ネットカフェ難民
(画像=pressmaster/stock.adobe.com)

2020年春、人類を恐怖に陥れたのは未知のウイルスでした。これまでと一変した生活を強いられ、経済的にも苦しい状況が続いている人が多い中、生活弱者のネットカフェ難民がさらなる苦境にあえいでいることをご存じでしょうか。

緊急事態宣言でネットカフェが軒並み休業に

新型コロナウイルスの感染が広がる中、国が緊急事態宣言を発令しさまざまな業種の店舗に休業要請を行ったのが2020年4月のこと。いわゆる「三密」になりやすい飲食店等を中心に各都道府県でも休業要請が発され、ネットカフェも一時的な休業を余儀なくされました。

これにより、いわゆるネットカフェ難民と呼ばれる人々が行き先を失ってしまいました。

東京都が2018年に行った「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書」によれば、都内で平日にネットカフェ等をオールナイトで利用するものの数は約1万5,300人で、うち常連の数は5,000人以上とのことです。

このすべてがいわゆるネットカフェ難民とよばれる住居を持たない人であるとは言い切れませんが、同調査で「オールナイト利用の理由」として「現在住居がなく寝泊まりするために利用している」と回答した人は約26%にものぼっています。多くの人が、常態的にネットカフェを寝床としていたのです。

一度失った場を取り戻せるのか

その後、5月25日には政府による緊急事態宣言は解除されました。しかし、感染対策として数時間おきの消毒や利用人数の制限、1時間おきの換気、一部サービスの休止などを実施しているネットカフェも増えました。コロナ禍以前と同様に利用できなくなっているのが現状でしょう。

ネットカフェ難民をはじめとするホームレスへの対策として、厚生労働省は5月8日、各自治体にホームレスへの支援としてマスクの配布や特別定額給付金の周知徹底を行うとともに、自立相談支援機関と連携をとって適切な措置を講じるよう呼びかけました。

ところが、特別給付金の申請期限が迫る8月現在も住民登録のない一部のホームレスは給付金を受け取れていない状況のようです。総務省は、ネットカフェの事業者が同意し市区町村長が認定すれば住民票を作成できるとしていますが、実際にこの方法で認定を受けているホームレスはほとんどいないと考えられます。

ネットカフェはもう避難所にならない?自治体に相談を

コロナ禍において、ネットカフェでの生活はリスクが高いと言わざるを得ません。感染対策を行い、短時間だけ利用する場合と、寝食をそこで行うケースでは感染リスクも桁違いでしょう。感染後の医療費等を考えれば、なるべく安全な場所で過ごしたいものです。

支援が手厚くなっている今、多くの支援を受けるチャンスでもあります。お金や住まいに関する金銭的な悩みがあるのなら、まずは市町村の相談窓口に問い合わせてみましょう。

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