実家の土地や家はどうする?相続後の対処法をわかりやすく解説
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本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

「相続した実家の土地や家をどうするべきか」が気になっている人向けの内容です。この記事の前半では、実家を放置した場合に起こるさまざまな問題をリストアップ。後半では、具体的な対処法について解説します。これを読んで、「実家をどうするべきか」という悩みを解決するきっかけをつかみましょう。

目次

  1. 実家の土地や家はどうするのが正解?放置で起こるさまざまな問題
  2. 「実家の土地をどうするか」迷ったときの対処法
  3. 「実家の建物をどうするか」迷ったときの対処法
  4. まとめ:実家の土地や家で不動産投資をするときのポイント

実家の土地や家はどうするのが正解?放置で起こるさまざまな問題

相続した実家の土地や家を放置すると、固定資産税の負担、ご近所とのトラブルなどの問題が起こる可能性があります。始めに、考えられる問題をリストアップしてみましょう。

実家放置で問題発生1.使っていなくても固定資産税が発生する

実家の土地や家を所有していると、毎年固定資産税を納めなければなりません。毎年10万円の固定資産税が発生するなら、10年間で100万円、20年間で200万円です。「実家をどうする?」と長年悩んでいるうちに固定資産税の負担が積み重なり、現金が流出していくため、早めに手を打つのが得策です。
固定資産税について詳しくはこちら(総務省公式サイト)

実家放置で問題発生2.「特定空き家」の指定で固定資産税の負担増

「実家をどうする?」と考えてはいるものの、日々忙しく長年放置してしまうケースもあるでしょう。それにより実家が傷んで倒壊したり、危険がある「特定空き家」として自治体から勧告を受けたりすると、住宅用地を対象にした固定資産税を軽減する特例の対象外となり、その結果税額が最大6倍になる可能性があります。
特定空き家に関して詳しくはこちら(国土交通省公式サイト)

実家放置で問題発生3.さらなる固定資産税の増税の可能性

政府は放置された空き家に対して、さらなる増税を検討しています。その内容は、特定空き家の範囲を広げて、管理が不十分な空き家に対して住宅用地の特例の適用を外しやすくするものです。日本経済新聞電子版では、この施策について「早ければ2023年度中の実施を目指す(2022年12月21日付)」と報じています。

実家放置で問題発生4.ご近所とのトラブルになるリスク

空き地や空き家を放置すると、近隣からのクレームや訴訟などのトラブルになる可能性があります。例えば火事、不法廃棄物、雑草による視界不良による事故などです。

「実家の土地をどうするか」迷ったときの対処法

ここまでの内容で、相続した実家の土地や家を放置すると、さまざまな問題が起こることをご理解いただけたと思います。次に、「実家の土地をどうするか」迷ったときの5つの対処法を確認していきましょう。
*「実家の建物をどうするか」の対処法については、後ほど解説します。

実家の土地の対処法1.賃貸物件を建てる

最近は不動産投資が注目されていることもあり、「実家の土地に収益物件を建てて、家賃収入を得たい」という方も多いのではないでしょうか。

実家の土地を活用して賃貸経営をするかどうかを判断するにあたっては、「住みたい人、借りたい人が周辺にいるか(需要)」を確認する必要があります。需要がないのに所有地に賃貸物件を建てても、期待する家賃収入が得られなかったり、長期間空室になったりする可能性があるからです。

需要を確認する方法には、以下のようなものがあります。

  1. 賃貸物件サイトで家賃相場をリサーチする
  2. 不動産仲介会社に相談して需要をリサーチする
  3. 将来の人口推移を調べる 
  4. 周辺で大規模再開発の予定がないか調べる など

実家の土地に需要があると判断した後は、建物タイプ(アパート、マンション、戸建てなど)を決め、それを得意とする施工業者を探します。土地活用のための賃貸経営というとアパートをイメージする人が多いかもしれませんが、低層マンションという選択肢もあります。

「低層マンション」について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
土地の有効活用に「低層マンション」という選択も 費用感やポイントは?

実家の土地の対処法2.賃貸経営以外の土地活用をする

賃貸住宅を建てることの他にも、さまざまな土地活用法があります。例えば借地、駐車場、トランクルーム、コインランドリー、FCチェーンの経営、社会福祉施設、医療施設などです。それぞれに特性があるため、立地に合ったものを選ぶことが大切です。

実家の土地の対処法3.売却する

実家の土地を売却する場合、需要があればそれなりの売却価格を期待できます。しかし、需要がなければ安値での取引になったり、長期間売却できなかったりします。まずは、そのエリアに強い不動産会社や一括査定サイトなどを利用して、相場を把握しましょう。

隣の家や近所の人に、土地を売りに出すことを伝えるという手もあります。需要がない土地でも「駐車場にしたい」「物置を作りたい」などの理由で、比較的短い期間で売却できる可能性があるからです。

実家の土地の対処法4.寄付する

自治体や町内会(自治体)、近所の人などに、実家の土地を寄付するという選択肢もあります。ただし、必ず引き取ってくれるわけではありません。寄付先が個人であれば、寄付を受けた人に贈与税が発生するため、注意しましょう。

実家の土地の対処法5.管理する

今すぐ土地活用や売却などの判断ができない人は、適切な管理を行うことが大切です。具体的な管理には定期的な草刈り・草取り、廃棄物の有無のチェックなどがあります。ご自身で管理するのが難しいなら、「現地の業者やシルバー人材センターに草刈り・草取りを依頼する」「隣家の人に使っていただく代わりに管理を委託する」といった方法もあります。

「実家の建物をどうするか」迷ったときの対処法

土地と同様に、相続した実家の建物にもいくつかの対処法があります。5つの対処法を確認していきましょう。

実家の建物の対処法1.貸し出す

実家の建物を利用して賃貸経営をするか否かを判断する際も、土地活用と同様に、始めに「需要があるかどうか」を確認する必要があります。

また、実家の家を貸し出す際には「リフォーム費用をかけても元が取れるか(採算性)」も判断材料となります。リフォーム費用の総額と見込める家賃を計算し、リターンがコストに見合うかを考えることが大切です。

リフォーム費用の算出については、実家の周辺にある建築会社やリフォーム会社に見積りを依頼するとよいでしょう。相場を把握するためにも、複数の業者から見積りや提案をもらうのがセオリーです。

実家の建物の対処法2.そのままの状態または更地にして売却する

土地と同様に、実家の建物にも売却するという選択肢があります。「建物が古い」「立地が悪い」などの理由で、そのままの状態で売却するのが難しければ、解体して更地にして売却する必要があります。

売却前に空き家を解体した場合(または売却の翌年2月15日までに解体した場合)は、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」の制度を使って税負担を軽減することができます。
*上記制度は、「2023年度税制改正大綱」で2027年まで延長が決定
*「売却の翌年2月15日までに空き家を解体」という条件は2023年度税制改正大綱に盛り込まれた内容
上記制度の税制について詳しくはこちら(国税庁 公式サイト)

実家の建物の対処法3.耐震工事をして売却する

空き家を解体して更地にした場合だけでなく、耐震基準を満たすリフォームをして売却した場合も、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」の制度を使えます。この制度はもともと売却前に耐震改修工事することが条件でしたが、「売却の翌年2月15日までに耐震改修工事をした場合」でも適用になることが、2023年度税制改正大綱に盛り込まれました。

実家の建物の対処法4.管理する

賃貸経営や売却などをせず、しばらくの間実家を所有し続けるという選択肢もあります。ただし、放置すると特定空き家に指定されたり、近所からクレームを受けたりするリスクがあるため、空き家管理のサービスを行う業者やNPOに委託して、しかるべき管理をしてもらうのが賢明です。「市区町村名+空き家管理」などのキーワードで検索してみましょう。

実家の建物の対処法5.自治体に相談する

さまざまな選択肢を検討したものの、「実家の建物をどう扱えばよいか判断できない」という人は、実家のあるエリアの自治体に相談するという手もあります。相談することで、アドバイスや空き家管理の専門団体の紹介などを受けられます。「市区町村名+空き家」などのキーワードで検索してみましょう。

まとめ:実家の土地や家で不動産投資をするときのポイント

ここでは、相続した「実家の土地や家をどうするべきか」が気になっている人向けに、具体的な対処法を紹介しました。

特に実家の土地や建物に需要がある場合は放置せず、売却や有効活用をするのが得策です。利用すればリターンを生み出す財産を持っているのに、放置して固定資産税だけ負担し続けるのはもったいないことです。

とはいえ、いざ不動産投資をしようとすると「魅力的だけど、不動産の知識がない私たちにできるのだろうか……」という不安を抱く人もいるでしょう。不動産投資(賃貸経営)は、不動産のプロである施工会社・管理会社・仲介会社が業務を代行するため、オーナーに専門知識や経験がなくても実行できます。

その意味で、不動産投資を始める際はパートナー選びが最重要課題になります。業者選びではメリットを強調するセールストークに惑わされず、「デメリットもきちんと説明してくれるか」「会社の信用力があるか(実績・社歴・資本金など)」などを見極めることが大切です。

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