ジャケットの左のホールに丸くてカラフルなバッチをつけている人を見たことはありませんか?このバッジはSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)のシンボルバッジです。2015年9月に国連で採択された宣言で2030年までに各国が17の目標を達成するよう明示しました。ではSDGsの17の目標とは、どのようなものでしょうか。
コロナ禍でより一層求められるSDGs
2020年5月28日にユニセフとセーブ・ザ・チルドレンはコロナ禍において2020年末までに世界各国の貧困層の子どもが15%増加し最大8,600万人の子どもたちが貧困に窮すると発表しました。世界規模の災害発生時、世界の人たちが平等に治療を受けられ命が守られることが国際社会では今まで以上に求められます。
SDGsは単なる目標で拘束力がないにもかかわらず新型コロナウイルスの影響もあってか過去にない盛り上がりを見せています。SDGsの17つの目標は以下の通りです。
SDGsの17の目標 | |
---|---|
1 | 貧困をなくそう |
2 | 飢餓をゼロに |
3 | すべての人に健康と福祉を |
4 | 質の高い教育をみんなに |
5 | ジェンダー平等を実現しよう |
6 | 安全な水とトイレを世界中に |
7 | エネルギーをみんなにそしてクリーンに |
8 | 働きがいも経済成長も |
9 | 産業と技術革新の基盤を作ろう |
10 | 人や国の不平等をなくそう |
11 | 住み続けられるまちづくりを |
12 | つくる責任つかう責任 |
13 | 気候変動に具体的な対策を |
14 | 海の豊かさを守ろう |
15 | 陸の豊かさを守ろう |
16 | 平和と公正をすべての人に |
17 | パートナーシップで目標を達成しよう |
出典:外務省
未来に残すSDGsの考え方
今までの国連主導のキャンペーンは、国やNPOなど公的セクション中心に広がりを見せてきましたが、今回の盛り上がりは、企業を巻き込んだ成果といえるのではないでしょうか。前述の通りSDGsは単なる目標であり何かペナルティを受けることもないにもかかわらず企業は主体的に取り組んでいることが大きな特徴です。
特に経団連に加入するような大手企業ではCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が強く求められています。例えば「二酸化炭素を出さない経済活動に積極的に取り組んでいる」「貧困撲滅に取り組んでいる」といった具合です。サプライチェーンの世界規模での拡大に伴い国際間での結びつきが強まりエンドユーザーの消費者側からも関心度が高まっていることが背景にあります。
今まではSDGsのような活動は、社会的貢献活動としての位置付けで活動するケースが多い傾向でした。しかしこれからは活動自体を企業活動として中に取り込み重要な経営指針として位置付けることが求められるようになるでしょう。SDGsは、大きく分けると「企業外部からの要請による活動」「企業内部で自ら行う活動」の2つに分けられます。
企業外部からの要請による活動
外部からの要請は、環境問題や雇用と労働問題、資金調達などがあげられます。外部からの要請の中で一番分かりやすい課題は、環境問題です。近年特に地球温暖化の影響で異常気象の多発により巨大台風の発生頻度の高まりや集中豪雨の多発など命の危機に直面する機会が多くなっています。これは、化石燃料の消費により地球温暖化が加速しまわりまわって人類が危機に瀕する皮肉な事態です。
「目の前の利便性を取るか」「これからの持続可能な生活を維持することを取るか」といったバランスを取りながら企業活動をすることが求められています
企業内部で自ら行う活動
一方、自発的な企業内部からの活動は、財務力の強化やリスク把握、ブランディングが主な理由です。企業がSDGsを自ら行うモチベーションとしては、企業のブランディングがあります。環境問題や労働と貧困問題などに積極的に取り組んでいるイメージが企業ブランドを高める可能性があるのです。結果的に消費者をひきつけることになるため、企業と社会どちらにとっても良い影響が期待できます。
SDGsとESG投資の関係は?
2006年に当時のアナン国連事務総長が責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)を金融業界に対して提唱。これをきっかけに機関投資家は、ESG(Environment Social Governance:環境、社会、統治)に配慮した投資活動を求められることとなりました。これも強制力のある行動規範ではないものの金融機関は積極的にESGの考え方を取り入れ始めたのです。
2015年国民年金、厚生年金の運用を担うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、ESG投資の行動規範に署名したことは象徴的な出来事でした。「積極的にESGに取り組んでいる企業に比重を置く投資を行う」という原則でありGPIFに選ばれることが企業としてのステータスにもなっているのです。日本では、SDGsの合意とGPIFがPRIに署名した年が偶然2015年と同じだったため注目を集めてきました。
ではESG投資とSDGsの関係性はどういうものなのでしょうか。GPIFは、企業がSDGsの趣旨に賛同して企業活動を行うことで以下のような一体感が得られるとしています。
・中長期的な視点からはグローバルな良い影響を及ぼす
・企業の中長期的な価値も高める
・GPIFの投資リターンも向上する
コロナ禍でのSDGsとESG投資
コロナ禍において今までのライフスタイルに変わり「ニューノーマル(新しい生活様式)」といった生き方に変わっていくことは間違いないでしょう。そのため「企業が人類に果たすべき役割」という視点は、より一層注目され企業は消費者から監視される社会へと変化していく可能性があります。SDGsの活動は、決して大企業だけのものではありません。
中小企業や小規模事業者でもできる活動は多岐にわたります。これをやりきることで消費者への関心をひきつけ自社のブランディングの強化につなげてみてはいかがでしょうか。
【あなたにオススメ】
・賃貸業界の黒船になるか。インド発のOYOの実態
・空き家の活用促進にも効果あり。浸透するデュアルライフとは
・次世代のスタンダードになるか?サブスクリプション型賃貸住宅とは
・時間軸を変えることでマネタイズ!タイムシェアという選択
・不動産投資の「2022年問題」とは?土地オーナーが知っておくべき知識