

5.物件に家具家電をつける
家具家電つきの物件であれば入居者は新たに家具を買いそろえる必要がなく、そのまま入居できるため、入居コストの削減になるでしょう。特に学生が多い地域では、実家から引っ越してくる学生が多いため、家具家電つきの物件は人気があります。

一方、地域によっては家具家電つきの物件が必ずしも人気があるとは限りません。入居者がすでに家具家電を持っている場合、家具家電がついていることで選択肢から外れてしまうこともあります。家具家電をつける場合、入居者のニーズをよく見極めることが大切です。

安易な家賃引き下げは物件価値を落とす

入居コストの見直しというとすぐに家賃を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、家賃の引き下げはできるだけ最後の手段としてとっておくべきです。投資物件は利回りで価格が決まります。安易に家賃を引き下げることは、売却時の物件の価値を下げてしまうことになりかねません。多くの入居者はポータルサイトを使って物件を探します。

ポータルサイト上で競合となる物件を自分の目で確認し、入居者の視点で勝っている点があればいいのです。同一エリア内の物件の募集条件を比較し、その中で相対的にコストパフォーマンスが優れていることをアピールすることが大切になります。

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