「新たな住宅セーフティネット制度」を活用した空室対策とは?
(画像=Sean K/Shutterstock.com)

「新たな住宅セーフティネット制度」をご存じでしょうか。住まい探しに困っている人に、民間の賃貸住宅を提供することを目的としてスタートした制度ですが、空室対策として活用できそうです。具体的な活用方法を考えてみましょう。

住宅に困っている人に住宅を提供する制度

高齢者や低所得者、障害者、子育て世帯など、住宅の確保が難しい人(=住宅確保要配慮者)がいます。そのような人に対して、民間賃貸住宅や空き家を提供しようという制度が「新たな住宅セーフティネット制度」です。2017年10月から国土交通省が実施しています。

制度は、主に次の3つの柱で成り立っています。
(1) 住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度
(2)登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
(3)住宅確保要配慮者に対する居住支援

「(1)住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度」では、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅を専用のホームページ「セーフティネット住宅情報提供システム」に登録します。入居を希望する人がその情報を見て、申し込む仕組みです。登録申請は政令市や中核市、または都道府県に対して行います。

「セーフティネット住宅情報提供システム」 なお、登録できる住宅には、「住戸の床面積が25平方メートル以上」「シェアハウスなら専用居室が9平方メートル以上、住宅全体の面積が15平方メートル×居住人数+10平方メートル以上で、台所、食事室、浴室などを設ける」といった条件があります。

「(2)登録住宅の改修や入居者への経済的な支援」は、改修費の補助制度です。たとえば、共同居住用住居に用途変更するための改修・間取り変更・耐震改修・バリアフリー改修工事に対して、国と地方から最大で1戸あたり100万円(補助率1/3)の補助金が出ます。また、改修費の融資制度も用意されています。

さらに、家賃や家賃保証料の補助制度もあります。たとえば、低額所得者が入居するために家賃を下げた場合には、家賃減額分に対して毎月最大4万円の補助が受けられます。

「(3)住宅確保要配慮者に対する居住支援」は、家賃保証や見守りに関する支援です。居住支援活動を行うNPO法人などが入居者の保証人になったり、住宅相談・情報提供を実施したりします。

オーナーにとってのメリットは?

「新たな住宅セーフティネット制度」は、オーナーにとってどのようなメリットがあるでしょうか。住宅の情報が専用のホームページに掲載されたり、居住支援団体や自治体のネットワークによる支援が受けられたりすることで、入居者が確保しやすくなることが挙げられます。また、家賃を減額した分の補助を受けられるので、入居者に安い家賃で入居してもらえます。

改修に対する補助金や融資制度も魅力的です。旧耐震基準の建物で耐震性能に不安があり、耐震化を考えているけれども、改修予算が用意できない……といった収益物件を所有しているオーナーにとっては、活用を検討すべき制度と言えるでしょう。

高齢化を味方に付けた空室対策

メリットの多い制度ですが、問題点もいくつかあります。まず、住宅を登録申請するための書類をそろえるのが大変なこと。登録する住宅の見取り図、敷地の図面、各階平面図、耐震性を適合できることを証明する書類などを提出する必要があります。改修費の補助を受ける場合には、さらに工事図面などの書類も必要になります。

また、その住宅を要配慮者だけが入居できる「専用住宅」にする必要があること。改修費の補助を受けた場合は、10年以上は専用住宅として管理するというルールが設けられています。つまり、要配慮者以外に貸すことはできなくなるということです。これは、制度を利用するかどうかの判断を難しくするルールと言えます。

今後、空き家が増えていくことが予想され、空室率の上昇が懸念されます。一方で、高齢化も進んでいます。「新たな住宅セーフティネット制度」は、考えようによっては高齢化を味方につけられる制度と言えます。空室対策の一環として、このような公的制度の利用も検討していくべきではないでしょうか。

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