昆虫食,ポテンシャル
(画像=freepik/stock.adobe.com)

日本では伝統食やゲテモノ食いのイメージが強い昆虫食。しかし近年、世界の食問題の解決策として注目を浴びています。スーパーフードとも呼ばれる昆虫食には、どのような魅力があるのでしょうか。

なぜ今、昆虫食がブームなのか

昆虫食は、もともと世界中の幅広い地域で食されてきました。現在でも、世界総人口の4分の1に当たる20億人の人々が1,900種もの昆虫類を食べているといわれています。

伝統食でもある昆虫食に改めて関心が集まるきっかけとなったのが、2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した昆虫食を推奨する報告書です。昆虫食には、環境、健康、社会、経済の面においてさまざまなメリットがあることが分かり、世界の深刻な食糧不足の救世主になるかもしれないと一気に関心が高まりました。

昆虫食のメリットとして、第一に豊富な栄養が挙げられます。人類は貴重なタンパク源として古くから昆虫を食べてきました。バッタのように牛肉よりも多くのタンパク質を含む昆虫もいます。また必須アミノ酸や筋肉を作るアミノ酸のバランスが良いため、量だけでなく質も好ましいのです。

さらに、現代人に不足しがちな鉄、亜鉛、マンガンなどのミネラルやビタミン類も豊富に含んでいます。まさにスーパーフードといえるでしょう。

昆虫といっても野山から採ってくるわけではありません。近年では、昆虫を養殖して安定供給する手法が北米を中心に広がっています。日本でも、徳島大学がコオロギの量産化に成功しています。

昆虫の養殖は、必要な飼料や水、土地、温室効果ガス排出量などが、他の家畜と比べて圧倒的に少なくて済みます。持続可能な社会を目指す、この時代の食糧や飼育に適しているのです。

日本でも昆虫食は気軽に手に入れられる!

日本でも昆虫を使ったさまざまな食品が販売されています。

バラエティ豊かな昆虫スナック

丸ごと乾燥させて味付けをした昆虫スナックは、おやつやおつまみ感覚で食べられます。コオロギやサソリ、幼虫など、昆虫の種類が豊富な点も人気の理由です。

見た目に抵抗がある人はコオロギせんべいから

無印良品がコオロギ粉を練り込んだ「コオロギせんべい」を発売したことからも、昆虫食ブームを実感できます。見た目も風味もエビせんべいに似ているため、昆虫食初心者にもおすすめです。徳島大学との連携により開発された商品です。

コオロギビール

クラフトビール×昆虫食。2つのブームを同時に楽しめるのが、2020年5月発売のANTCICADAによる「コオロギビール」です。コオロギはビールの副原料として認められていないため発泡酒扱いとはなりますが、コーヒーやカモミールのような香りとコオロギの深い旨味を感じさせる黒ビールに仕上がっています。

「今日は昆虫を食べよう」が当たり前になる日もすぐそばに

じわじわと日本でも商品が増えている昆虫食。思い切って食べてみたら味のとりこになった、という声も少なくありません。これからの地球を考える上で、食の選択肢の一つになるかもしれません。

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