不動産投資における利回りの計算方法とは? 表面利回りと実質利回りの違いも解説
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八木チエ
八木チエ
株式会社エワルエージェント 代表取締役|宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーなどの資格を持ち、中立的な立場で不動産投資に関連する情報をお届けします。書籍、メディアなどに記事掲載の実績多数。

不動産投資を成功させるためには、「利回り」の正しい知識と計算方法を知っておく必要があります。「表面利回り」と「実質利回り」の違いや、それぞれの活用方法を把握しておくことも大変重要です。

そこで本記事では、不動産投資における利回りの考え方や具体的な計算方法、利回り計算時に注意したいポイントなどについて詳しく解説していきます。利回りについて詳しく知りたい方はぜひ最後までお読みください。

不動産投資における利回りとは

利回りとは「投資した金額に対する収益の割合」を示す数値です。不動産投資の場合は、物件の取得費用に対する年間家賃収入の割合を示します。

利回りの種類はさまざまですが、不動産投資で意識したいのは「表面利回り」と「実質利回り」です。どちらも物件の収益力を図るためには欠かせない指標なので、使い方と計算方法をマスターしておきましょう。

表面利回りの計算方法

表面利回りは、物件の基本的な収益力を捉えるために使う指標です、計算式は下記となります。

・表面利回り(%)=年間家賃収入÷購入金額×100

計算式を見てもわかるように、物件価格に対する家賃収入の割合を知りたいときに使用します。不動産投資にかかる諸費用などについては考慮していません。

実質利回りの計算方法

実質利回りは、諸費用なども考慮して算出された数値です。計算式は下記となります。

・実質利回り=(年間家賃収入-年間諸費用)÷購入金額(物件価格+購入時の諸経費)

賃料収入の100%が利益になるわけではないので、物件の正確な収益力を判断するためには実質利回りを用いた方がいいでしょう。

なお、不動産の維持に必要となる主な諸費用には、下記のようなものがあります。

・不動産所得税(取得時のみ)
・固定資産税・都市計画税
・管理委託手数料
・ローン返済元金
・ローン金利
・修繕積立金
・管理費など
・仲介手数料やAD

不動産投資における表面利回りの地域別平均相場

表面利回りの相場は地域によっては幅があります。日本不動産研究所が公表した「第43回不動産投資家調査」(2020年10月現在)の「ワンルームマンションの表面利回り」を見てみましょう。

地域ワンルームマンションの表面利回り
札幌5.5%
仙台5.5%
東京(城南地区)4.2%
東京(城東地区)4.4%
横浜4.9%
名古屋5.0%
大阪4.8%
京都5.2%
神戸5.2%
広島5.7%
福岡5.0%

出典:日本不動産研究所「第43回不動産投資家調査」(2020年10月現在)より抜粋

主要都市部の表面利回りは4~5%台で推移しているようです。なお、地方の物件価格や地価は低いため、首都圏よりも表面利回りが高い傾向にあります。

新築物件と中古物件の利回り

一般的に中古物件は新築に比べて物件価格が低いので、利回りが高くなります。家賃は新築物件の方が高く設定できますが、物件価格の高さで相殺されるために総じて利回りが伸びません。

とは言え、中古物件の方が投資に適しているという簡単な図式でもありません。なぜなら、中古物件は設備などが劣化しているため、新築物件よりも修繕費用と空室リスクが高くなるからです。

建物の構造による利回りの違い

建物の構造は主に木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)に分けられ、建築コストと物件取得価格は木造→鉄骨造→鉄筋コンクリート造(RC造)の順に高くなります。

物件取得価格が高いほど利回りは低くなるので、投資を検討する際には注意が必要です。鉄筋コンクリート造(RC造)の物件は木造よりも高い家賃設定にすることもできますが、構造以外に付加価値がない場合は、利回りの低さを解消するのが難しくなります。

逆に、物件の耐用年数は木造→鉄骨造→鉄筋コンクリート造(RC造)の順に長くなります。

不動産投資における利回りの計算方法とは? 表面利回りと実質利回りの違いも解説

不動産投資を成功させるためには、投資の継続期間も考慮しながら、物件の構造を検討することが大切です。

不動産投資における利回り計算の例

不動産投資における利回りの計算例を詳しく見ていきましょう。

都心部エリアの物件のケース

東京都世田谷区で、駅から徒歩10分圏内、築年数5年以内の1Kを借りた場合の家賃相場の9万円で計算してみましょう。物件価格が2,800万円の中古物件を購入した場合の表面利回りは次のとおりです

・108万円(9万円☓12ヶ月)÷2,800万円×100=3.86%

同条件で物件購入時の諸経費が100万円、年間の諸経費合計が30万円だった場合の実質利回りは下記となります。

・(108万円-30万円)÷(2,800万円+100万円)×100=2.69%

1Kで10万円に近い家賃が得られても、物件価格が高くなるので利回りは低くなります。諸経費によってはさらに実質利回りが下がる可能性もあるので、投資をする前に設備の状況などをしっかり確認しておきましょう。

地方物件のケース

札幌市中央区で、駅から徒歩10分圏内、築年数5年以内の1Kを借りた場合の家賃相場の4.52万円で計算してみましょう。この条件で1,000万円の中古物件を購入した場合の表面利回りは下記となります。

54.24万円(4.52万円☓12ヶ月)÷1,000万円×100=5.42%

同条件で物件購入時の諸経費が40万円、年間の諸経費合計が15万円だった場合の実質利回りは下記となります。

・(54.24万円-15万円)÷(1,000万円+40万円)×100=3.77%

地方は家賃収入が低くても、物件の取得にコストが低いため、総じて利回りが高くなる傾向にあります。

不動産投資の利回り計算で注意したいポイント

不動産利回りを計算する際には、次の点に注意する必要があります。

・実質利回りを重視する
・諸費用は現実に近い数字で計算する
・利回りの高さだけで判断しない
・実際に自分で計算してみることが大切

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

実質利回りを重視する

諸経費などを考慮しない表面利回りは、投資の目安程度に考えるのが無難です。不動産の販売図面には、表面利回りの利率が掲載されているケースが多いので注意しましょう。表面上は高利率に見えても、実質利回りで計算すると、想像以上に利回りが低くなるケースは少なくありません。

諸費用は現実に近い数字で計算する

諸経費などの費用は掲載されている情報や一般的な相場で計算するのではなく、現実に近い方法で計算するようにしましょう。不動産情報サイトなどに掲載されている諸経費はあくまでも目安であり、固定資産税などの税金情報は記載されていないケースも多く、実情と大幅に乖離している可能性があります。

諸経費の額を誤ると、投資後のリターンが想定を下回り赤字になる確率が高まります。安定して収益を得るためにも、物件の購入時だけではなく、維持に必要なコストも考慮したうえで諸経費を算出するようにしましょう。

利回りの高さだけで判断しない

不動産投資の成功要因は利回りだけではありません。物件の環境や周辺の地価、家賃相場なども検討し、中長期的なメリットとデメリットも検討してリスクを避けなければいけません。空室の長期化や物件の大幅な劣化も起こり得る問題です。いずれにしても、利回りはあくまでも「すべてが上手くいった場合」に機能する指標であると考えた方がいいでしょう。

実際に自分で計算してみることが大切

諸費用を調査、想定して実際に自分で利回りを計算することも大切です。利回りは不動産投資の目安になりますが、物件の劣化状況や設備の交換費用、実際の家賃相場など、さまざまなパータンを想定して利回りを計算し、最悪のケースでも利益が維持できると判断できたなら投資をするぐらいの慎重さがあってもいいでしょう。

なお、同じエリア内の平均的な利回りを調査して、それよりも極端に高い、あるいは低い利回りの物件には何か問題がある可能性が高いので注意が必要です。

まとめ

不動産投資を成功させるためには、表面利回りよりも実質利回りを重視して物件を選択することが大切です。

ただし、諸経費の計算には販売図面に記載されている情報ではなく、自分で家賃相場や物件の現状などを調査したうえで、正確な利回りを算出するようにしましょう。

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