年収3,000万円の税対策とは?
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新井智美
新井智美
新井智美/トータルマネーコンサルタント CFP(R)認定者・一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)・DC(確定拠出年金)プランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員 個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。 公式サイト:https://marron-financial.com/

近年の税制改正は「所得の多い人から税金を多く徴収する」という増税が活発化していることが特徴です。また2015年から相続税の基礎控除額が見直されたため、高所得者にとっては増税に対する対策が必須となりつつあります。

目次

  1. 年収3,000万円の高所得者に税対策が必要な理由
    1. 給与所得控除額の遷移
    2. 年収3,000万円だとどのくらい課税される?
  2. 年収3,000万円の壁とは?
    1. 1 配偶者控除および配偶者特別控除
    2. 2 住宅ローン控除
    3. 3 住宅資金等の贈与非課税制度
    4. 4 結婚・子育て資金の贈与非課税制度
  3. 不動産投資による節税効果
    1. 不動産投資が必ず節税効果を生むわけではない
    2. 不動産投資における節税のポイント
  4. 法人設立を視野に入れる 
  5. 投資先としてヘッジファンドが注目されている 
  6. 高所得者に必要な税対策
    1. Q.年収3,000万円の高所得者に税対策が必要な理由は?
    2. Q.所得額が一定額を超えると適用されない控除制度とは?
    3. Q.不動産投資による節税効果を高めるポイントは?

年収3,000万円の高所得者に税対策が必要な理由

年収3,000万円ある人の割合は、全国でどのくらいいるのでしょうか。国税庁が発表している「民間給与実態統計調査(令和元年分)」によると2018年における年収2,500万円超の割合は、全体の0.3%となっています。一方で年収100万円以下、年収100万円以上200万円未満の低所得者の割合が2017年度から増えていることも見逃せません。

つまり低所得者の割合が増えている中でも高所得者の割合については横ばい状態となっているのです。こういった背景を踏まえて高所得者の負担が増えるさまざまな税制改正が行われていくことが想定できるでしょう。

給与所得控除額の遷移

給与所得者の場合は、基本的に経費という概念がありません。そのため経費にあたる費用として「給与所得控除」が設けられています。給与所得控除は、収入額によって上限が設けられているのが特徴です。これまでの税制改正で給与所得控除の金額がどのように変わってきたのかについて以下の表で確認してみましょう。

適用年給与等の収入金額の最高値給与所得控除額(上限)
2013~2015年1,500万円超245万円
2016年1,200万円超230万円
2017~2019年1,000万円超220万円
2020年~850万円超195万円

※2021年5月時点

改正を重ねるにつれて給与収入の最高値および給与所得控除額も下がっています。また2020年からは、給与所得控除以外でも2,500万円超の所得者については基礎控除の適用がなくなるため、かなりの負担増です。さらに同年には、配偶者控除や扶養控除の合計所得金額要件が引き上げられたり公的年金等控除の額が引き下げられたりしました。

2022年10月以降には、75歳以上の医療費の自己負担を年収に応じて1割負担から2割負担へ引き上げられるなど個人の支出増につながる改正が目立っています。超少子高齢化や所得の2極化により今後もこのような税改正が継続していくと考えておいたほうがよいでしょう。

年収3,000万円だとどのくらい課税される?

例えば年収3,000万円の40歳男性で家族が妻(専業主婦)と子ども(10歳)1人の場合、どのくらいの所得税額になるのでしょうか。まず所得控除できる金額は、以下の通りです。

  • 基礎控除:0円
  • 給与所得控除:195万円
  • 配偶者控除:0円
  • 配偶者特別控除:0円
  • 扶養控除:0円
  • 社会保険料控除:229万円

所得控除後の所得金額は、2,576万円となります。これに該当する所得税率を乗じて求められる税額は、2,576万円×40%-279万6,000円=750万8,000円です。加えて住民税の10%(約250万円)もあるため、年収の実に3分の1にあたる約1,000万円が納税金額の合計となります。

年収3,000万円の壁とは?

年収3,000万円といった高所得者に限らず所得額が一定額を超えると適用されない控除制度があります。

1 配偶者控除および配偶者特別控除

配偶者控除および配偶者特別控除を受ける要件の一つは「納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下」です。そのため年収3,000万円であればさまざまな控除を利用しても合計所得金額が1,000万円を上回ることが予想されることから適用対象外となる可能性が高くなります。

2 住宅ローン控除

住宅ローン控除を受ける際の適用要件の一つには「特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下」というものがあります。年収3,000万円ギリギリであれば所得控除を適用することで要件範囲内に収まりますが、それらの控除を適用しても所得金額が3,000万円を超える場合は住宅ローン控除を受けることはできなくなります。

3 住宅資金等の贈与非課税制度

住宅を購入する際に父母や祖父母など直系尊属からの贈与を受けた場合は、要件を満たすことで非課税制度を利用することが可能です。しかし要件の中には「贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下」と記載があります。そのため年収3,000万円であればこの適用を受けることができません。

4 結婚・子育て資金の贈与非課税制度

結婚・子育て資金に充てるために母や祖父母など直系尊属からの贈与を受けた場合も要件を満たせば非課税の利用が可能です。しかし要件の一つに「贈与を受ける前年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円以下」と記載されているため、年収3,000万円の場合はこの制度の対象とならない可能性が高いでしょう。また教育資金贈与の非課税制度についても同様の扱いとなります。

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不動産投資による節税効果

年収3,000万円ほどの高所得者となると不動産投資を考える人も多いのではないでしょうか。

不動産投資が必ず節税効果を生むわけではない

不動産投資による節税の効果が期待できるのは間違いありません。しかし不動産投資が節税対策として有効となるのは、あくまでも不動産所得がマイナスとなった場合です。不動産所得は、給与所得と合わせて損益通算することができるため、節税効果を期待するのであれば不動産所得が帳簿の上で損失を出していることが条件となります。

不動産投資における節税のポイント

不動産投資において節税効果を高めるポイントは「減価償却費」です。投資対象となる物件を購入した場合、当該物件の減価償却費を費用として毎年計上することができます。不動産所得は、その物件から得る収入(賃料収入)から物件の減価償却費や減価償却費以外の経費を引いた金額です。そのため減価償却費をどれだけ大きくできるかが節税のポイントとなります。

物件の減価償却費は「築年数」「構造」「購入費用」によって異なるため、いかに減価償却費を多く計上できる物件を購入できるかで節税効果は大きく変わってくるのが特徴です。

法人設立を視野に入れる 

不動産所得以外の収入が給与収入だけの場合は、法人化することでさらに節税することが可能です。法人化することで、経費の幅が広がります。例えば家族を役員にすることで報酬を支払い経費にすることも可能です。法人化する際には「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」への加入も合わせて検討しましょう。掛け金をすべて経費として計上することができます。

投資先としてヘッジファンドが注目されている 

年収3,000万円の高所得者であれば資産を有効活用することも視野に入れておきましょう。節税対策としての不動産投資以外にも投資先を検討し資産が減少するリスクを分散させることが大切です。また現在ではその投資先の一つとして「ヘッジファンド」が注目されています。ヘッジファンドとは、株式や債券、その他の金融派生商品などに分散投資し高い運用収益を追求する投資信託のことです。

より低いリスクで高い収益を狙う資産配分を構成したり将来の金融危機に備えたりする目的で利用され、日本では年金などの機関投資家の資金を主に預かって運用を行っています。これまでもリーマンショックやコロナショックのような世界的な金融危機が起こった際には、世界の株式や不動産などの資産が暴落となりました。

一方でヘッジファンドは、相場に左右されずに収益を得るためのリスクコントロールを行いながら運用し上述したような金融危機の際にも高い収益率を達成しています。このような現実から今後起こりうる金融危機に備えた自分の資産を守る方法としてヘッジファンドへの投資が注目され、利用者も増加しています。

不動産投資も、節税対策そして資産形成における有効な投資方法ですが、今後の日本における空き家リスクを考えるのであれば、将来において資産を安全に増やす目的で、自身の投資商品の一つにヘッジファンドを組み入れてもいいのではないでしょうか。

高所得者に必要な税対策

Q.年収3,000万円の高所得者に税対策が必要な理由は?

A.高所得者の負担が増えるさまざまな税制改正が行われていくことが想定できるから。

Q.所得額が一定額を超えると適用されない控除制度とは?

A.配偶者控除および配偶者特別控除、住宅ローン控除、住宅資金等の贈与非課税制度、結婚・子育て資金の贈与非課税制度等。

Q.不動産投資による節税効果を高めるポイントは?

A.「減価償却費」や「法人設立による経費計上」の活用。

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