不動産投資
(画像=Jiffy Avril/Shutterstock.com)

国土交通省では、毎年全国2万6,000地点の標準地の1月1日時点の地価を調査し、『公示地価』として公表しています。公示地価は一般の土地取引の指標となるもので、住宅・不動産業界にとって最も重要なデータの1つと言えるでしょう。

今後の不動産投資を考える上でも非常に重要な指標なので、2020年3月18日に公表された公示地価の概要を見ておきましょう。

全用途平均は5年連続上昇で上昇基調が強まる

国土交通省は2020年の公示地価について、「全用途は5年連続で上昇、上昇基調を強めている。用途別では、住宅地は3年連続、商業地は5年連続で上昇している」と述べ、その要因として以下の2点を挙げています。

①交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調
②オフィス市場の活況、観光客増加による店舗・ホテルの需要の高まりや再開発等の進展を背景に需要が堅調

ただし、これは2020年1月1日時点での評価であり、その後に深刻化した新型コロナウイルスによる社会・経済や土地、住宅、不動産などへの影響に関しては、まったく考慮されていません。以下の内容についても、その点を念頭に置いて読み進めてください。

東京圏、大阪圏の商業地は前年比5%台の上昇に

2020年の公示地価の対前年変動率は、以下の表のようになっています。全国平均では住宅地が0.8%の上昇で、前年の0.6%から0.2ポイント上昇幅が拡大しました。商業地については3.1%の上昇で、こちらも2.8%から0.3ポイントアップしています。

不動産投資先としては、東京圏、大阪圏などの大都市圏が主な候補になりますが、東京圏の住宅地は1.4%の上昇率で、全国平均の0.8%より0.6ポイント高くなっています。大阪圏は0.4%とやや低いですが、それでもオフィスやマンションが多い商業地を見ると、東京圏は5.2%の上昇で、大阪圏は6.9%の上昇です。どちらも、前年に比べて0.5ポイント上昇率が高くなっています。

不動産投資先としては、安定的な収益を望めると同時に、中長期的には値上がり益も期待できるエリアと言えます。

公示地価の対前年変動率

住宅地商業地
2019年2020年2019年2020年
全国0.6%0.8%2.8%3.1%
三大都市圏1.0%1.1%5.1%5.4%
東京圏1.3%1.4%4.7%5.2%
大阪圏0.3%0.4%6.4%6.9%
名古屋圏1.2%1.1%4.7%4.1%
地方圏全体0.2%0.5%1.0%1.5%
地方四市4.4%5.9%9.4%11.3%
その他地方▲0.2%0.0%0.0%0.3%

(資料:国土交通省ホームページ)

エリアによって異なる上昇率から今後の動向を読み取る

ただし、上昇しているといっても全地点が上がっているわけではありません。2桁台の上昇になっている地点がある一方で、今でも公示地価が下がっている地点もあります。不動産投資を行う上では、上昇率の高いエリアに注目する必要があります。上昇の背景を読み解くことで、今後有望エリアを発見するための手がかりになるかもしれないからです。

2020年の公示地価において、東京圏の住宅地で最も上昇率が高かったのは、東京都港区港南3丁目の14.0%でした。港南エリアは話題になった山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」に近く、大規模な再開発が進行しているエリアです。

東京圏の上昇率2位は東京都渋谷区恵比寿西2丁目で、前年比13.9%の上昇です。恵比寿駅周辺は、もともと中高年層に人気のエリアでしたが、最近では若い層にも人気で、「住みたい街ランキング」の上位の常連になっています。

3位は東京都北区赤羽1丁目で、12.6%の上昇でした。交通アクセスや生活利便性に優れていますが、地価や不動産価格が比較的安いため、「穴場」のエリアとして近年注目度が高まっています。

次にどんなエリアが注目されるのか、それを考えながら投資先を選ぶのも楽しいのではないでしょうか。

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