水質汚染、ゴミの増加、氷河の融解、熱帯雨林の消失。挙げればきりがないほど、地球環境は問題だらけです。人が生活の豊かさを求めた結果、自然の豊かさは急速に失われていきました。このしっぺ返しは、近い将来に訪れるようです。日本人が大好きなお寿司も、30年後には食べられなくなるかもしれません。
2050年には漁獲高が40~60%まで減少か
2015年の6月に日本財団にて行われた「魚資源と海の未来を予測するネレウスプログラムの研究成果発表」で、「2050年には赤道周辺や一部地域で漁獲高が40~60%まで減少する危険性がある」と報告されました。
さらに「海水温の上昇や海水の酸性化によって、海の生物はかつてない変化を遂げる」「マグロについては2050年までに日本の年間漁獲高が約10%減少する」というのです。
ネレウスプログラムは日本財団が世界の7大学・研究機関と実施している総合的な海洋プログラムです。同プログラムに参加した研究者が行った前述の発表によって、世界中に衝撃が走りました。
日本人が好む刺身や寿司などの生魚はこれまでよりも高級になり、一般には食べられないものとなる日も近いかもしれません。
そもそも担い手がいないという問題も
海洋環境の変化による漁獲量の減少とあわせて、考えたいのが漁業の後継者問題です。漁業数業者数は右肩下がりに減少を続けており、2003年には25万人近くいた漁業者も、2017年には15万人程度となってしまいました。
農林水産省の予測では、2028年には10万人程度となり、2048年以降は7万人強で推移するとされています。
たとえ海洋環境が改善したとしても、漁業者がいないのでは魚は市場に出回らないでしょう。環境問題と後継者問題、この2つの問題によって、日本の食卓は危機にさらされるかもしれないのです。
実はそれほど「魚が好きではない」から帳尻が合う可能性も
魚介類が食卓から消えるかもしれないと懸念される一方で、日本人の魚離れも深刻化しています。
「魚介類と肉類の1人1日当たりの摂取量」は2010年を境に魚介類優勢から肉類優勢に逆転しました。現代の日本人は、魚よりも肉をよく食べています。若い年代ほどこの傾向が顕著ですが、高齢者も同様で、50代以降でも魚介類の消費の減少がみられます。もしかすると2050年には需要も供給も減少し、需給バランスが整っているかもしれません。
魚を食べる人も食べない人も、海洋を汚染しない生活を意識して
とはいえ、これは環境改善への取り組みの手を止める理由にはなりません。特に深刻なのが、海洋プラスチック問題です。大量に生産され、消費したプラスチックが、小さくなって海を漂い、水質を汚染し海洋生物に死をもたらしています。
海洋プラスチックを食べた魚介類を人が再び食べると考えれば、海洋汚染問題は決して他人ごとではないのです。
海で暮らす生物を守るためにも、ゴミを出さない、プラスチックをなるべく使わない、資源ゴミの分別を日ごろから意識して生活しましょう。
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