こんにちは、YANUSY編集部です!

今回は、不動産クラウドファンディングに投資する際に確認を求められる契約関連書類について、解説します。
正直、一般投資家についてはかなり難解でページ数も多く、全てを確認をしきれない方が多いと思いますので、ここでは契約が成立するまでの流れや、各書類で確認しておくべきチェックポイントを中心にご紹介します。

なお、不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業法という法律に規制されており、契約条件は事前に行政の審査を経ています。投資家にとって不当に不利な条件での契約となっているという可能性は低い(※)ため、投資に際しては契約内容や投資先ファンド固有のリスクについてのチェックを行うことを推奨します。

※個人投資家を相手にする不動産クラウドファンディングでは、各サービス運営事業者が事前に行政の審査を経た契約条件(約款)に基づく契約が義務付けられています。

YANUSY編集部では不動産クラウドファンディング投資に関する基礎知識やノウハウを解説する徹底解説記事シリーズも執筆していますので、是非ご参考としてください♪

目次

  1. 不動産クラウドファンディング投資の契約関連書類と契約までの流れ
    1. 不動産クラウドファンディング投資の契約関連書類
    2. 契約までの流れ
  2. 契約関連書類のチェックポイント
    1. 重要事項説明書
    2. 運営事業者情報(決算情報)
    3. 契約成立前書面
  3. 不動産クラウドファンディング 特集記事リンク集
  4. 編集部まとめ・コメント

不動産クラウドファンディング投資の契約関連書類と契約までの流れ

不動産クラウドファンディング投資の契約関連書類

不動産クラウドファンディングでは、不動産特定共同事業法(以下、不特法)において、投資家との契約時に必要な書類の交付、掲示等の義務や、各書類に記載する必要がある事項が定められています。

サービス提供事業者により書類の名称や構成が異なりますが、法律に定める事項は必ず含まれているはずです。
各書類がどのような目的で提供されるのか、ご確認下さい。

時期 書類 用途、記載内容
出資申込前 重要事項説明書
(電子取引業務に関わる重要事項)
投資に重要な判断を与える情報を説明する書類。
投資内容や投資家の権利の他、配当の仕組み、元本保証がないこと、その他リスク事項が説明されています。
契約成立前書面 契約成立した場合の投資家との契約条件が記載されています。
契約書の一部を構成しており、契約時に通知される「契約成立時書面」より詳細な契約条件が記載されています。
運営事業者情報
(決算情報を含む)
事業者の直近3年間の決算情報の要旨を含まれます。
上記2書類の別紙等とするケースと、単独の決算書類として掲示されるケースがあります。
会員登録後に、会員向け画面から閲覧できる場合もあります。
出資契約時 契約成立時書面 投資家の申し込み後、抽選等を通じて出資が決定した場合に通知される契約成立を証する書面です。
投資家は、申し込みの前に契約条件やリスク等を承諾の上で申し込んでいる状態のため、原則、この書類を受領したタイミングで契約が成立した状態となります。(※)
運用期間 財産管理報告書 出資したファンドの財産管理状況を投資家に閲覧可能とする資料です。
適正な運用がされているか、などを確認することが可能です。

※投資家は原則、書類の受領後8日を経過するまでの間に書面で通知することで、契約解除を行うことができます。

契約までの流れ

投資家が不動産クラウドファンディングに投資するまでの手順や書類の流れは次のようになります。

1)投資先ファンドを探す
2)契約内容やリスクを確認する
  ⇒ 「重要事項説明書」と「契約成立前書面」に加えて、事業社の決算をチェック
3)出資申込を実施
4)抽選等を経て、投資者が決定すれば「契約成立時書面」が届く
5)契約に基づき、出資金を支払い(※)

※出資媒介事業者(不特法2号事業社)を経由する場合などには、申込の前に出資金を預託(デポジット)しておくことが必要なケースがあります。

注意が必要なのは、3)での申込後、4)で契約成立時書面を受領した時点で契約が成立してしまうことです。
受領後7日間は原則クーリング・オフの書面通知によって契約解除が可能ではあるものの、2)の段階で、しっかり契約内容やリスクを確認することが重要です。

契約関連書類のチェックポイント

重要事項説明書

この書類のフォーマットはサービス提供各社により異なりますが、後述する「契約成立前書面」に記載する事項とほとんど重複しており、その中でも特に重要なものと不特法・規則で定められた(※)ことが記載されています。

不動産クラウドファンディングは「元本保証がない投資」であり、「事業者による損失補てんが法律で禁止されている」ことは全てのサービスで共通していますので、「出資によってどのようなリスクがあるのか」を必ずご確認下さい。

不動産投資ビジネスにおける一般的なリスク事項が並んでいるだけのケースもありますが、何度か目を通していると、見慣れない表現がある場合があります。
これは「そのファンド固有の特殊なリスク」である可能性がありますので、気になった場合はそのリスクを確認するか、リスクについて判断がつかない場合は投資を見送ることも検討してください。

【参考】不特法 第三十一条の二 3項の定め(抜粋)
電子取引業務の相手方又は事業参加者の判断に重要な影響を与えるものとして主務省令で定める事項について、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものにより、電子取引業務を行う期間及び電子取引業務に係る不動産特定共同事業の期間中、当該相手方又は事業参加者が閲覧することができる状態に置かなければならない。
<出典>
 不動産特定共同事業法原文はこちら
 不動産特定共同事業法施行規則原文はこちら

運営事業者情報(決算情報)

不動産クラウドファンディングでは倒産隔離の仕組みがないケースがほとんどのため、運営事業者が倒産した場合に、その事業者が運営する全てのファンドに影響が生じます。

事業者は不特法の許可の取得、または登録を行う際に財務面のチェックも受けてはいますが、100%倒産しないとは言えませんので、以下記事も参考に、財務状況を自分の目でも確認しましょう。

関連記事:『おすすめクラウドファンディング徹底解説 ①安全性重視の方向け』記事へ
関連記事:『不動産クラウドファンディングのリスクと対処とは?』記事へ

契約成立前書面

出資に関わる契約(匿名組合契約)に関するかなり詳細な契約条件が列挙されていますので、全てを確認することは正直難しいでしょう。

そこで、特にチェックが必要なポイントを解説します。

■冒頭記載:不動産特定共同事業法に基づくサービスか?
冒頭に、「不動産特定共同事業法●●●に基づき、」といった記載があることを確認してください。
不動産に関わる投資サービスには、不動産担保型のソーシャルレンディングなど、仕組みが異なる投資商品が存在しており、その場合は、投資家保護のための法規制やルールも異なっており、本特集記事の記載はあてはまりませんので、ご注意下さい。

■利害関係人との間の取引の有無
運営企業や、運営企業と利害関係がある企業等との取引の有無が記載されています。
例えば、運営企業や運営企業の子会社に不当に高い費用を拠出する、不当に安い価格で不動産を売却する、といったリスクの有無を確認できます。

■不動産特定共同事業者の報酬に関する事項
運営事業者が得る報酬が記載されています。
なお、運営事業者がファンド運営で利益を得る方法は、大きく以下の2つがあります。
1.ここで記載する報酬を得る
2.ファンド運営により得た利益について、事業者の出資に応じて分配を得る

不動産の運営や売却時に、運営事業者に適正な報酬を支払うこと自体はおかしくはないのですが、この部分は運営事業者により金額設定が異なります。

1.について、ファンドで損失が出た場合にも得られる報酬ですが、②についてはファンドで利益が出た場合に報酬が得られる契約となっている契約条件がほとんどです。
2.を(適正な範囲で)低く設定されていれば、投資家に損失が生じるリスクも低減されています。

■事業参加者に対する収益又は利益の分配に関する事項
大変難解な記載となっていますが、投資家への配当や元本償還の計算、実施手順が記載されています。
多くの場合は、不動産運営で得た賃料収入や売却益と、必要な運用コストや運営事業者の報酬などを差し引いてファンドの損益を掲載した上で、以下の順番で損失や利益を分配します。

<損失が出た場合>
 ①まず劣後出資者(運営事業者)が損失を負担
 ②劣後出資分以上の損失が出たら優先出資者(投資家)が負担

<利益が出た場合>
 ③予定利回り分を優先出資者(投資家)に配当し、元本相当額を支払い
 ④残った利益分と元本を劣後出資者(運営事業者)に支払い

なお、COZUCHIなどの一部サービスでは、上記③部分で、「不動産売却益の25%を優先出資者(投資家)」に配当する条件となっている場合があります。(契約成立時書面の冒頭にもその旨が記載されているようです。)
この場合、不動産が予定より高値で売却できた場合に想定利回りが上振れることが期待できます。 但し、これまでCOZUCHIでは想定利回りが上振れた事例が多数出ていますが、反面、安値で売却された場合にはダイレクトに想定利回りが下がる契約となっていますので、メリットだけではないことは理解しておきましょう。

■対象不動産に係る不動産取引の取引態様
出資金で不動産を購入し、所有する場合には「売却(または所有)」という表現が記載されています。
この場合、ファンドへの出資金で現物不動産を所有し、ファンドの運用終了時に対象不動産を売却して現金化できますので、不動産価値が上がった場合には売却益を得ることが期待できます。

一方、ヤマワケエステート等の一部ファンドでは、所有権を持たず、「賃貸」して、テナントに対して転貸するようなファンドもあり、この場合の記載内容は「賃貸」のみとなっているようです。
この場合、対象不動産自体が値上がりしても不動産自体の売却益は得られませんので、注意して下さい。

不動産クラウドファンディング 特集記事リンク集

YANUSYでは、投資に関わるノウハウ情報に加えて、投資家のニーズやタイプごとに、おすすめの不動産クラウドファンディングサービスをご紹介していきます。
ご自身の投資ニーズにあったサービス探しにお役立ていただければ幸いです♪

編集部まとめ・コメント

不動産クラウドファンディング投資において、一般の投資家にはちょっと難解な、各種書類のチェックポイントについて解説しました。
これから不動産クラウドファンディングを始めてみたい方のご参考になれば幸いです!

※本サイトは不動産投資、クラウドファンディング等に関する情報共有を目的としており、投資勧誘や助言を行う物ではありません。
※元本保証のない投資商品への投資に際しては、元本割れリスク確認した上で投資をご検討下さい。