賃貸経営をするにあたり実務面に関して以下のような不安を感じることはないでしょうか?
- 建物の修繕やクレーム対応などすべてオーナーが自分でしなければいけないの?
- 賃貸経営のサポートをしてくれる業者はいるの?
- 賃貸経営にはどんなコストがかかるの?
賃貸経営では、建物や機械設備に関する専門知識や現場実務のノウハウ、税務に関する理解などが幅広く求められるため、すべてをオーナー個人で行うのは現実的ではありません。本記事では、賃貸経営についてオーナーをサポートする関係業者5つ、賃貸経営にかかるコスト8つ、優秀な管理会社の選び方5つを解説します。
オーナーをサポート!賃貸経営にはどんな関係業者がいる?
賃貸経営についてオーナーをサポートする関係業者は、以下の5つです。
- 金融機関
- 賃貸管理会社
- 共用部管理会社
- 仲介業者(賃貸・売買)
- 税理士
上記5つの関係業者の力を借りることで賃貸経営の現場実務の大部分をアウトソーシングすることが可能です。オーナーは、経営判断にフォーカスしやすくなるでしょう。
金融機関
金融機関とは、賃貸経営に必要な資金を融資してくれる銀行や信用金庫などを指します。物件購入時や大規模修繕を行う際には、数千万円以上の規模の資金が必要になることもあるため、大部分のオーナーが利用することになるでしょう。
賃貸管理会社
賃貸管理会社とは、オーナーに代わって空室の入居者募集活動や修繕工事の発注および工期管理、クレーム対応などの現場実務を行う業者です。入居者の入居から退去までの実務を一気通貫で代行する業者のため、オーナーとの接触機会が最も多い関係業者の一つといえます。賃貸管理会社の質が賃貸経営のパフォーマンスに大きく影響するといっても過言ではありません。
そのため賃貸管理会社を選ぶ際は、よく吟味しましょう。(優秀な賃貸管理会社の選び方については後述)
共用部管理会社
共用部管理会社とは、建物の共用部(外壁、屋上、エレベーター、共用施設等)のメンテナンスを行う業者です。特に区分マンションでは、管理組合という入居者全員で組織される組合の運営や大規模修繕の実施などを行う関係業者として重要な役割を担っています。
仲介業者(賃貸・売買)
仲介業者には、賃貸仲介業者と売買仲介業者がおりそれぞれに役割が異なります。
・賃貸仲介業者
賃貸住宅を探しているお客様に空室の情報を紹介する業者のことを指します。空室の入居者募集活動において関わる業者です。
・売買仲介業者
物件の売買をする際に取引の相手を探し、価格交渉をしたり契約締結等の事務的な業務を行ったりする業者です。
税理士
税理士とは、賃貸経営における税務面のコンサルティングや確定申告の代行をしてくれる業者です。賃貸経営には、税務や会計についての理解も必要になるため、毎年の確定申告の際などに関わる可能性があるでしょう。
賃貸経営にかかる8つのコスト
賃貸経営にかかるコストには、主に以下の8つが挙げられます。
- ローン返済
- 管理委託料
- 管理費および修繕積立金(区分マンションの場合)
- 共用部分の電気代および水道代(一棟物件の場合)
- 損害保険料
- 税金
- 入退去費用
- 修繕費
コストは、固定費(定期的に発生するコスト)と変動費(不定期または突発的に発生するコスト)に大別され上から6つが固定費、下から2つが変動費です。
ローン返済
ローン返済とは、その名の通り不動産購入の際に組んだローンの返済のことです。元本の返済分に金利を上乗せした金額を毎月金融機関に支払います。元利均等型のローンの場合、毎月同じ金額が引き落とされるため、固定費に分類されます。
管理委託料
管理委託料とは、賃貸管理会社に支払う委託報酬のことです。一般的に管理委託料は「管理委託している物件の家賃×手数料率」で算出され手数料率の目安は約5%です。管理委託料は、管理会社からオーナーに送金される家賃から差し引かれる形で毎月支払うことになることが多いため、固定費に分類されます。
管理費および修繕積立金(区分マンションの場合)
管理費および修繕積立金は、区分マンション特有のコストです。
・管理費
物件の日常的な運営のための費用(水道光熱費、共用設備の維持費、管理員への人件費など)や共用部管理会社への報酬に充てられる費用です。
・修繕積立金
12年程度の周期を目安に行われる大規模修繕に備えて積み立てられる資金のことです。
ワンルームのみの小規模マンションの管理費および修繕積立金は、毎月数千円の場合もあります。しかしタワーマンションなど大規模かつ共用施設が充実しているマンションの場合、毎月数万円の固定費としてかかることもあるため、注意が必要です。
共用部分の電気代および水道代(一棟物件の場合)
一棟物件の場合、共用部分の電気代および水道代はオーナーの負担です。物件規模や使用量によって金額は異なりますが毎月ないし2ヵ月に一度のペースで定期的に請求されるため固定費に分類されます。
損害保険料
損害保険料とは、火災保険や地震保険などに加入する場合に支払う保険料のことです。賃貸経営をするうえでは、自然災害やそれに付随する2次災害などに万全な備えをしておくのが得策でしょう。加入する保険の内容によって保険料は大きく異なります。1年ないし数年に一度のペースで定期的に請求されるため固定費に分類されます。
税金
賃貸経営において毎年発生する税金には、以下の4つがあります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 不動産所得に対する所得税
- 不動産所得に対する住民税
税額は、物件規模や家賃収入の金額などによって大きく異なりますが毎年請求されるため固定費に分類されます。
入退去費用
入退居費用とは、前の入居者が退去してから次の入居者が入居するまでに発生する「原状回復工事費用」、入居者募集活動のための「広告費」、賃貸管理会社への「契約事務手数料など」の総称です。工事範囲や設備交換の有無や入居者募集活動をする時期といった要因で入退去費用は変動します。入退居は、不定期に発生するため、変動費に分類されます。
修繕費
修繕費とは、物件内の設備の修理や交換等のためのコストです。賃貸住宅にはエアコンや給湯器、エレベーターなどメンテナンスが必要な設備が多数あるため、国土交通省作成の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」などを参照し目安の交換周期と費用から計算して定期的に積み立てておくといいでしょう。設備の故障などによる修繕は、突発的に発生するため、変動費に分類されます。
賃貸管理会社の選び方5選!優秀な賃貸管理会社を見極めよう
優秀な賃貸管理会社の選び方は、以下の5つです。
- 管理実績が豊富
- 空室率が低い
- 家賃滞納率が低い
- 管理プランが多様
- 対応が迅速
賃貸管理会社の質は、賃貸経営のパフォーマンスを大きく左右します。そのため上記の基準に照らして優秀な賃貸管理会社を見極めましょう。
管理実績が豊富
管理実績とは、その業者が管理している戸数や物件所在エリア、物件種別(一棟物件、区分マンション、戸建、テナントビル)などの実績のことです。多種多様な物件を管理している業者には、賃貸経営のノウハウや情報の蓄積が豊富にあることが多いため、どのような物件をどの程度管理しているかを確認しましょう。
空室率が低い
空室率の高低は、業者の入居者募集における実力(空室を埋める能力)を表す重要な指標の一つです。賃貸経営の主たる収入源は家賃収入となるため、空室率が高くなると経営収支の悪化に直結します。そのため業者が管理している物件の空室率および空室率を下げるためにどのような策を講じているかを確認しましょう。
家賃滞納率が低い
家賃滞納率とは、業者が管理している物件で未回収家賃がどの程度あるかを表す指標です。入居者がいても家賃滞納があると家賃収入を得ることができません。また滞納が続いている場合は、入居者を強制退去させるための法的手続きをとらざるを得なくないケースもあります。
家賃滞納を未然に防ぐ策(全入居者への家賃保証会社への加入必須化、入居審査の厳格化など)を講じており実際に家賃滞納率を低く抑えられているかを確認しましょう。
管理プランが多様
管理プランは、オーナーの賃貸経営に関する知識や持ちたい裁量の大きさに応じて幅広いものがあることが理想的でしょう。なぜならオーナーの中には「賃貸経営のノウハウがほとんどなく手数料を多く払ってでも管理を全面的に委託したい」「事務的な業務代行のみで手数料を安く抑えたい」などさまざまな考えを持った人がいるからです。
用意している管理プランがたくさんあるほどオーナーのニーズに合ったプランを選択でき管理委託のコストパフォーマンスを最大化しやすいでしょう。
対応が迅速
賃貸経営においては、対応の質と並んでスピードも極めて重要です。クレーム対応や入居者募集活動をはじめ賃貸経営の業務は、いずれにおいても対応の遅れによって致命的な問題(入居者の早期退去や空室の長期化等)に発展する可能性があります。担当者のレスポンスの早さなどからオーナーが依頼した事項を迅速に実行してくれる業者か否かを確認しましょう。
関係業者のサポートを活用することで賃貸経営は盤石になる
盤石な賃貸経営は、オーナーだけでなく各関係業者のサポートがあるからこそ実現します。どのような業者がどのような役割を持っているかを把握しオーナーの賃貸経営に関する知識や経験値の量にも鑑みながらコストパフォーマンスを最大化できる経営体制を構築しましょう。
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