詐欺の手口が複雑化・高度化している現代ですが、古典的な詐欺の手口にも注意しなければならないと強く思わせる事件が発生しました。戦後から使われてきた「M資金詐欺」。都市伝説ともいわれるこの手法で、30億円超の詐欺被害にあったと2020年6月に報道各社が伝え、話題となりました。
「M資金」とは
40代以前の世代ではM資金という言葉自体を聞いたことがないという方も多いでしょう。「M資金」とは、大戦後にGHQが旧日本軍から接収したとされる資金のことです。M資金のMは、GHQのマーカット少佐が由来といわれています。
M資金詐欺では、「GHQが接収した資産はその後日本に返還され、今でも一部を極秘裏に運用しており、『特別に選ばれた経営者のみ』に巨額の融資をあっせんしている」という語り口で、一部の経営者や会社役員をターゲットに詐欺が行われます。
もちろん、これらの話はすべて“嘘”。戦後から幾度となく、この手口で経営者が詐欺被害にあっています。1982年から2001年までの間、M資金詐欺を行ったとして19人が摘発されたといいます。
手口の詳細
M資金詐欺の手口は大枠で一致しています。詐取に至るまでの「M資金にまつわるストーリー」はさまざまですが、詐欺師が金融ブローカーや金融コンサルタントを装い、「M資金を運用している団体とつながりがある、あなたを紹介したい」といい、仲介手数料、印紙税、準備金といった名目でお金をだまし取ります。
それらのお金を1度だけでなく何度も要求する例もありました。詐欺師の口上にまんまと乗せられ、M資金が本当に存在するものと信じて疑わない被害者は、億単位の金銭を要求されてもその通りに差し出してしまうようです。
コロナ禍の経営者を詐欺師たちが虎視眈々と狙う可能性がある
2020年6月にニュースとなった、70代の男性がターゲットになり30億円を超える金銭を詐取されたM資金詐欺被害では、2017年から計10回にわたり金銭を要求されていました。つまりこの件については、新型コロナウイルスは関係していません。しかし、現在コロナ禍で不安にさらされている経営者にM資金詐欺を持ち掛けようと時期をうかがっている詐欺師がいてもおかしくありません。
前述の通り、若年層ではM資金詐欺を知らない方も数多くいます。若くして経営者や企業役員になった方は、M資金のような古典的手口の詐欺にあわないよう、古くからある詐欺の手口を今一度学んでおいたほうがいいかもしれません。
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