外国人が暮らしやすい国ランキングや国際競争力ランキング等で、常に上位をキープしているシンガポール。シンガポールが人気の理由は何なのでしょうか?
今回はシンガポールの魅力に迫ってみます。
温暖な気候と多様な民族構成
マレー半島の最南端に位置するシンガポール。マーライオンでおなじみのシンガポール島と、大小63の島で構成されています。日本との時差は1時間(日本時間マイナス1時間)、直行便では約7時間で行くことができる距離です。
赤道直下で熱帯性気候に属していますが、年間の平均気温は27度前後と、それほど暑くはなりません。また、台風や地震のような自然災害も極めて少ないことから、年間を通じて過ごしやすい国です。
シンガポールは複数の民族が共存する多民族国家で、民族構成は中華系76%・マレー系15%・インド系7.5%となっています。チャイナ・タウンやリトル・インディアなど、街中には各民族の特徴を色濃く残すエリアを見ることができます。中華系のお店がひしめき合うエリアのすぐ近くに、ヒンズー教の寺院がある風景は、シンガポール特有でしょう。
表:シンガポール国民の民族構成
(出所:シンガポール統計局より作成) 公用語は英語・中国語・マレー語・タミール語ですが、ビジネスや生活シーンなどでは英語が共通語として幅広く使われています。
民族の多様性は、食事にも大きな影響を与えています。外食文化が発達しているシンガポールでは、「ホーカーセンター」と呼ばれる屋台村が街のいたるところにあり、中華料理やマレー料理、インド料理をはじめとする多国籍の料理を数シンガポール・ドル(1ドル=約80円)で楽しむことができます。大戸屋や一風堂のような日系のレストランも多く出店しているので、和食にも不自由しません。
2016年にはシンガポール版のミシュランガイドも発行され、高級店から大衆店までバラエティに富んだ美食の街としても知名度を上げてきています。
整備されたインフラと魅力的な税制度
国土は719㎢、東京23区と同程度の面積に約570万人が暮らしています。在留邦人数は36,624人(2018年)と世界都市別では第5位、高島屋や伊勢丹などのデパートから、ユニクロやダイソーなどのブランドまで、日本の店舗も数多く進出しています。たいていの日本のグッズは手に入るので、日本であれこれ買わずに済みます。
(出所:外務省「海外在留邦人数調査統計」)
地下鉄やバスなどの公共交通網が発達し、タクシーや配車サービスも整備されていることから、容易に国内を移動することができます。インターネット環境も整備されており、街中には無料Wi-Fiスポットも多数設置されています。
中心部には多数の高層ビルが立ち並んでいますが、国の緑化政策によって、いたるところに手入れされた街路樹や南国の花々を見ることができます。シンガポールは都会の便利さや快適さと、緑に囲まれた豊かな自然が同居しています。
シンガポールは1965年の独立後、港湾や空港、通信などのインフラ整備に注力するとともに、行政手続きの効率化や企業にとって魅力的な税制等の制度構築を行ってきました。
その結果、世界経済フォーラムの国際競争力ランキングで1位(日本は6位)、スイスのビジネススクール・IMDによるランキングでも1位(日本は30位)を獲得するなど、世界でも有数のビジネス環境を構築。また、英国シンクタンク発表の国際金融センター指数では4位(東京は6位)と、国際金融センターとしても地位を確立しています。
このように、シンガポールはグローバル企業の地域統括拠点や大手金融機関が数多く集まる世界でも有数のビジネス先進国となりました。世界各国の大手企業名を冠した高層ビルが立ち並ぶオフィス街は圧巻です。
世界的に見ても魅力的な税制を提供しているシンガポールは、企業だけでなく、多くの富裕層も引き寄せています。相続税やキャピタルゲイン税などを非課税にすることにより、個人の資産形成においても魅力的な国となっています。
良好な治安と高水準の医療・教育
教育についてもみていきましょう。英国人材会社ECAインターナショナルによるアジア人駐在員向け「アジアで住みやすい都市ランキング」で1位(東京、名古屋、大阪は5位)を獲得しているシンガポール。世界有数の良好な治安を維持するとともに、医療や教育などにも力を入れており、その水準は世界でもトップレベルと言われています。
世界で広く取り入れられている英語能力試験であり、英語圏の高等教育機関への出願に必要となるTOEFLの国別平均点では、シンガポールが98点(日本は71点)と、アジア地域で最も高くなっています。また、国際的な大学入学資格である国際バカロレア資格の試験では、シンガポールが世界で最も多くの満点合格者を出しています。学校が近くにあるカフェでは、ひとり黙々と勉強する子供たちをよく見かけます。彼らの努力が試験の結果に表れているのでしょう。
早期から英語を教育言語として取り入れていることに加え、中国語が身近にある環境から、シンガポールを子供の教育のための移住先として選ぶ人も増えてきています。
高い生活コストと高齢化社会
シンガポールの一人当たりGDPは約8.7万シンガポール・ドルと、世界でも有数の豊かな国となりました。一方、近年のシンガポールでは生活コストが年々高まってきています。不動産に関しても需要が高く、価格は高い水準で推移しています。
また、高齢化も始まっており、シンガポール国民および永住権保有者に占める65歳以上の比率は14.4%(2019年)と2013年から2桁台になってきています。街中ではシニアの方々を見かけることも多いです。
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