不動産,価格
(画像=sum41/stock.adobe.com)

不動産の価格は非常に分かりにくいものです。土地については公示価格などを参考にすることで、ある程度の価格の目安を付けることができますが、建物の場合はそのような指標がありません。土地および建物を含めた不動産の価格とはどのような影響を受け、最終的にどのようにして決まっていくのでしょうか。

目次

  1. 1.不動産鑑定評価とは
  2. 2.価格が決まる要因は3つある 
    1. 2-1. 一般的要因
    2. 2-2. 地域要因
    3. 2-3. 個別的要因
  3. 3. 取引内容によっては補正が必要
    1. 3-1. 事例については適切な収集を行うこと
    2. 3-2. 事情補正をきちんと行うこと
    3. 3-3. 取引時点の適正な価格で判断すること
    4. 3-4. 地域および個別的な要因を比較すること
  4. 4. 不動産価格を見極めるポイント

1.不動産鑑定評価とは

不動産鑑定評価とは、「⼟地若しくは建物⼜はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判
定し、その結果を価額に表⽰すること(不動産の鑑定評価に関する法律第2条第1項)」です。実際には不動産鑑定士の資格を持つ人以外が鑑定評価を行うことは禁止されています。ただし、宅地建築取引業者による、いわゆる「価格査定」については対象外となっています。

さらに国土交通省によって定められている「不動産鑑定評価基準」によると、不動産の価格形成要因においては、その不動産の「効用」、「相対的希少性」、そして「有効需要」を挙げており、不動産価格の判定においては、これらの要因を十分に分析する必要があるといえます。

2.価格が決まる要因は3つある 

前述の「不動産鑑定評価基準」によると、価格形成要因については「一般的要因」「地域要因」、そして「個別的要因」の3つに分けることができます。そしてこれらの要因は互いに関連しあっており、その結果を用いて最終的な不動産価格が決定されることになります。

2-1. 一般的要因

まず、一般的要因とは「⼀般経済社会における不動産のあり⽅および、その価格の⽔準に影響を与える要因」のことをいいます。そして、この一般的要因については、「自然によるもの」、「社会によるもの」、「経済によるもの」、さらに「行政によるもの」に分けられています。これらの一般的要因の詳細内容について、以下に具体例を挙げておきます。

― 自然によるもの

・地質、地盤等の状態
・土壌及び土層の状態
・地理的な位置関係など

― 社会によるもの

・人口の状態
・家族構成など生活様式
・都市の形成および整備状況など

― 経済によるもの

・収支の状態
・雇用や賃金など企業活動の状況
・産業構造の状況など

― 行政によるもの

・土地の利用における計画や規制
・不動産における防災等の規制
・不動産取引における規制など

2-2. 地域要因

地域要因は、「⼀般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能など各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格に影響を与える要因」のことを指し、さらにここでいう地域とは、住宅地や農業地など不動産の⽤途的観点からいう地域であり、⾏政区や⼭岳地、景勝地などの自然的な知己を指すものではないことに注意が必要です。そして、評価基準の中では、これらの地域を「住宅地域」、「商業地域」、「工業地域」、「農地地域」、さらに「林地地域」の5つに分類し、それぞれについて不動産価格に与える要因を細かく示しています。

2-3. 個別的要因

個別的要因とは、「不動産に個別性を⽣じさせ、価格を形成する要因」とされ、土地や建物の区分に応じて分類されています。さらに、農地から宅地に転換する、もしくは住宅地から商業地に移⾏するなどといった「見込地および移行地」については、原則として転換もしくは移行後の種別における土地の個別的要因を重視するとしています。

そして建物についての個別的要因については、さらに⽤途ごとに分類し、「特に留意すべき要因」として以下の4つの留意点を示しています。

― 住宅について

外回りや内装、間取り、設備などに加え、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく性能表⽰などにも注意する必要があります。

― 事務所ビルについて

天井⾼、床荷重、空調設備などに加え、⾼層ビルはエレベーターの台数などにも注意する必要があります。

― 商業施設について

各階の床⾯積や天井⾼などに加え、⼤型ショッピングセンターにおいては安全性の確保やお客様の動線、商品の搬⼊動線などにも注意する必要があります。

― 物流施設について

柱間隔や床荷重に加え、⼤規模・⾼機能の物流施設の場合には保管機能や梱包、仕分けの機能にも注意する必要があります。

3. 取引内容によっては補正が必要

一般的に不動産価格を求める鑑定評価においては、「収益還元⽅式」、「原価⽅式」、「取引事例⽐較⽅式」のほか、「これら3⽅式の考え⽅を活⽤した開発法」などがあります。しかし、これらの手法を用いて算出されたものはあくまで「試算価格」であることから、過去の取引事例を分析することによって最終的に適正な価格へと補正する必要があります。その際の留意点については以下のとおりです。

3-1. 事例については適切な収集を行うこと

まず、鑑定評価の手法における「建設事例」、「取引事例」、そして「収益事例」については適切に収集を行う必要があります。したがって、収集する事例については、は近隣地域や同⼀需給圏内の類似地域などの不動産であることが望ましいとされています。そして特に収集した事例の価格が特殊な事情の影響を受けている場合を除いては、投機的取引がなされていないかどうかにも注意する必要があります。

3-2. 事情補正をきちんと行うこと

不動産取引においては、売り込みや買い込みなど特殊な事情が絡んでいるものも珍しくありません。したがって、それを取引事例として用いることは避けることとなっていますが、あまりに他に取り上げる事例が少なく、どうしてもそのような事例を取り上げる必要に迫られた際には、その取引における事情が価格にどれほどの影響を及ぼしているのかを調査し、その結果を反映させる必要があります。例えば、取引価格に立退料が含まれている場合などでは、その額を減額する必要がありますし、逆に取引の際に売り急ぐ必要があり、相場よりも低い価格で取引された事例であれば、適正価格に増額する必要があります。

3-3. 取引時点の適正な価格で判断すること

取引事例が古い場合においては、現在の価値と比べ変動している可能性が大きいと思われます。したがって、現在価値に即した価格に修正する必要があります。

3-4. 地域および個別的な要因を比較すること

取引事例として取り上げた不動産と鑑定評価を行う不動産には、用途的地域が異なるケースもあります。さらには個別的な要因が異なるケースも考えられます。したがって、それぞれの地域の価値を比較することと、その不動産個別の価値の比較も合わせて行い、その格差を確認したうえで、最終的な評価を行う必要があります。

4. 不動産価格を見極めるポイント

不動産価格については、単に地図上や現地などで平面的に見るのではなく、その不動産が所在する地域はもちろんのこと、その地域の経済全体を含めた多面的な視点に基づいてその不動産の価値の将来性や妥当性などを考えるようにしましょう。そして、年に数回発表される公平な不動産価格を見た際や、今後新たに商業施設ができるなどの計画や、物流施設の建設、さらには道路が新設されるなどの変化によって周囲の不動産価値がどのように変化していくかを考えることが、不動産価値を総合的に見極めるポイントとなるといえます。

不動産価格は何の影響を受けて変化するのかを知っておくことは、実際の⼟地に対して公⽰価格などをどのように修正すれば良いのかについて知ることに繋がります。今回取り上げた内容を理解し、取引の上でその不動産の価格がいかに適切な価格であるかを自分自身で見極める力をつけていくことを心がけていきましょう。

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