物流におけるドローン活用の研究が進む中で、飛行距離50キロにおよぶ実証実験が始まります。物流業界の人材不足が叫ばれる中で、ドローン物流への期待は高まるばかりです。ドローン物流の普及で、配達トラックの姿が減少するかもしれません。
増加する物流
宅配便の取扱個数は、年々増加しています。国土交通省が毎年調査・公表している「宅配便取扱実績」を見ると、2015年の宅配便取扱個数が374億5,000万個だったのに対し、2019年は432億3,000万個にまで増加しています。
宅配便取扱個数が増加したことによって、物流業界において交通渋滞、労働力不足、再配達の増加による労働生産性の低下、CO2排出量の増加等の課題が浮かび上がってきました。
ドローン物流は、これらの課題を解決する一つの方法として注目を集めています。
ドローン物流の普及で何が変わるのか
ドローン物流が本格的にスタートすることで、前述の課題解決に加え、人口減少で過疎化が進む地方の物流もスムーズになります。
深刻化する労働力不足の解消と労働環境の改善
物流業界は、深刻な労働力不足が問題となっています。若手ドライバーが減少を続ける中で、採用と同時に、労働環境の改善を図らなければならないでしょう。しかし、増え続ける宅配便を適切に取り扱おうとすると、どうしても人手が必要になってしまいます。宅配便の配達にドローンが使えるようになれば、現場の従業員の配達業務にかかる負担を大きく減らせるのではないかと期待されています。
宅配便利用者のニーズに応える物流に
ECサイトの利用増加で、宅配便に関するトラブルも増えています。独立行政法人国民生活センターは、宅配便の遅延や破損、紛失などの宅配トラブルに関する相談数の増加を受けて、公益社団法人全日本トラック協会にトラブル低減を求めているのが現状です。小口の宅配便の配達をドローン物流が行うようになれば、これらの不満を解消するのと同時に、宅配便の利用者が満足するような体制を構築できるかもしれません。
ドローン物流実現に向けた取り組みは着実に進んでいる
このように物流の課題を解決できる可能性が高いドローン物流を普及させるため、国もさまざまな取り組みを行なってきました。法整備を行い、ドローンをつかって荷物を配送するためのガイドラインの作成なども行っています。
また、民間企業の動きも活発化しており、2020年10月1日には先端ロボティクス財団が、2021年1月にドローンで東京湾を横断する長距離飛行の実証実験を行うことを公表しています。千葉市・横浜市間の約50キロをドローンが飛行するこの実証実験で、ドローン物流を実現するために超えなければならいハードルは何か、その課題を見出すそうです。この実験は繰り返し行い、気候の違いによる影響も調査します。
ドローンが飛び交う未来はすぐそこに
2022年には、東京湾上空に物流ドローンハイウェイが構築される予定です。実証実験後は大都市圏でドローン物流が事業化されていくいでしょう。空を見上げたらドローンが働いている。近未来的な光景が生活の一部となり、当たり前になる未来はすぐそこに迫っています。
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