救急車事情
(画像=jaraku/stock.adobe.com)

119番にコールすれば、いつでも無料で駆け付け病院に運んでくれるのが日本の救急車です。しかし世界を見渡してみると、救急車は「有料」としている国も多くあります。日本と世界の救急搬送事情を比較しました。

日本の救急車はタクシー替わり?増える軽症の利用者

東京消防庁によると、東京都における救急車の出動回数のうち、軽症と判断される利用者は全体の約半数を占めるといいます。近年では、「どの病院に行けばよいかわからないから」「病院に行くにはタクシー代がかかるから」「子どものけがを優先的に見てほしいから」などの理由で救急車を要請する、悪質な利用例が物議を醸していることをご存じでしょうか。

このような問題から、日本でも救急車を有料化すべきという声が上がっています。2015年には財政制度等審議会が「軽症の場合の有料化を検討すべき」と財務省に提言しており、また有料化すべきと考える医師も多数いるようです。

日本は少数派!世界の救急車事情

有料化すべきか、無料のままでいるべきか。日本で議論が重ねられている間にも、世界のあちこちで今日も誰かが有料で救急車を呼んでいます。実は日本のように救急車を無料で利用できる国は少数派なのです。

ニューヨークの救急は

ニューヨーク消防局によって救急搬送されると、14~16万円ほど搬送料金がかかります。さらに追加料金もあり、病院までの搬送距離1キロメートルごとに1,000円、酸素投与で約7,000円請求されるそうです。

民間医療機関が救急搬送を行った場合は、30,000円が相場です。救急搬送に対する料金は搬送されたすべての人に直接、またはそれぞれが自主的に加入する民間保険に請求されます。低所得者や高齢者のみ公的な保険が適用されます。

シンガポールでは重症かどうかで変わる

シンガポールでは、救急搬送されて「緊急ではない」と判断されると救急搬送料金を請求されます。緊急かどうかの判断は医師の評価に基づいて行われ、約5,000円~25,000円ほどかかるようです。無料と有料の中間のような制度といえるでしょう。

ドバイは搬送先によって変わる

ドバイでは、搬送先の病院によって無料か有料かが決まります。搬送先の病院が公立なら無料、私立なら有料です。さらに、ホテルから救急車を呼んだ場合はホテル側に料金を支払わなければならないこともあるようです。

救急搬送は公共のサービスを利用すると有料の場合は約1万円、民間のサービスでは約4万円かかります。

ロンドンは無料

ロンドンは日本と同じく無料です。日本と異なる点は、ダイヤル先が警察と同じ番号であること。ダイヤルしたら、救急搬送をお願いしたい旨を先に伝える必要があります。

いつでも、だれでも、どんな症状でも運んでくれる日本の救急車

国籍や症状にかかわらず、だれでも運んでくれ、しかも車内で質の高い処置も行われる日本の救急車。このような制度を取り入れている国はあまりみられません。これからも日本式の救急搬送を守るために、一人ひとりが正しく救急車を利用する必要がありそうです。

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