土地の形
(画像=moonrise/stock.adobe.com)

賃貸物件の相続税の節税を考えるなら、「賃貸」という要素以外に「土地の形」も検討したいところです。土地の形によって、相続税評価額が変わるからです。今回は、土地の形が相続税評価額に与える影響について解説します。

賃貸物件の相続税は土地の形で変わる

賃貸物件は他の物件に比べて、相続税評価額が低くなります。借家権割合や借地割合を加味して評価されるからです。場合によっては、評価額が半額以下に抑えられることもあります。

賃貸物件の敷地になっている土地には、評価額が低くなる要素がもう1つあります。それは、「土地の形」です。土地の形がいびつで使いにくい場合は、その分評価額を下げて相続税評価額を計算することになります。

宅地の路線価評価のキホン

ここで、宅地(建物が建っている土地)を路線価で評価するときの基本的な考え方について見ていきましょう。

計算式は「路線価×補正率×地積」

賃貸物件に限らず、道路と接している宅地は以下の算式で評価額を計算します。

「路線価×補正率×地積」

路線価は毎年変わる「ざっくり評価」

路線価とは、道路に面した標準的な宅地の1㎡あたりの評価額のことです。その年の1月1日時点における評価額を公示地価や売買実例、不動産鑑定士による評価額を基に計算し、毎年7~8月に国税庁が公表します。ただし、路線価はあくまでも全体的な評価額でしかありません。個別に正しく宅地を評価するためには、この後お伝えする「補正率」が必要です。

補正率のキホン

ここからは、補正率について見ていきましょう。

補正率で「土地の価値」をより正確に計算する

先ほど路線価についてお伝えしましたが、「路線価×地積」だけでは宅地の評価としては不十分です。実際に宅地を見てみると、きれいな長方形や正方形の土地もあれば、土地の一部に崖があったり、細長かったり、いびつな形をしていたりして、使いにくい土地もあるからです。個々の状況を鑑みて適正な評価を行うために、補正率という割合を用いて計算します。なお、補正率も国税庁が公表しています。

押さえたい補正率5つ

補正率は土地の形状や状況に応じて、いくつかの種類があります。最低限知っておきたい補正率と計算式は、以下の5つです。

1.奥行価格補正率
道路からの奥行距離が長すぎる、あるいは短すぎることで利用しにくい宅地について評価額を軽減する際に用います。なお、奥行価格補正率は多くの宅地評価に用いられます。

【評価の計算式】路線価×奥行価格補正率(円未満切捨て)×地積

2.不整形地補正率
形がいびつで宅地全体を有効利用しにくい宅地の評価に用います。

【評価の計算式】路線価×奥行価格補正率(円未満切捨て)×不整形地補正率(円未満切捨て)×地積

3.間口狭小補正率
道路に接する間口が狭く利用しにくい宅地の評価に用います。

【評価の計算式】路線価×奥行価格補正率(円未満切捨て)×間口狭小補正率(円未満切捨て)×地積

4.奥行長大補正率
間口に比べて奥行距離が長すぎて利用しにくい宅地の評価に用います。

【評価の計算式】路線価×奥行価格補正率(円未満切捨て)×奥行長大補正率(円未満切捨て)×地積

5.がけ地補正率
がけ地があるため一部が使えない宅地の評価に用います。

【評価の計算式】路線価×奥行価格補正率(円未満切捨て)×がけ地補正率(円未満切捨て)×地積

使いにくい土地ほど評価が下がる

この他、大きすぎて使いにくい宅地や造成中の宅地、セットバックが必要なため一部が使えない宅地についても補正率があります。この補正率によって、土地の評価が下がるわけです。逆に、2つ以上の道路に接している宅地は、評価が若干上がるように補正されます。

台風19号や熊本地震のように大きな自然災害の影響を受け、使いにくくなった地域の宅地にも期間限定で補正率が用いられることがあります。まとめると、使いにくい土地ほど相続税の評価が下がるわけです。

使いにくい土地を活用すれば費用対効果が高くなる

不動産を将来子や孫に相続したいと考えるなら、「一見使いにくい土地」は選択肢になり得ます。もちろん、きれいに整った土地ほど簡単には使えないため、工夫が必要です。なお、都市計画道路予定地の区域内にある土地や埋蔵文化財がある土地は利用そのものが制限されるため、相続税の節税のためだけに購入することはおすすめしません。

しかし形が多少いびつなだけなら、工夫次第で収益性を高めることができます。不動産投資において、収益性は重要なポイントです。支出をなるべく抑えて、収入をなるべく多くしたいなら、使いにくい土地は投資先として検討する価値があります。

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