不動産投資家は利回りに加えて「イールドギャップ」を理解しよう
(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

不動産投資には実にさまざまな指標や数値がありますが、その中でも重要な数値に「イールドギャップ」があります。不動産投資では利回りが重視され、所有物件がどれだけ収益を上げるのかを判断する材料として用いられます。

しかし、不動産投資を実際に始めた時のパフォーマンスを把握するためには、利回りだけでは十分ではありません。特に融資を利用して資金調達をする場合、重要になるのがイールドギャップです。

ここでは、イールドギャップとは何かという基本的な知識から、イールドギャップを活用して不動産投資を成功に導く方法を解説します。

イールドギャップとは?

イールドギャップは、「イールド」と「ギャップ」という2つの英単語を組み合わせてできた言葉です。イールドには多くの意味がありますが、不動産投資では利回りという意味で用いられます。ギャップとは、差のことです。つまり、イールドギャップは「利回りの差」と訳すことができます。

具体的には、融資を利用して収益物件を購入した場合に適用される金利と、所有物件から得られる収入による利回りの差です。

収益物件を購入してしっかりと収益を出すことができるのか、もしくはすでに取り組んでいる不動産投資が成功しているかどうかを知ることのできる数値であることが、イールドギャップが重視される理由です。

想定される利回りから融資の金利を差し引いてマイナスになるということは、その投資を始めても赤字になるということです。この場合は勝算なしと判断できるわけですが、イールドギャップがプラスだからといって、その投資が健全であると断定することはできません。その理由は、後述します。

イールドギャップの計算方法

イールドギャップの計算式は、以下の通りです。

「収益物件の利回り- 融資の金利」

ここで重要なのは、収益物件の利回りを表面利回りではなく、投資家の手元に残るキャッシュフローで計算することです。そうしなければ名目上のイールドギャップのみを算出することになり、投資判断を誤ってしまう恐れがあります。

収益物件の利回りは、家賃収入から必要経費や税金などを差し引いた金額の年額を物件取得費用で割るという、実質的な利回りを用いる必要があります。これによって、現実に即したイールドギャップを算出することができます。

イールドギャップから不動産投資の健全性を知る

イールドギャップを計算して、それが1%だったとしましょう。マイナスではないので健全な投資であるかというと、残念ながらそうではありません。イールドギャップが1%しかないと、損益分岐点を下回る可能性が高いからです。

なぜなら、不動産投資には空室リスクや設備の更新に必要な出費などがあるからです。仮に3,000万円の物件を購入してイールドギャップが1%だとすると、投資家の手元に残るのは年額で30万円です。もし空室が発生して家賃収入が30万円減ってしまったら、手取りはゼロになってしまいますし、そこに修繕や設備の更新などが発生したら赤字になってしまいます。

イールドギャップを高くするには、物件取得価格と融資金利をいかに低く抑えるかがポイントです。したがって、イールドギャップを意識しながら、少しでも有利な条件を求める姿勢が必要なのです。

イールドギャップは将来低下することを想定しておこう

不動産は時間とともに劣化するため、それに伴って空室リスクの上昇と家賃の下落が起きる可能性があります。これらの要素は実質的な利回り低下の要因となりますが、それに合わせて融資金利が下がるわけではないので、時間の経過とともにイールドギャップは低下することになります。

イールドギャップは購入時が最大値であり、そこから徐々に低下していくことを想定して、5年後や10年後の投資環境をシミュレーションしてください。その状況でもしっかりプラスのイールドギャップを維持できて、はじめて健全な不動産投資と言えるのです。