多くの人が住みたいと思う街には「人が集まる」「住宅が建つ」「家賃が上がる」など資産価値が高まる要素があります。不動産投資を行うのであれば資産価値が高まるエリアで賃貸住宅などを取得したいものです。しかし入居者から見るとどのエリアに住みたいと思っているのでしょうか。リクルート住まいカンパニーが毎年行っている『住みたい街ランキング』の関西版から関西での人気エリアと今後成長が期待できそうな穴場の街を紹介します。
大阪・神戸の玄関口の中間にある西宮北口
2020年5月に株式会社リクルート住まいカンパニーが公表した『SUUMO住みたい街ランキング2020関西版』によると住みたい街(駅)のランキングトップ10は以下の図表1のようになっています。栄えある第1位に輝いたのは、阪急神戸線の西宮北口駅で2018~2020年まで3年連続のトップです。合計得点は1,232点で、1,000点台に乗せたのはこの「西北」(にしきた)だけでした。
第2位は地下鉄御堂筋線の梅田駅で896点となっており断トツ1位ということが分かるでしょう。西北は、阪急神戸線の特急で大阪の玄関口である大阪梅田駅まで乗車時間が約12分、反対側の神戸三宮駅までは同特急で約14分です。大阪と神戸のほぼ中間地点でありどちらに出るにも便利な場所といえるでしょう。
しかも阪急今津線との乗換駅になっていて今津線沿線には甲東園、宝塚などの高級住宅地があります。1日の利用者は10万人(2018年度通年)を超え阪急全線のなかでも「大阪梅田駅」「神戸三宮駅」に次ぐビッグターミナルです。駅周辺には阪急百貨店が入る阪急西宮ガーデンズなどの大規模商業施設の集積が進み芸術文化施設や医療福祉施設などもそろっています。
図表1 住みたい街ランキング
順位 | 駅名 | 得点 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
2020年 | 2019年 | 2018年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | |
1位 | 1位 | 1位 | 西宮北口(阪急神戸線) | 1,232 | 1,194 | 1,183 |
2位 | 2位 | 2位 | 梅田(地下鉄御堂筋線) | 893 | 937 | 764 |
3位 | 3位 | 3位 | 神戸三宮(阪急神戸線) | 695 | 724 | 599 |
4位 | 4位 | 4位 | なんば(地下鉄御堂筋線) | 553 | 514 | 521 |
5位 | 8位 | 7位 | 天王寺(地下鉄御堂筋線) | 481 | 385 | 389 |
6位 | 5位 | 6位 | 夙川(阪急神戸線) | 417 | 457 | 409 |
7位 | 9位 | 9位 | 江坂(地下鉄御堂筋線) | 399 | 373 | 382 |
10位 | 5位 | 千里中央(北大阪急行) | 399 | 365 | 447 | |
9位 | 6位 | 8位 | 岡本(阪急神戸線) | 385 | 408 | 383 |
(資料:リクルート住まいカンパニー『SUUMO住みたい街ランキング2020関西版』)
梅田エリアも住む街としての人気が高まっている
阪急神戸線の西宮北口駅から特急で約12分の大阪梅田駅と隣接する地下鉄御堂筋線の梅田駅がランキングの2位です。次いで阪急神戸線でつながる阪急三宮駅が3位となっています。梅田周辺は、いうまでもなく大阪のビジネスやショッピングの中心地でJR線の大阪駅とも隣接しており関西の玄関口ともいえるビッグターミナルです。
2002年ごろから「うめきたプロジェクト」として大阪駅北口のJR貨物駅跡地が大規模に再開発中となっています。2020年6月時点で2024年3月に竣工予定の「うめきた2期」地区としてまちびらきの予定です。商業施設やオフィス、マンションなどが入る「うめきた」として生まれ変わり住む場所としても人気が高まっています。
今後も周辺では大規模な再開発が進みオフィスや商業施設のほか、ホテル、住宅なども多数供給される予定です。ますます住みたい街としての人気も高まりそうです。住みたい街ランキングのベスト10を見ると阪急神戸線や地下鉄御堂筋線の各駅が並んでいます。西宮北口駅や大阪梅田駅などの周辺の価格はかなり高くなっていますが沿線ではまだ買いやすいエリアもあるため、注目しておきたいところです。
将来性を見込んで投資するなら尼崎?
同調査では穴場と思う駅ランキングの調査も実施しています。趣旨としては「交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある駅」ということです。これは将来性を買って不動産投資をするときのエリア選びにも共通する考え方ではないでしょうか。
図表2 穴場だと思う駅ランキング
順位 | 駅名 | 得点 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
2020年 | 2019年 | 2018年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | |
1位 | 1位 | 2位 | 尼崎(阪神本線) | 87 | 66 | 49 |
2位 | 3位 | 1位 | 塚口(阪急神戸線) | 43 | 35 | 51 |
3位 | 13位 | 9位 | 千里中央(北大阪急行) | 34 | 21 | 27 |
4位 | 9位 | 5位 | 梅田(地下鉄御堂筋線) | 31 | 26 | 32 |
12位 | 6位 | 武庫之荘(阪急神戸線) | 31 | 22 | 31 |
(資料:リクルート住まいカンパニー『SUUMO住みたい街ランキング2020関西版』)
穴場ランキングのトップは、上記の図表2にあるように阪神本線の尼崎駅でした。2位も尼崎市にある阪急神戸線の塚口駅、4位の阪急神戸線の武庫之荘駅も尼崎市です。穴場の上位5位のうち3駅を尼崎市が占めています。周知のように高度成長時代に尼崎市は阪神工業地帯の中核都市として一翼を担ってきました。
バブル後には工場移転などでそれぞれの駅周辺の再開発が進みオフィスや商業施設、マンションなどが続々と誕生しています。不動産投資先としても注目するだけの価値があるエリアといっていいでしょう。
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