不動産価格はどのように推移している?収益物件の買い時は?
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

不動産価格は、経済や社会の状況に応じて常に変動しています。収益物件の購入を検討している人にとって「不動産価格がどのように推移しているか」は、気になる内容ではないでしょうか。不動産価格は、賃貸経営の収益に影響を与えるため、市場動向を定期的にチェックしておくことが大切です。今回は、不動産価格の推移や収益物件の買い時の見極め方について解説します。

不動産価格が賃貸経営に与える影響とは

不動産価格は、賃貸経営の収益性や物件購入タイミングに影響を与えます。賃料が同じ場合、不動産価格が高くなると利回り(収益性)は低下し不動産価格が低くなると利回りは上昇するのが一般的です。また不動産価格が低くなると物件の購入資金は、少なく済みます。収益物件を購入するなら不動産価格が下落したところで購入するのが理想的です。

不動産価格の推移を把握するには、国や不動産会社などが開示している指標や資料を確認する必要があります。

全国の土地価格の動向(2021年地価公示より)

地価公示とは、国土交通省が地価公示法に基づき毎年1月1日時点の1平方メートルあたりの地価を判定して3月に公示するものです。地価公示を確認すれば、全国の土地価格の動向を把握できます。2021年地価公示から全国と三大都市圏(東京、大阪、名古屋)の住宅地の動向をまとめました。

住宅地2017年2018年2019年2020年2021年
全国0.0%0.3%0.6%0.8%▲0.4%
三大都市圏0.5%0.7%1.0%1.1%▲0.6%
(東京圏)0.7%1.0%1.3%1.4%▲0.5%
(大阪圏)0.0%0.1%0.3%0.4%▲0.5%
(名古屋圏)0.6%0.8%1.2%1.1%▲1.0%

2021年度における住宅地の地価は、全国が▲0.4%、三大都市圏は▲0.6%とどちらもマイナスとなっています。全国平均は、5年ぶりに下落に転じました。三大都市圏も「東京圏(8年ぶり)」「大阪圏(7年ぶり)」「名古屋圏(9年ぶり)」とすべて下落となっています。地価が下落に転じた理由は、以下の内容が考えられるでしょう。

・新型コロナウイルス感染拡大の影響で取引が減少
・購入希望者が価格に対して慎重な態度をとった

三大都市圏は「中心部で希少性が高い」「交通利便性に優れている」といった一部の住宅地で価格上昇が継続しています。ただし前年よりも地価が上昇している範囲が狭まっているのが特徴です。

全国の不動産価格の動向(2021年6月不動産価格指数より)

不動産価格指数とは、年間約30万件の取引価格情報をもとに不動産価格の動向を指数化したものです。2010年平均を100として基準化し国土交通省が毎月発表しています。不動産価格指数は、物件種類別の不動産価格の推移を把握するのに便利です。2021年6月分の不動産価格指数(住宅)と前月比(カッコ内:%)は、以下の通りです。

住宅総合住宅地戸建住宅マンション(区分所有)
全国121.2(+1.3%)103.4(+1.8%)105.9(+0.2%)165.8(+0.8%)
南関東圏127.1(+4.2%)114.3(+10.8%)105.4(+1.6%)158.6(+0.6%)
名古屋圏114.4(+1.8%)99.8(+1.3%)107.5(+1.3%)170.7(+6.6%)
京阪神圏123.3(▲1.1%)104.6(+3.9%)105.0(▲8.2%)171.1(+1.6%)

全国平均は、住宅総合が前月比+1.3%の121.2となりました。内訳を見ると住宅地、戸建住宅、マンションのすべてが増加しています。三大都市圏で上昇幅が大きいのは、南関東圏の住宅地で前月比+10.8%、名古屋圏のマンションで+6.6%です。京阪神圏は、戸建住宅がマイナスになっているもののその他は前月比で上昇しています。

長期間における不動産価格の推移も確認してみましょう。以下は、不動産価格指数(住宅)の推移をグラフで示したものです。

不動産価格はどのように推移している?収益物件の買い時は?

2009年以降、住宅地や戸建住宅は横ばいの状態が続いており不動産価格指数は100前後で推移しています。一方でマンション(区分所有)は、2012年以降に大きく上昇しており2021年に入ってからも上昇が継続中です。

首都圏のマンション価格の動向

続いて首都圏の新築・中古それぞれのマンション価格動向を見ていきましょう。

新築分譲マンションの動向

株式会社不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向」によると2021年8月における首都圏の新築マンションの発売戸数は、1,940戸で前年同月比+16.2%でした。平均価格は7,452万円、1平方メートルあたりの単価は117万8,000円でいずれも大幅上昇。地域別では、東京23区の平均価格が1億812万円(前年同月比+57.0%)、1平方メートルあたりの単価は170万6,000円(+41.5%)でした。

一方でその他の地域(東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県)は、平均価格、1平方メートルあたりの単価ともに前年同月比でマイナスとなっています。この結果から新築マンションについては、東京23区の需要の強さが読み取れるでしょう。2018年8月以降、首都圏の新築マンション価格は毎月上昇と下落を繰り返しています。

変動幅が大きい月もありますが全体的には上昇傾向です。直近(2021年5~8月)は3ヵ月連続で上昇しています。

中古マンションの動向

東日本不動産流通機構の「Market Watchサマリーレポート(2021年4~6月期)」によると首都圏の中古マンションの成約件数は、9,987件で前年同期比+55.4%でした。1平方メートルあたりの単価は、59万400円(前年同期比+12.5%)、価格は3,837万円(前年同期比+13.2%)です。1平方メートルあたりの単価は4期連続、価格は35期連続で前年同期を上回っています。

地域別の成約件数は、横浜・川崎が前年同期比+64.6%、東京都区部が前年同期比+51.1%と大きく増加。1平方メートルあたりの単価も千葉県で前年同期比+18.0%、東京都区部で前年同期比+16.5%となりました。前年同期が新型コロナウイルスの影響で減少した反動もありますが首都圏の中古マンション市場は堅調に推移しています。

都心の不動産価格は堅調に推移している

ここまで確認してきたように2021年地価公示では、全国の土地価格が下落に転じています。一方2021年6月不動産価格指数では、住宅地や戸建住宅の価格は上昇傾向にあるものそれほど大きな変化は見られませんでした。また区分マンションの価格は、上昇が続いており新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年以降も勢いは衰えていません。

特に首都圏は、新築・中古ともに需要が旺盛で東京23区の物件を中心に成約件数や1平方メートルあたりの単価が大きく上昇しています。これらのデータを踏まえると都心の不動産価格、特に区分マンション価格は新築・中古ともに堅調に推移しているといえるでしょう。

収益物件の買い時はいつ?今は買うべき?

都心の不動産価格は、堅調に推移していることが分かりました。しかしこの状況で収益物件を買うべきなのでしょうか。冒頭でも触れたように賃貸経営では、不動産価格が下がったタイミングで収益物件を購入することが理想的です。ただし不動産価格が将来どのように推移するかを正確に予測するのは専門家でもできません。

不動産価格は、さらに上昇する可能性もあれば下落に転じる恐れもあります。つまり収益物件の買い時は、誰にも分かりません。売却益を目的に不動産を購入するなら「価格が下がるタイミングを待つ」という選択肢もあるでしょう。しかし家賃収入を目的に収益物件を長期保有する場合は、現在の価格推移にかかわらず優良物件が見つかったら今すぐに投資を検討すべきです。

入念に収支シミュレーションを行ったうえで利益が見込める場合は、現在も買い時といえます。

まとめ

都心の不動産価格は上昇が続いているため、収益物件を買うべきか判断するのは難しいかもしれません。しかし将来の不動産価格がどうなるかを予測するのは不可能です。不動産価格が下がったところで買おうと思ってもそのタイミングはいつ訪れるか分かりません。物件の売却益ではなく家賃収入を目的に長期保有を検討している場合は、優良物件が見つかったら今すぐに購入を検討しましょう。

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