不動産投資が節税に効果あり?その真実とは?
(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)
檜垣嘉孝
檜垣嘉孝
不動産賃貸仲介業、マンション管理業を経て、不動産専門ライターとして独立。コンサルティング会社を経営する傍ら自らも不動産投資を行う中で、投資家の目線に立った記事制作を心がけています。

不動産投資は、単に収益を得るための手段というだけではなく、節税にも一定の効果があることをご存知でしょうか。節税を考えるうえで重要なポイントとは、「知っておかなければ確実に損をする」ということです。節税に関する正しい知識を身につけておかなければ、税金を節約するどころか、逆に損をしてしまう可能性もあります。不動産投資に携わっている方は、節税に関する正しい知識を身につけておきましょう。

不動産投資で節税ができる仕組みとは?

不動産投資を行うなかで節税を行うには、どのようなポイントに気をつけておくべきなのでしょうか。

所得税および住民税が節税できる

不動産投資を行うと、さまざまな経費がかかってきます。例えば、管理会社に支払う管理費、共用部分の清掃費用、エレベーター・機械式駐車場の保守費用、修繕費などを必要経費として所得から差し引くことが可能です。ここでは、「損益通算」と「減価償却」について確認してきましょう。

損益通算が可能

例えば、給与所得を得ているサラリーマンが不動産投資を行っているケースを考えます。仮に、1年間の給与所得のうち課税対象額が500万円、不動産投資による所得金額が100万円だとしましょう。このとき、所得税の課税対象額は600万円であることが分かります。

反対に、必要経費が過大になったり、思うような家賃収入が上がらなかったりした場合を想定してみましょう。給与所得の課税対象額が500万円で、不動産投資において50万円の損失が出ていたと仮定すると、所得税の課税対象額は450万円です。

このように、不動産所得における損失を給与所得と合算することを損益通算と呼びます。サラリーマンで不動産投資を行っている方はもちろん、何らかの事業を行いながら不動産投資をしている方は、ぜひ覚えておきたい基本的な節税方法です。

減価償却を活用

購入した投資物件は、購入金額を法定耐用年数に分割して費用化することで、所得を抑えることができます。この考え方は、実際に必要な物品を購入したり、入居者を増やしたりといった努力をする必要がありません。利益を圧縮する恩恵を受けることができるため、見落とすことなくチェックしておきたいポイントです。

節税を考えるうえで注意すべきポイントとは?

上述したように、不動産投資においてはさまざまな節税のメリットを享受することができます。節税を行うことによって、キャッシュアウトを減らすことができるため、「手元にキャッシュを極力残しておきたい」という方にとっては、しっかりと押さえておきたいポイントといえるでしょう。ただし、節税目的のためだけの不動産投資にはリスクも内在しているため注意が必要です。

黒字経営に転換した場合

不動産所得を必要経費が上回っている状態を「赤字」と呼びますが、逆に賃料収入が増大したり、管理費・保守費などの必要経費が減額になったりすると黒字に転換する可能性もあるでしょう。また、中古物件に投資している場合だと、法定耐用年数を超過することによって減価償却費を計上することができなくなるため、(税務上)黒字に転換する可能性が高まります。

黒字になり納税が発生するということは、キャッシュアウトすることを意味します。不動産投資が黒字経営に転換すれば、当然利益が出た部分に関して税金がかかりますので、納税資金の確保も意識しながら経営を進めたいところです。

金融機関からの評価も視野に入れよう

過度な節税ばかりを視野に入れた不動産投資を行っていると、金融機関からの印象を下げてしまう可能性があります。なぜなら、収益性が悪く赤字が連続している事業にお金を貸してくれる金融機関は多くないからです。金融機関からの融資を活用して複数物件を購入し、事業規模を拡大していきたい方は、節税だけではなく、「不動産投資によっていかに利益を出すのか」という点にフォーカスしたほうが良いでしょう。

まとめ

不動産投資は節税を考えるうえでは有効な側面がありますが、不動産投資の分野において今後事業規模を拡大していきたいと考えるなら、節税ばかりを意識するのは賢明な選択ではありません。事業として、「どのように利益の出る体質を構築していくのか」という点を意識して、不動産投資を成功に導きましょう。

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