不動産クラウドファンディングの仕組みを解説。類似商品より魅力的なポイントは?
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

不動産に少額で投資できる不動産クラウドファンディングは、募集が開始されるとすぐに完売するファンドがあるほど、投資家から高い注目を集めています。なぜ不動産クラウドファンディングは人気があるのでしょうか。不動産クラウドファンディングの仕組みを解説し、併せて類似商品と比べた際のメリットも紹介します。

目次

  1. 不動産クラウドファンディングとは
  2. 不動産クラウドファンディングで収益を得る仕組み
  3. 類似の投資商品には何がある?
  4. 他の不動産投資と比較した際のメリット
  5. リスクが少ない投資で高い利回りを目指すなら不動産クラウドファンディング

不動産クラウドファンディングとは

不動産クラウドファンディングは、インターネット上で投資家から資金を集め、運用した不動産から得られた利益を分配する不動産小口化商品です。1口1万円の少額から始めることができ、運用を事業者に一任できるため、手軽にできる不動産投資として急速に普及しています。

不動産クラウドファンディングは原則として単一の不動産に投資するため、投資対象がわかりやすいという特徴があります。

不動産クラウドファンディングで収益を得る仕組み

不動産クラウドファンディングでは、収益を得る方法として2つのタイプがあります。
1つがキャピタルゲイン(売却益)を目的としたファンドで、もう1つがインカムゲイン(家賃収入)を目的としたファンドです。両方を併用したファンドもあります。

キャピタル型

不動産クラウドファンディングでキャピタルゲインをメインにするファンドには「キャピタル型」と表記されています。

事業者は物件を一定期間運用した後に売却してキャピタルゲインを得て、利益のなかから投資家に分配金を支払う仕組みです。分配金の利回りはインカム型よりも高くなる傾向があります。また、分配金の原資が売却益なので、支払いは償還時に一括で行われるのが一般的です。

キャピタル型の場合、想定していた金額よりも少ない金額で売却される場合がありますが、「優先劣後方式」によって、あらかじめ決められた範囲内で事業者が損失を負担します。例えば、事業者の劣後出資比率が20%で、売却損が10%であれば想定範囲内なので投資家に損失が出ることはありません。

優先劣後方式のイメージ

インカム型

家賃収入によるインカムゲインをメインにするファンドには「インカム型」と表記されています。事業者は物件を貸し出して得た家賃収入から投資家に分配金を支払います。家賃収入がメインの投資スタイルのため、安定的な収益を得られるのが特徴です。一般的に家賃保証がある「マスターリース契約」を結ぶため、空室リスクはありません。

マスターリース契約のイメージ

分配金は不動産の家賃収入から支払われます。分配金の支払いは毎月行われるのが一般的ですが、例外もあります。

併用型

数は少ないですが、キャピタル型とインカム型を併用したファンドもあります。例えばCREALが募集した「CREAL住吉」は併用型で募集が行われ、利回りはキャピタルゲイン相当が1.5%、インカムゲイン相当が2.7%の合計4.2%です。

18ヵ月の運用期間中4回インカムゲイン相当の配当が行われ、売却時に「運用期間×年利4.2%-既配当額」の式で計算された金額がキャピタルゲイン相当として支払われます。

関連記事:キャピタル型とインカム型の違いとは?

類似の投資商品には何がある?

投資商品のなかには、不動産クラウドファンディングと類似した商品がいくつかあります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

REIT(不動産投資信託)

REITは投資家から集めた資金で不動産に投資し、運用の結果得た売却益や賃料収入を分配金として還元する投資商品です。単一の不動産に投資する不動産クラウドファンディングとは異なり、複数の物件に分散投資してポートフォリオを形成します。REITの運用期間は原則として決まっていませんが、流動性が高く換金は容易です。

関連記事:REITが高利回りの理由とは?配当の仕組みを解説

不動産小口化商品

不動産小口化商品は、特定の不動産を数万円から100万円程度に小口化して販売し、売却益や賃料収入から投資家に利益を分配する仕組みです。1口の出資金は10万円、50万円、100万円などファンドごとに異なります。

具体的な商品例としては「駐車場小口化商品」などが挙げられます。例えば、トラストパートナーズが運営する駐車場小口化商品は、トラストパートナーズと投資家が「任意組合契約」を結び、マスターリース会社に駐車場を貸し出します。投資家は賃貸事業の結果得た駐車料金を事業者から受け取る仕組みです。1口50万円、利回り4~6%という条件で募集が行われています。

ソーシャルレンディング

クラウドファンディングと似た仕組みの商品にソーシャルレンディングがあります。ソーシャルレンディングは、運営事業者がインターネット上で投資家から集めた資金を、融資を受けたい企業に貸し付けて利息収入を得る投資商品です。企業から利息を加えて返済されたお金を、投資家に出資元本と利息として還元します。

現物不動産投資

現物不動産投資のなかでは、一棟物件の一室を購入する区分所有マンションが不動産小口化商品に似た投資対象といえるでしょう。

しかし、中古のワンルームマンションでも購入するには数百万円の資金がかかります。小口の投資としては敷居が高いかもしれません。また、1室のみ所有の場合、空室が出ると家賃収入が絶たれるため、空室リスクを考慮した経営が必要です。

他の不動産投資と比較した際のメリット

投資の原則として、安全性を優先すると利回りが低くなり、利益を優先すると利回りが高い分リスクも高くなります。ローリスク・ハイリターンという都合のよい投資は存在しません。不動産クラウドファンディングはどちらに該当するのでしょうか。

安全優先の投資商品

不動産小口化商品のなかには、安全優先の仕組みで運用されているものもあります。一例を挙げると、「一口家主iAsset」の場合、複数の投資家が1口50万円で共同出資し、物件を運営事業者に貸し出します。

運営事業者は一定の範囲内で事業者が損失を負担する「優先劣後方式」と、一括借り上げによって空室リスクがない「マスターリース契約」を採用することで、元本割れの可能性が低い運用を行います。

登記によって不動産は投資家の名義になるので、運営事業者が倒産した場合でも所有権は守られます。ただし安全優先の仕組みのため、利回りは2%台と他の不動産小口化商品より低めになります。

利益優先の投資商品

REITのなかには東京証券取引所に上場し、株式と同じように売買できる銘柄があります。これを特別にJ-REIT(上場不動産投資信託)と呼んで非上場の私募REITと区別しています。

値上がりしたタイミングで売却すればキャピタルゲインを得られるので、利益優先の不動産投資といえますが、その一方で大きく値下がりするリスクもあります。

不動産クラウドファンディングはバランスがとれた投資商品

投資を考える場合、安全性と高い利益のバランスがとれた商品が理想的ですが、不動産クラウドファンディングはその条件に合致しています。

不動産クラウドファンディングは「優先劣後方式」や「マスターリース契約」を採用して安全な運用がなされていながら、予定利回りが概ね4~7%程度と高く、バランスがとれている点がメリットです。このことから、不動産クラウドファンディングはローリスク・ミドルリターンの投資商品といえます。

リスクが少ない投資で高い利回りを目指すなら不動産クラウドファンディング

不動産クラウドファンディングは、不動産小口化商品のなかでも安全性と高利回りを両立できる商品であることが確認できました。

不動産投資クラウドファンディングは、いつかは現物不動産を購入してみたいと考えている人には練習にもなる投資商品です。書籍やインターネットで学ぶだけでなく、少額でも実際に投資することで学びへのモチベーションも上がるでしょう。

初心者がいきなり高額な不動産に投資するのは不安が残るものです。まずは低リスクで高い利回りを得られる不動産クラウドファンディングに投資して、メリットを体験してみてはいかがでしょうか。

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