仮想通貨,税金
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ビットコインをはじめとする仮想通貨(暗号資産)の取引で利益が出た場合、その利益には税金がかかります。税金の仕組みについてしっかりと理解しておかないと予想以上に税金がかかり納税資金の準備に苦労しかねません。そこで今回は、仮想通貨取引の税金の仕組みと確定申告について解説します。

目次

  1. 仮想通貨で税金がかかる主なタイミング
    1. 仮想通貨を売却したとき
    2. 仮想通貨で商品を購入したとき
    3. 仮想通貨同士の交換を行ったとき
  2. 仮想通貨の税金の取り扱い
    1. 仮想通貨の利益は「雑所得」に区分される
    2. 仮想通貨の必要経費
    3. 仮想通貨の評価方法
  3. 仮想通貨の利益は原則として確定申告が必要
    1. 確定申告が不要なケース
  4. 仮想通貨の税金計算方法
    1. 仮想通貨取引の所得を計算する
    2. 仮想通貨の税金計算例
  5. ビットコインを購入する前に税金について理解しておこう

仮想通貨で税金がかかる主なタイミング

仮想通貨取引では、以下のタイミングで税金がかかります。

仮想通貨を売却したとき

仮想通貨を売却して利益が出た場合、その利益は課税対象です。例えば50万円で購入したビットコインを150万円時点で売却した場合は、購入金額と売却金額の差額100万円(150万円-50万円)に税金がかかります。仮想通貨の売却で発生した損失については課税されません。

仮想通貨で商品を購入したとき

仮想通貨で商品を購入した場合は「仮想通貨を売却した」とみなされるため、商品の時価が仮想通貨の購入金額を上回る場合は税金がかかります。例えば、50万円で購入したビットコインで80万円の商品を購入すると、商品代金とビットコインの購入金額の差額30万円(80万円-50万円)が課税対象となります。

仮想通貨同士の交換を行ったとき

仮想通貨は、さまざまな通貨が発行されており仮想通貨同士の交換が可能です。保有中の仮想通貨と他の仮想通貨と交換したときも税金がかかるタイミングとなります。例えば50万円で購入したビットコイン(評価額100万円)と100万円分のイーサリアムを交換するケースです。この場合、「ビットコインでイーサリアムを購入した」と考えます。

そのためビットコインの購入金額とイーサリアムとの交換金額の差額50万円(100万円-50万円)に税金がかかります。

仮想通貨の税金の取り扱い

仮想通貨取引の所得区分や必要経費、評価方法に関する取り扱いは以下の通りです。

仮想通貨の利益は「雑所得」に区分される

仮想通貨取引で生じた利益は、所得税法上「雑所得」に区分されます。雑所得は総合課税の対象で、給与所得や事業所得など、他の所得金額を合計して所得税を計算するのが特徴です。所得金額が増えるほど税率も上がる「累進税率」が適用されるため、一般的には収入が高い人ほど税金も高くなります。所得税の税率(速算表)は以下の通りです。

課税される所得金額税率控除額
1,000~194万9,000円まで5%0円
195万~ 329万9,000円まで10%9万7,500円
330万~694万9,000円まで20%42万7,500円
695万~899万9,000円まで23%63万6,000円
900万~1,799万9,000円まで33%153万6,000円
1,800万~3,999万9,000円以下40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000円

参考)国税庁「No.2260 所得税の税率」

例えば課税される所得金額が700万円の場合、所得税額は97万4,000円(700万円×23%-63万6,000円)です。所得税率は、最大45%で住民税10%と合わせると最大55%課税される可能性があります。また所得金額が増えると社会保険料の負担もアップするので注意が必要です。

仮想通貨の必要経費

仮想通貨の雑所得は「総収入金額-必要経費」で求められます。仮想通貨取引で必要経費と認められる支出があれば所得を減らすことができるため所得税を節税することが可能です。仮想通貨の売却による所得を計算する際に必要経費と認められる支出は以下の通りです。

・売却する仮想通貨の購入金額(譲渡原価)
・売却時に支払った手数料

他にもインターネット・スマートフォンの回線利用料やパソコン購入費用のうち仮想通貨売却のために必要な支出と認められる金額についても必要経費に算入できます。必要経費に該当するか判断できない場合は、所轄税務署や税理士に確認しましょう。

仮想通貨の評価方法

複数の仮想通貨を継続的に売買する場合は、所得金額を計算するために仮想通貨の譲渡原価を計算しなくてはなりません。譲渡原価の計算に必要な仮想通貨の評価方法として以下2つの方法が認められています。

・総平均法
年初時点の仮想通貨の評価額と年中に取得した仮想通貨の取得価額の合計額を、これらの仮想通貨の総量で除して平均購入単価を計算する方法。

・移動平均法
仮想通貨を購入するたびに平均購入単価を計算する方法。

総平均法と移動平均法は、税務署へ届け出を行うことでどちらを利用するか選択することが可能です。届け出を行わない場合は、総平均法によって評価します。譲渡原価を計算は手間がかかりますが仮想通貨交換業者から送付される「年間取引報告書」を利用することで簡便に計算を行うことが可能です。

仮想通貨の利益は原則として確定申告が必要

株式や投資信託の場合「特定口座(源泉徴収あり)」で取引すれば証券会社が損益や税金を計算して源泉徴収してくれるため、基本的に確定申告は不要です。しかし仮想通貨取引では特定口座のような仕組みがありません。(2020年時点)そのため原則として確定申告が必要です。確定申告をしないと延滞税や加算税といったペナルティが課され通常よりも多くの税金を納めることになります。

仮想通貨取引で利益が出て税金を納める必要がある場合は、必ず確定申告をしましょう。ただし取引の状況によっては確定申告が不要なケースもあります。

確定申告が不要なケース

1ヵ所から給与の支払いを受けている人で給与所得および退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の場合は、確定申告は不要となります。例えば1年間の収入が給与と仮想通貨の利益の2つで仮想通貨の売買で得た雑所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。仮想通貨の利益には課税されません。仮想通貨以外に副業などで雑所得がある場合は、副業収入も合算して20万円以下の判定を行います。

ただし所得税の確定申告は不要でも住民税は原則確定申告が必要です。確定申告が必要かどうか判断できない場合は、所轄税務署や税理士などの専門家に相談しましょう。

仮想通貨の税金計算方法

仮想通貨取引で利益が出た場合、どのように税金を計算すればよいのでしょうか。ここでは、仮想通貨の税金計算方法について説明します。

仮想通貨取引の所得を計算する

仮想通貨の税金を計算するには、仮想通貨交換業者から届く「年間取引報告書」を利用して所得を計算することが必要です。国税庁のホームページには、仮想通貨の所得が計算できる計算書(Excel)が用意されています。年間取引報告書の掲載内容に基づいて計算書に金額を入力すれば簡便に所得を計算できる仕組みです。

参考)国税庁「仮想通貨に関する税務上の取扱い及び計算書について」

仮想通貨交換業者から発行される年間取引報告書は、基本的には「総平均法」に基づいて作成されます。そのため評価方法として移動平均法を選択している場合は、年間取引報告書を使って所得を計算できない可能性があるため注意しましょう。また国税庁の計算書は、分裂やマイニング(採掘)によって仮想通貨を取得したケースなどには対応していません。

自分で仮想通貨の所得を計算するのが難しい場合は、税理士などの専門家に計算を依頼するといいでしょう。

仮想通貨の税金計算例

仮想通貨の所得(雑所得)が計算できたら他の所得と合算して所得税を計算します。例えば給与所得500万円、雑所得100万円(すべてビットコイン売却による利益)の場合、所得税額は以下のように計算します。(基礎控除などは含まず)

・所得金額:600万円(給与所得500万円+雑所得100万円)
・所得税額:56万4,000円(600万円×所得税率20%-控除額63万6,000円)

医療費控除などの各種控除を利用する場合は、控除額によって所得金額や所得税は変わります。

ビットコインを購入する前に税金について理解しておこう

ビットコインなどの仮想通貨は価格変動が大きいため、うまく取引できれば大きな利益を得られる可能性があります。しかし仮想通貨で利益が出た場合は、基本的に自分で税金を計算して確定申告をすることが必要です。仮想通貨に興味があるなら取引をはじめる前に税金の取り扱いについてしっかりと理解しておきましょう。

大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

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