クラウドファンディングの主な種類と期待できるリターン、注意点について解説
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

クラウドファンディングは、新しい資金調達手段としてスタートアップ企業や個人を中心に利用されています。支援者として参加する場合は、一定のリターンを得ることが可能です。

クラウドファンディングは種類によって期待できるリターンが異なるため、特徴を理解してから投資することが大切です。今回は、クラウドファンディングの種類やリターン、注意点について解説します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する仕組みです。クラウドは「群衆」、ファンディングは「資金調達」という意味があります。

法人や個人が資金調達をする場合、金融機関からの融資やベンチャーキャピタルなどの 投資家からの出資を利用するのが一般的です。ただし、実績や信用力がないと、融資や出資を受けるのは簡単ではありません。

クラウドファンディングなら従来の資金調達手段にとらわれることなく、インターネットを通じて手軽に資金を調達できます。

プロジェクトの内容や資金調達の目的に共感できれば、支援者として少額から寄付や投資が可能です。クラウドファンディングの種類によっては、資金を出す見返りとして一定のリターンを得られます。

クラウドファンディングの主な種類

クラウドファンディングは、資金の使い道やリターンの内容に応じていくつかの種類があります。ここでは、代表的な5種類の特徴を確認してきましょう。

購入型

購入型クラウドファンディングは、起案されたプロジェクトに対してお金を支援する仕組みです。支援者は、金額に応じて商品・サービスなどのリターンを得られます。プロジェクトの実現を支援するのが主目的であるため、金銭的な見返りはありません。

購入型は以下の2種類に分けられます。

・All or Nothing型:募集期間内に目標金額に達した場合のみプロジェクト成立
・All in型:目標金額に達しなくても支援者がいればプロジェクト成立

All or Nothing型のプロジェクトを支援する場合は、資金調達がうまくいかず、プロジェクトが成立しない可能性があることを理解しておきましょう。

寄付型

寄付型クラウドファンディングとは、起案されたプロジェクトに対してお金を寄付する仕組みです。環境保全や被災地支援など、社会貢献を目的としたプロジェクトが多いのが特徴です。購入型とは異なり、基本的に商品・サービスなどのリターンはありません。

株式投資型

株式投資型クラウドファンディングは、インターネットを通じて非上場企業への出資を募り、投資家に対して未公開株を提供する仕組みです。スタートアップ企業を中心に、資金調達手段として利用されています。投資家は成長性の高い企業に投資できるので、将来大きな利益を得られる可能性があります。

株式投資型では、企業の資金調達金額は年間1億円未満、投資家の投資金額は1社につき50万円までとの制限が設けられています。

融資型

融資型クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集め、資金が必要な企業に融資する仕組みです。「ソーシャルレンディング」とも呼ばれます。

「年数が浅い」「実績が少ない」などの理由で金融機関から融資を受けられない企業が、資金調達手段として利用するケースが一般的です。融資という性質上、融資金に対して利息が発生します。投資家は、貸付利息を原資に金銭的なリターンを得られます。

不動産投資型

不動産投資型クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集め、その資金で不動産運用を行います。取得した不動産から得られる家賃収入や売却益は、投資家に分配される仕組みです。

現物不動産投資の場合、収益不動産を取得するためにまとまったお金が必要です。物件取得後は、入居者募集や家賃の回収、修繕といった賃貸管理を自分で行うか、管理会社に費用を払って委託する必要があります。

不動産投資型は1万円程度から投資できる案件が多く、賃貸管理は運営会社に任せられるため、初心者でも手軽に不動産を対象とした投資を始められます。

【種類別】クラウドファンディングで期待できるリターン

購入型のリターン

購入型では、支援するプロジェクトに関する商品やサービスを得られます。たとえば、飲食店のプロジェクトであれば食品や食事券がもらえる、ビジネスのプロジェクトなら関連サービスを受けられるといった具合です。

支援金額に応じて複数のリターンが用意されているケースが多く、通常は金額が増えるほど特典もアップします。

寄付型のリターン

寄付型はお金を寄付する仕組みであるため、基本的にリターンはありません。プロジェクトによっては、お礼の手紙や写真などをもらえることがあります。

株式投資型のリターン

株式投資型は、投資先企業が「新規株式公開(IPO)で上場する」「企業売却 によって売却益を得る」といったエグジットをしたときに利益を得られます。

非上場企業への投資は短期間で利益が出るものではなく、利益を得られる保証もありません。倒産リスクも比較的高いため、投資資金が回収できない可能性もあります。ただし、エグジットに成功すれば大きな利益が期待できます。

株式投資型では投資家へのリターンとして、株主優待制度を用意している企業もあります。

融資型のリターン

融資型は、融資先企業から返済される利息を原資として、定期的に分配金が支払われます。想定利回りはファンドによって異なり、平均利回りが2%程度のサービスもあれば、7%程度と高いサービスもあります。

融資先企業が融資金を返済できず、貸し倒れが発生した場合は、分配金・元本の支払遅延や元本割れが生じる可能性があります。

不動産投資型のリターン

不動産投資型は、投資金額に応じて定期的に分配金を受け取れます。投資対象不動産から得られる家賃収入や売却益が分配金の原資です。想定利回り3~8%のファンドを扱うサービスが多く、さらに高い利回りが設定されていることもあります。

想定通りの収益が得られなかった場合は、損失が生じる可能性があります。

リターンが目的なら投資タイプのクラウドファンディングを選ぶ

リターンを目的に資金を投資するなら、投資タイプのクラウドファンディングを選びましょう。投資タイプとは、「株式投資型」「融資型」「不動産投資型」の3つです。いずれも資金を投資することで、金銭的なリターンを得られます。

購入型や寄付型は金銭的なリターンが設定されていないので、利用する際は注意が必要です。

投資タイプのクラウドファンディングの注意点

投資タイプのクラウドファンディングは、種類によって期待できるリターンやリスクが異なります。それぞれの特徴を理解して、自分に合ったタイプを利用することが大切です。ここでは、投資タイプのクラウドファンディングの注意点を解説します。

元本保証ではない

投資タイプのクラウドファンディングは、預貯金とは異なり元本は保証されていません。運用がうまくいかなければ想定通りの分配金が支払われず、元本が返還されない可能性もあります。必ず利益を得られるとは限らないため、投資判断は慎重に行いましょう。

余裕資金で投資を行う

投資タイプのクラウドファンディングは基本的に中途解約不可で、運用終了まで投資資金を引き出せないことが多いです。計画的に投資を行わないと、手元資金が不足する恐れがあります。資金繰りに困ることがないように、余裕資金で投資することを心掛けましょう。

投資スタンスに応じて種類を選ぶ

投資タイプのクラウドファンディングは、種類によって期待できるリターンとリスクが異なります。

未公開株に投資する株式投資型は、エグジットに成功すれば大きなリターンが期待できます。ただし、利益を得られるまでの期間が不透明で、投資資金を回収できないリスクもあります。ハイリスク・ハイリターンの投資といえるでしょう。

一方、融資型や不動産投資型はファンドごとに運用期間が決まっており、比較的安定したリターンが期待できます。株式投資型に比べると、初心者向けといえるかもしれません。

投資スタンスに応じて、自分に合ったクラウドファンディングを選択することが大切です。

複数の種類を使い分けてリスクを分散する

資産運用でリスクを下げる手法の1つに「分散投資」があります。1つの投資先に投資するのではなく、投資先を分散することで損失を最小限に抑える考え方です。

クラウドファンディングは少額から投資できるので、「融資型と不動産投資型を併用する」「サービスやファンドを分散する」といったことが簡単にできます。集中投資はリスクを高めるので、分散投資を意識しましょう。

まとめ

クラウドファンディングはさまざまな種類があり、期待できるリターンやリスクに違いがあります。投資手段として利用するなら、投資タイプのクラウドファンディングが適しています。初めて利用する場合は、比較的安定したリターンが期待できる「融資型」「不動産投資型」を検討しましょう。

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