1万円からできる不動産投資とは?特徴や事例を解説
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

株式会社不動産経済研究所が公表している「首都圏 新築分譲マンション市場動向」によると、2023年3月における新築分譲マンションの平均価格は1億4,360万円(首都圏)と単月では調査開始来初めて1億円を超えました。実際には、1戸の平均価格が約4億円の大型高級マンション「三田ガーデンヒルズ」が全1,002戸のうち約400戸を売り出し、平均価格を押し上げたことが特殊要因となっています。

特殊要因がなかった2023年2月の首都圏の平均価格は6,776万円でした。そのため首都圏に限っていえば新築マンション1億円時代になるのは時間の問題といえそうです。

<新築マンション価格の推移(首都圏) 2020年3月~2023年3月>

不動産投資
出典:株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

不動産価格が高い水準で推移する中で、1万円の少額から不動産に投資できる「不動産クラウドファンディング」に注目が集まっています。 不動産クラウドファンディングは、なぜ投資家から選ばれているのでしょうか。

この記事では、不動産クラウドファンディングのメリット・デメリットを解説し、あわせて1万円で投資できるファンドの事例を紹介します。

目次

  1. 不動産投資クラウドファンディングのメリット
  2. 不動産投資クラウドファンディングのデメリット
  3. 1万円から投資できる不動産クラウドファンディング募集ファンドの事例
  4. 初心者はまず1万円から不動産クラウドファンディングを始めてみよう

不動産投資クラウドファンディングのメリット

不動産クラウドファンディングには、主に以下の4つのメリットがあります。

低リスクで利回りが高い

不動産クラウドファンディングは、リスクが低い割に利回りが高いのが大きなメリットです。リスク対策として、多くのファンドで「優先劣後方式(図1)」が採用されています。優先劣後方式であれば、運用している不動産価格が下落した場合に、あらかじめ決められた比率の範囲で事業者が優先して損失を負担するため、範囲内であれば投資家に損失が出ることはありません。

<図1優先劣後方式>

優先劣後方式のイメージ

また後述する「マスターリース契約(図2)」で空室対策がなされていることから、低リスクかつ約4~7%(税引前)程度の利回りを得ることが可能です。この利回りは、日経平均採用銘柄の前期基準平均配当利回りの2.15%、J-REIT(上場不動産投資信託)の平均分配金利回り4.08%と比べても高い水準にあります(いずれも2023年5月18日現在)。

種類平均利回り
日経平均採用銘柄
前期基準平均配当利回り
2.15%
J-REIT(上場不動産投資信託)
平均分配金利回り
4.08%
不動産クラウドファンディング約4~7%(税引前)程度

少額投資が可能

現物不動産を購入する場合、多くの人は金融機関から融資を受けて投資を行います。不動産経営で毎月最も多い出費がローンの返済です。融資の割合によっても異なりますが、「毎月家賃収入から諸経費とローンを支払ったら、ほとんど手元に残らなかった」というケースも珍しくありません。

一方不動産クラウドファンディングは、1口1万円や10万円という少額から投資できるファンドが多いため、ローンを組まなくても自己資金の範囲で投資が可能です。

投資に手間がかからない

不動産クラウドファンディングは、事業者が物件の管理や運用を行ってくれるため、現物不動産のような管理の手間がかかりません。ファンドへの申し込みもインターネット上で完結できるため、時間をかけずに投資ができます。

またファンド自体に株式のような価格変動はないため、毎日値動きをチェックする必要はありません。購入したあとは、運用期間終了を待って出資元本と分配金を受け取るだけです。

マスターリース契約を結ぶため空室リスクがない

現物不動産投資で最も心配なのが空室リスクです。しかし不動産クラウドファンディングでは、多くのファンドが図2のように事業者と資産管理会社がマスターリース契約(一括借り上げ)を結ぶため、空室が出たとしても一定の賃料が保証されます。そのため空室が出て分配金が減額される心配はありません。

<図2マスターリースとサブリース>

マスターリースとサブリースのイメージ

不動産投資クラウドファンディングのデメリット

不動産クラウドファンディングには、メリットが多い半面、以下のようなデメリットもあるため、あらかじめ把握してから投資することが大切です。

流動性が低い

不動産クラウドファンディングは、株式のような売買市場がないため、すぐに換金することができません。そのため売買目的で投資する場合は、不向きといえるでしょう。また各事業者が募集する新着案件は、ファンド数が限られているため、株式投資に比べると選択肢が少ないこともデメリットです。

<対策>
余剰資金を手元に残しておき、売買目的では投資しない

原則として途中解約ができない

不動産クラウドファンディングは、原則として途中解約ができません。投資する場合は、すぐに使う予定のない余裕資金で行う必要があります。ただし3ヵ月や6ヵ月など運用期間が短いファンドもあるため、使う時期がはっきりしている資金であればスキマ期間の運用には活用できるかもしれません。

<対策>
3ヵ月や6ヵ月など運用期間が短いファンドに投資する

人気ファンドはすぐに完売してしまう

不動産クラウドファンディングの募集方法は「先着式」と「抽選式」の2つです。先着式の場合、条件のよい人気ファンドは申込開始とともに完売してしまう傾向があります。一方で抽選式は、多くのファンドで募集金額を上回る応募があるため、当選しないと購入ができません。つまり株式のように資金さえあれば必ず買えるわけではない点がデメリットです。

<対策>
リサーチして最新情報が入手できるようにする

1万円から投資できる不動産クラウドファンディング募集ファンドの事例

2023年5月に募集が行われたファンドのなかから募集金額が1口1万円のファンドを3つ紹介します。

空き家ファンド7号(MYファンドクラウドファンディング)

不動産投資
引用:MYファンドクラウドファンディング「空き家ファンド7号

東京都台東区にある区分マンションの1室を再生するプロジェクトに出資するファンドです。東京メトロ日比谷線「入谷」駅から徒歩約8分の好立地にあります。築年数は古いですがリニューアル工事を実施することで十分な流動性が見込まれるでしょう。

【ファンド概要】
想定利回り:8.0%
優先出資者50%劣後出資者50%
募集金額:1,250万円
運用期間:184日(約6ヵ月)

ONIGIRI funding Project18号(ONIGIRI funding)

不動産投資
引用:ONIGIRI funding「ONIGIRI funding Project18号

神奈川県相模原市にある賃貸中の区分マンションへ投資するファンドです。JR横浜線「相模原」駅から徒歩約9分の好立地にあります。入居中の物件のため、空室リスクは低いのがポイントです。好条件のため、募集金額270万円に対して約18倍(4,981万円)の応募がありました。

【ファンド概要】
想定利回り:7.0%
優先出資者90%劣後出資者10%
募集金額:270万円
運用期間:92日(約3ヵ月)

投活プロジェクト3号(投活)

東京都練馬区にある区分マンションの1室に投資するファンドです。特筆すべきは、地下鉄有楽町線「新桜台」駅から徒歩約1分の駅近物件ということでしょう。好立地物件でありながら高利回りの想定であり、さらに入居中の物件のため安定した運用が期待できます。好条件のため、募集金額630万円に対して約3倍(1,899万円)の応募がありました。

【ファンド概要】
想定利回り:7.5%
優先出資者70%劣後出資者30%
募集金額:630万円
運用期間:93日(約3ヵ月)

初心者はまず1万円から不動産クラウドファンディングを始めてみよう

不動産クラウドファンディングは、しっかりとしたリスク対策がとられているため、多くのファンドで元本と分配金が予定通りに償還されています。本記事の事例で紹介したように想定利回り7~8%の高利回り案件もあるため、投資対象としては大変魅力的です。

初めての不動産投資で、いきなり高額な物件を購入することに不安がある人は、不動産クラウドファンディングの少額投資で経験を積むのもよいかもしれません。まずは、1口1万円から投資できるファンドから不動産クラウドファンディングを始めてみてはいかがでしょうか。

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