高級賃貸マンションで不動産投資をする前に知っておきたいポイントとは?
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本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

不動産マーケットでは、最近高級マンションの物件価格が好調です。あわせてコロナ禍で在宅勤務が広がり高級賃貸マンションも人気を集めています。追い風ともいえる環境のため「高級賃貸マンションを経営したい」という人もいるのではないでしょうか。ここでは、高級賃貸マンションによる不動産投資を始めるときのポイントを解説します。

名ばかり高級賃貸マンションにご注意を!

高級賃貸マンションで不動産投資を始めるときのポイントは「本当の高級マンションを購入する」ということです。高級マンションには、絶対的な条件や定義がないため、悪徳業者の口車にのせられて資産価値に対して購入価格が割高な「名ばかり高級マンション」をつかむ可能性もあります。だまされないためには、以下の3つのような高級マンションの条件を意識したうえで賃貸物件を購入することが必要です。

高級マンションの条件1:都心の一等地にある

高級マンションに絶対欠かせない条件は「都心の一等地」にあることです。東京都内の一等地の例では、おしゃれなエリアともいえる表参道や青山、高級住宅地の六本木や麻布十番、近年開発が進む虎ノ門・高輪など。注意したいのは、都心の一等地にあるマンションすべてが高級マンションではない点です。例えば六本木にある物件でも普通のマンションと高級マンションが存在します。

一等地にある普通のマンションを高値つかみしないよう以下に挙げた高級マンションのほかの条件も必ずチェックしましょう。

高級マンションの条件2:住居スペースが広く、高級素材が使われている

コンパクトな高級マンションも存在しますが一般的には一等地にありながらゆったりとした住居スペースというのが特徴です。100平方メートル超をはじめなかには200~300平方メートルの高級マンションもあります。収納も充実していて広めのウォークイン・クローゼットやシューズイン・クローゼットなどを備える物件も多い傾向です。

高級マンションでは、住居スペース(専有部分)の床や壁に高級素材がふんだんに使われているのも特徴。一例では「床材に希少価値の高い無垢材が使われている」「玄関や廊下に天然大理石が使われている」といった具合です。この物件は、高級マンションだろうか……と疑問に感じたときは「この大理石は天然ですか」「この床材はどんな素材ですか」など住居スペースの部材を確認するのも有効でしょう。

高級マンションの条件3:共用スペースや共用施設が充実している

共用スペースがラグジュアリー感あふれることも高級マンションの特徴です。一例では、ホテルのような開放的なエントランスロビーやコンシェルジュが常駐しているフロントを設置している高級マンションもあります。共用施設が充実していることも多くフィットネスジムやゲストルーム、ラウンジ、託児施設、スパなどを備えている高級マンションもあります。

ただし高級マンションの中には、タワーマンションや大規模マンションのほかに戸数の少ない低層タイプもあり共用施設が少ないことも。こういったタイプの高級マンションは、希少価値が高く管理が行き届いていることも多いため、築年数が経っても資産価値の落ちない「ヴィンテージマンション」となることもあります。

補足:地方都市に高級マンション建設の流れも

高級マンションの条件1では、「都心の一等地にあること」を挙げました。しかし最近では、東京・大阪・名古屋などの大都市以外の地方都市にも高級マンション建設の流れが広がっています。例えば野村不動産が福島県福島市や郡山市、栃木県宇都宮市などで高級分譲マンション開発をする動きを日本経済新聞が報じています。

今後ほかの大手デベロッパーも追随したりこういった地方都市の高級分譲マンションを活用して賃貸経営をするオーナーが増えたりする可能性もあるでしょう。しかしこのような地方都市の高級マンションを「都心の高級マンション」と同列に扱うかは議論が分かれるところです。高級賃貸マンション経営をするなら大都市の都心が無難かもしれません。

高級賃貸マンションによる不動産投資のメリット

高級賃貸マンションによる不動産投資を始めるとき押さえておきたいポイントは、一般物件にはない「高額物件だからこそのメリット・デメリット」を把握することです。ここからは、高級賃貸マンションにおける不動産投資の3つのメリットを紹介します。

メリット1:資産価値が安定している

例えば東京23区の中でも一等地は限られます。さらに一等地には、商業施設やホテルなどが建っていることも多いため、一等地の高級マンションは希少です。仮に不動産マーケット全体のマンションが供給過剰になっても一等地の高級マンションが極端な供給過剰になる可能性は低いといえます。そのため高級賃貸マンションには「資産価値が安定している」メリットがあるといえるでしょう。

メリット2:空室リスクが低い

一般的な物件での不動産投資で最も警戒すべきリスクは、家賃収入が途絶える空室でしょう。高級賃貸マンションの不動産投資の場合、この空室リスクが低いのが大きな魅力です。上述した通り一等地の高級賃貸マンションには、希少性があります。そのため空室が発生しても比較的次の入居者が探しやすい傾向です。

メリット3:節税効果が高い

高級マンションの中でもタワーマンションは、富裕層の相続税対策として人気です。高級マンションで賃貸経営をすれば安定した家賃収入を得ながら節税が期待できます。なおタワーマンションが節税に有効な理由として「物件価格に占める建物価格の割合が高いこと」「高層階と低層階の価格差を利用しやすいこと(※)」などが挙げられます。

※ただし固定資産税評価額については税制改正によって「1階上がるごとに約0.26%税額が高くなる」内容になっています。

高級賃貸マンションによる不動産投資のデメリット

一方でデメリットには、以下のような2つがあります。

デメリット1:空室時の負担が大きい

メリット2で記載したように高級賃貸マンションは希少性があるため、空室リスクが低い特徴があります。しかし「空室リスクがゼロになる」というわけではありません。万が一長期空室が発生したときには、家賃が高額な分、オーナーの負担もそれだけ重くなります。高級賃貸マンションを経営するときには、空室期間が長引いてもそれをムリなく補てんできるかの視点も大切です。

デメリット2:管理費が割高である

高級賃貸マンションは、共用設備が充実している分、通常のマンションよりも管理費や修繕積立金がかかるケースが多い傾向です。その負担が重くてキャッシュフローが悪化することもあるため、管理費や修繕積立金を意識した収支計画を立てるのが無難といえます。

目的が相続税対策でも「高値つかみ」は避けたい

高級マンションには、希少価値が高い魅力があります。立地がよいほど希少価値も高まるため、不動産業者に「このエリアの物件はそうそう出ないですよ」といったトークをされると「逃がしたくない」という心境に陥りやすくなる人もいるのではないでしょうか。そんなとき住居のための購入であれば「不動産は1点もの」となるため、割高で購入する選択もあるかもしれません。

しかし賃貸経営のためならたとえ目的が相続税対策のためでも高値つかみはするべきではありません。なぜなら極端な低利回りになって資産が目減りしたり将来的に大きな売却差損が発生したりするリスクがあるからです。高級賃貸マンションの売買契約する前には、必ず「相場価格での購入か」を自分自身でリサーチすることをおすすめします。

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