不動産売買契約に役立つ「買付証明書」の知っておくべきポイント
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

不動産売買契約に役立つ書類として知っておいたほうがよいのが「買付証明書」です。買いたい不動産の購入意思を示すのに有効な書類ですが提出にはメリット・デメリットがあります。本稿では、買付証明書の書き方やメリット・デメリット、注意すべきポイントを紹介します。

不動産の買付証明書とは何か

不動産の買付証明書とは、不動産を購入する際に購入希望者が不動産の売主側に購入の意思を伝える書類のことです。購入申込書と呼ぶ場合もあります。なぜ買付証明書を提出する必要があるのでしょうか。不動産を購入したいと思った場合、売主側に対して意思表示をする必要があります。もちろん口頭で意思表示を行っても問題ありません。

しかし不動産業界では、万が一のトラブルを避けるためにも書面で行うことが慣例となっています。売主側からすればいくら口頭で購入の約束をしても冷やかしの可能性も否めません。そのため買付証明書があったほうがスムーズな取引が期待できるというわけです。買付証明書の提出先は、中古マンションなど仲介物件の場合は仲介不動産会社、売主が直接募集している物件は売主となります。

仲介物件では、買付証明書を受け取った仲介不動産会社が売主に買付意思が入ったことを伝え書面に記載されている条件をもとに交渉が始まります。

買付証明書に法的効力はあるか

買付証明書に法的効力はあるのでしょうか。買付証明書は、買主が「この物件を買いたい」という意思を売主や仲介不動産会社に示す書類です。いつまでに購入するなど契約希望日が記載されますが買付証明書に法的な効力はありません。そのため提出した後に買主が購入をキャンセルしても罰金や違約金を支払う義務はないため、押さえておきましょう。

買付証明書に法的効力はないですが提出する意味はあります。書面にすることで買付意思を示した証拠が残り条件が具体的に記載されていることで買主・売主双方における誤解や伝達ミスなどを防ぐことが可能です。買付証明書に記載される有効期限は、通常1~2週間程度ですので双方がその期間内に契約締結に向けた交渉を進めていく必要があります。

買付証明書のメリット・デメリット

買付証明書に法的拘束力はありませんがメリット・デメリットはあるため、十分に購入意思を固めてから提出することが必要です。

買付証明書のメリット

・希望する物件を購入できる可能性が高くなる
人気物件の場合、内覧希望者が多くなることが予想されます。そのとき買付証明書を提出すれば不動産会社は、単なる内覧希望者から見込み客に認識を変えるため、重要な情報や購入に近づけるアドバイスをくれることが期待できるでしょう。

・物件価格を値下げしてくれる可能性がある
買付証明書に購入希望価格を書いておくと一定期間買い手が付かない物件であれば売主から値下げをオファーしてくることも考えられます。ただしあまりにも販売価格とかけ離れた金額を記載すると買う気がないと判断されかねないので注意しましょう。

買付証明書のデメリット

・提出したとしても購入が確約されるわけではない
複数の買主が買付証明書を提出すれば記載している条件によって自分が後回しになる可能性もあります。また希望購入価格や諸条件がほぼ同じ場合は、先に提出した買主が優先される可能性があるため、購入する意思がある物件なら早めに提出することが大切です。

買付証明書の書き方

買付証明書は、売買契約書のような正式な書類ではないため、決まったフォーマットはありません。自分でパソコンを使って作成してもよいですがインターネット上に多数のテンプレートがアップされているため、自分に適したものをダウンロードして記入する方法もあります。また不動産会社が用意している場合もあるので聞いてみるとよいでしょう。

買付証明書には、例えば以下のような項目を記載します。

物件に関する情報

購入したい物件の住所、建物の名称、延床面積、建物の構造などを記載します。分からない部分は、記載しなくてもかまいません。不動産会社や売主に確認して記載する方法もあります。

購入金額

購入金額は、インターネットの物件情報に掲載されている売出価格ではなく買主が購入したい金額を記載します。もちろん売出価格でも問題ありません。

手付金

売買を締結したときに物件購入代金の頭金として売主に支払う金額を記載します。手付金は、売買代金の一部に充当されます。物件価格の5~10%程度の金額が一般的です。ただし建設中の場合は、「物件価格の5%」「着工前や完工済みなら10%まで」という制限があります。

中間金

手付金と残代金の中間に支払う金額を記載します。記載の有無は、物件によって異なるため、必要ない場合は0円と記載しても差し支えありません。

残代金

購入希望金額から手付金と中間金を差し引いた金額を記載。不動産売買では、残代金の決済を終えた時点で物件の引き渡しと鍵の受け渡しが行われます。

年収

購入者が会社員の場合は、源泉徴収票に記載されている「支払金額」、自身で確定申告している場合は事業収入や給与所得を合計した「所得金額」を記載します。この項目は、買主が購入するのにふさわしい経済力があるかを判断するためのものです。

金融機関の情報

金融機関でローンを組む場合、融資を受ける金融機関名、金額などを記載します。金融機関が決まっていない場合は未定と記載しておきましょう。また金融機関から融資を受けられなかったときに売買契約を撤回できる「融資特約」を付けている場合は「融資特約あり」と記載する必要があります。

契約希望日

物件の契約締結日や引き渡しなどの希望スケジュールを記載します。キャンセルがあった際のトラブル抑止になるため、記載したほうがよい項目です。

有効期限

買付証明書の有効期限を記載します。一般的には1~2週間が目安ですが最長でも1ヵ月までと考えたほうがよいでしょう。

買付証明書を提出するときの注意ポイント

買付証明書を提出するときに注意すべきポイントがあります。とくに次の2つについては注意しましょう。

契約に向けて話が進んだ段階でキャンセルすると違約金が発生する場合がある

売買契約後にキャンセルすると契約違反(債務不履行)となり、損害賠償として違約金の支払い義務が生じます。不動産売買の損害賠償はあらかじめ約束した違約金を支払うのが一般的です。しかし、売買契約前であっても交渉が進んでお互いに「契約が成立する」という認識を持つまで進んだ段階のキャンセルには、違約金が発生する可能性がある点に注意が必要です。誠実に契約成立に努力すべき「信義則上の義務」が双方に生じるからです。

交渉破棄に関する規定はないため、損害賠償に至るケースは多くありませんが、損害賠償が認められた判例もあることから、キャンセルに至る要因がない場合に限って買付証明書を提出することが必要です。

キャンセルが多いと信用を失う

買付証明書に法的効力がないといっても何度もキャンセルしていると不動産会社からの信用を失ってしまうでしょう。不動産会社にとっては、売主からの印象が悪くなるため、キャンセルが多い客は敬遠される可能性があります。そのため買付証明書は、安易に提出するのではなく物件を購入する意思がある場合に限定するようにしましょう。

このように買付証明書は、法的効力がありませんがメリットやデメリット、注意点があります。本当に購入したい物件が見つかった場合は、売主へ意思を伝えるためにも早めに提出したほうがよい書類といえるでしょう。はじめての提出で不安がある場合は、不動産会社に相談すれば買付証明書の書き方や提出するときに注意すべき点などをアドバイスしてもらえます。

まずは、プロに相談することが購入への近道といえるかもしれません。

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