フィリピン,住宅タイプ
(画像=RaksyBH/Shutterstock.com)

フィリピンの住宅価格インデックス

フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP))が四半期ごとに発表している住宅価格インデックスによると、2019年第3四半期のフィリピン住宅価格が過去3年以上で最も大きな成長を見せました。

BSPは、2019年末の発表の中で、住宅価格インデックス(Residential Real Estate Price Index、RREPI)が二桁の10.4%増を記録し、2018年同期の116.6から128.7になったと伝えています。

これは、特にNCR(National Capital Region)と呼ばれる首都圏において、コンドミニアム、デュプレックスだけでなく、シングルデタッチトハウスやタウンハウスの取得コストが急激にあがったことによります。

この成長率は、2016年第1四半期以来最高です。この背景として、フィリピン・オフショア・ゲーミング・オペレータ(POGO)と呼ばれるオンライン・カジノ事業者で働く中国人の増加により、過去数年間でコンドミニアムユニットの需要が急激に上がったことがあげられています。

▼フィリピン住宅価格インデックス(2014年第1四半期=100)

フィリピン住宅価格インデックス(2014年第1四半期=100)
(出所:フィリピン中央銀行より作成)

フィリピンの一般的な住宅タイプ

本日は、このグラフに出てくるものを中心に、フィリピンの一般的な住宅タイプについて解説していきましょう。

1.シングルデタッチト/アタッチトハウス

これらは一戸建ての住宅です。シングルデタッチトとシングルアタッチトでは、敷地内における住宅の位置に違いがあります。

○シングルデタッチト
シングルデタッチトとは、住宅が、敷地の境界線のどこにも接していない状態のものです。つまり、前、後ろ、両脇にオープンスペースがあって、住宅が真ん中にあるような家です。

○シングルアタッチト
一方で、シングルアタッチトとは、住宅の1辺が、敷地の両端のいずれかの1辺に沿って建っている状態のものです。つまり、建物の右側または左側に大きなスペースができることになります。後述のデュプレックスと似ていますが、シングルアタッチトの場合は家が隣同士になっているものに限ります。

また、住宅が何階建てかによっても呼び名があります。

○バンガロー
1階建ての建物の中にすべての部屋が入っている状態です。日本で言う平屋に相当します。運動障害があって階段が使えない、高齢の家族・親族が同居しているファミリーに好まれるタイプで、フィリピンでは最もよくみられる住宅のひとつです。

○マルチストーリーまたはマルチレベル
2階以上の複数の階がある住宅です。ゲート付きの分譲地内に見られることが多く、スペースを必要とする大家族に好まれるタイプです。一般的に、リビング・ダイニングエリア、キッチンなどは1階に、ベッドルームなどのプライベートなスペースは2階以上に配置されています。

2.デュプレックス

ひとつの建物に2つの住宅ユニットが入っている状態です。隣同士の場合もあれば、上下の場合もあります。3つの住宅ユニットが入った状態のものはトリプレックスといいます。

3.タウンハウス

バンガローおよびマルチストーリーハウスがそれぞれ単独の建物であるのに対して、タウンハウス(アパートメントと呼ばれることもある)は、複数の住居が水平に連なっていて、壁を共有している状態です。タウンホーム、またはロウハウスと呼ばれることもあります。日本の長屋を思い浮かべるとよいでしょう。それぞれ個別のテナントが占有し、タウンハウスの所有権が付与されます。屋根、壁、駐車エリア、その他屋外スペースを共有することになります。

タウンハウスは、もっとスペースが欲しいけれど、マルチストーリーハウスに投資する計画がないようなファミリー向けとされています。

4.コンドミニアムユニット

コンドミニアムはひとつの建物、または開発物件内のユニットスペースから構成されています。スタジオタイプ(ワンルーム)から、1ベッドルーム、2ベッドルーム、3ベッドルームと複数のベッドルームがあるものもあります。

それぞれのユニットを別々のオーナーが所有することができ、それぞれ個別の所有権利証書を持つことになります。日本の分譲マンションのイメージです。コンドミニアムのオーナーとして、コンドミニアム内のプールやジムなどのアメニティ(快適性や利便性を提供するための特徴)、その他共有エリアにアクセスすることができます。ショッピングセンターなどが併設されているものもあります。

このようなタイプの物件は、大都市やCBD (Central Business District)と呼ばれる中心業務地区に多く見られます。職場の近くに住みたい社会人や、若い家族に特に人気の物件です。