不動産投資の賃貸物件は、任せる管理会社によって収益が大きく変わる可能性があります。しかしどんな基準で管理会社を選べばよいか、わからないという不動産投資初心者は多いと思います。
しっかり管理してくれる管理会社を選ぶためには、まずその業務内容を知ることをおすすめします。ここでは不動産管理会社が行う業務内容と、選ぶときのチェックポイントを詳しくお伝えします。安心して任せられる管理会社を選び、手間のかからない不動産経営を実現させるために役立ててください。
主な業務は賃貸管理と建物管理
不動産管理会社が行う管理業務は、主に賃貸管理と建物管理の2つがあり、具体的な業務もこの2つに分けて考えると理解しやすくなります。それぞれの業務を把握し、検討する管理会社がどのように取り組んでいるか質問するようにしてみましょう。
賃貸管理は収入に直結する
賃貸管理は主に入居者募集や賃貸契約、クレーム対応など、入居者に関する業務になります。家賃収入の増減や安定につながる役割といえ、投資物件を任せるためにしっかり確認したい部分です。
入居者募集
入居者募集では、広告などさまざまな媒体で物件を宣伝し、営業活動を行って物件の入居者を集めます。広告は賃貸物件情報サイトや不動産情報誌、新聞の折り込みや店舗に置くチラシなどに掲載します。
営業活動は他の仲介会社に物件を宣伝し、企業に訪問してチラシを配ることもあります。また物件をきれいに清掃したり、入居者募集のポスターやのぼり旗を掲示したりするのも営業活動のひとつです。
契約締結
入居者との契約は、投資物件の収益を左右する非常に重要な業務です。広告や宣伝活動から問い合わせをしてきた入居希望者を、契約まで持っていく「客付け力」が無ければ収益になりません。管理会社を選ぶときはこの「客付け力」をしっかり見極めることが重要なポイントです。
この契約業務は物件を仲介する不動産会社が行う場合もあります。そのため「客付け力」のある不動産会社を抱えているかも、管理会社の力量の一つといえます。
家賃集金と滞納督促
入居者からの家賃集金や、滞納の督促も賃貸管理の大切な仕事です。中には滞納督促を不得意にしている管理会社もありますが、そうしたところに任せると満室なのに家賃収入が安定しないという状態になります。
悪質な滞納者は、なかなか支払わないうえに退去もせず賃貸投資に悪影響を及ぼします。家賃集金の管理は当然のこととして、毅然とした態度で滞納の督促を行う管理会社を選ぶようにしましょう。
クレーム対応
入居者からのクレームは、対応によっては不満が大きくなり退去されてしまうこともあります。クレーム内容は設備の故障や汚れから、入居者同士のトラブルまでさまざまです。
このクレーム対応も管理会社によって力量の差があり、特に住民同士のトラブル解決やクレーマー対応などを苦手にしている管理会社もあります。管理会社選びでは参考のため、クレームの事例やどう対応したかについて聞いてみるとよいでしょう。
敷金の精算
入居者が退去した後の、敷金精算も管理会社が行い、入居者に責任のある破損や汚れがあれば修繕費を差し引きます。入居者が負担すべき損傷などの範囲は公的なガイドラインがありますが、入居者に請求するのを手間に感じ所有者負担にしてしまう管理会社もいるようです。
しかし入居者負担の費用を所有者が支払えば運営資金の損失になってしまいます。管理会社にどのような費用が入居者負担になるか質問し、しっかりと請求している管理会社を選びましょう。
建物管理は支出を左右する
建物管理は、物件所有しているあいだの支出を左右する重要な業務です。管理会社が建物を健全な状態に維持してくれることで、修繕などの余計な出費をせずに済みます。もし管理が不十分なら、突然大きな修繕費などが発生し資金繰りに困ることもあります。
次に紹介する建物の管理業務を把握し、きちんと建物管理を行う管理会社か確かめるようにしましょう。
日常的な清掃
物件の清掃は入居者に長く住んでもらい、さらに新たな入居者を獲得するためにとても大切な業務です。玄関まわりや廊下、ゴミ出し場などが汚れていたり、外が雑草だらけになっていたりすれば入居者に敬遠されます。
一般的に建物の清掃は、管理会社が外部業者に委託しています。どのような頻度で清掃を行う契約になっているか、質問してみるとよいでしょう。
修理や点検の手配と立ち会い
建物が破損したり設備が故障したりしたとき、管理会社が修理や交換を手配します。エアコンや給湯器が故障すれば入居者に不便を与え、照明が切れていれば防犯面が心配になるため、小さなことでも早急に対処する管理会社が望ましいでしょう。
また重大な破損や故障が起きないように、定期的な建物の点検も大切です。具体的にどれくらいの間隔で、どの部分の点検を行っているか詳しく聞いてみるようにしましょう。
修繕計画作成と提案
建物の長期的な修繕計画を立てることも、管理会社の重要な業務です。年数のたった建物は、一定期間ごとに大規模な修繕を行う必要があります。これをあらかじめ計画しておくことで、大きな破損を未然に防ぎ、そのための予算準備もできるようになります。
代表的なものには、外壁の塗装や屋根の防水工事、共用部分の廊下や階段の修繕、エアコンや給湯器の入れ替えなどがあります。過去の大規模修繕の提案事例などを見せてもらい、物件ごとの劣化や、使われる材料に応じた丁寧な修繕の提案している管理会社を選ぶと安心です。
退去後のクリーニングや原状回復
入居者が退去した後の、部屋のクリーニングや原状回復も管理業務の一つです。しっかりときれいな状態に戻すことで、新たな入居者に選ばれやすい部屋になります。床や壁紙はもちろん、水回りなどの汚れを落とし、傷んでいればすぐに修理の手配をします。
また空室になったタイミングは、部屋の内装を変えたり古びた水回りをグレードアップしたりするリノベーションを行う絶好の機会です。コストはかかりますが、入居者を集めやすくなり場合によっては家賃を上げることもできます。管理会社にそうした収益アップの提案もしてくれるか聞いてみてもよいでしょう。
売買仲介を行える管理会社か確認
管理業務のことではありませんが、管理会社の中には不動産売買を仲介するところもあり、物件売却時に頼りになるか注目しておくとよいかもしれません。物件の詳細を熟知している管理会社に任せられれば、物件の良さをアピールしやすく高値で売却できる可能性があるからです。
もちろん管理業務をきちんと行えるかが重要であり、わざわざ売買仲介もしている管理会社を選ぶ必要はありません。しかし検討する管理会社が不動産売買仲介も行っているなら、その業績や売却時のフォローなども質問しておくとよいでしょう。
バランスよく管理業務を行う管理会社を選ぶ
管理会社は幅広い業務を行っていますが、賃貸管理と建物管理をバランスよく行っているところに頼むようにしましょう。どちらかの業務が苦手としている管理会社もあり、あまりにかたよっていると収益が悪化する恐れもあります。
例えば建物の修繕などは得意でも、滞納督促やクレーム対応などの入居者相手の業務は苦手という会社もあります。逆にお金の管理はしっかりしているものの、建築知識が少なく修繕などが不十分というところもあるでしょう。
それぞれの分野の業務を、しっかり行える管理会社を選んだ方が安心して物件を任せられます。紹介した業務についてまんべんなく質問し、バランス良く取り組んでいる管理会社を選ぶようにしましょう。
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