(本記事は、ジョン・ネフィンジャー氏、マシュー・コフート氏の著書『人の心は一瞬でつかめる』=あさ出版、2021年3月19日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
強さと温かさ――二つの観点
人を評価、つまり品定めするときに、私たちが無意識にはかっている二つの観点。
それはズバリ、「強さ」と「温かさ」です。
この場合の「強さ」とは、個人の能力の高さや物事を成し遂げる意志の固さを指します。強さを感じさせる人物は、人々の尊敬を集めます。
また「温かさ」とは、この人にもっと近づきたい、と相手に思わせる優しさや親近感のことを言います。温かい人物の周りには自然に人が集まってきます。
私たちは温かい人に心惹かれ、冷たい人に反感を覚え、いかにも強そうな人には一目置きますが、見るからに弱々しい人間にはあまり注意を払いません。
スーザンは、読書に没頭していたい気持ちを抑えてエドワードに名札のことを教えてあげました。
エドワードの言動から、人の良さ=「温かさ」を感じとったからです。そして、エドワードもまた、にこやかに指摘してくれたスーザンに優しさ=「温かさ」を感じたから、自分のことを話したのです。
さらに、エドワードが医師であるにもかかわらず、上から目線の態度を取らず、一方で、スーザンが的確に問題点と解決策を指摘できる能力の高さを示したことで、お互いに好感を抱き、一緒に働くという選択をしたのです。
人は、この二人のように「強さ」と「温かさ」を同時に感じさせる人物には、敬意と憧れを抱きます。
つまり、無意識のうちに、常に「強さ」と「温かさ」、この二つを指標にして人を判断しているのです。
このことに気がつくと、あらゆる物事の見方が変わります。
「強さ」や「温かさ」を発揮している人を観察すれば、彼らがなぜ、人の心を惹きつけるのかが理解できるようになります。
スーザンとエドワードは、人のために尽くしたいという気持ち=「温かさ」だけでなく、それを実行するだけの能力=「強さ」ももっていました。そういう人物には、安心してリーダーを任せることができますよね。
一方、魅力に欠ける人物がいた場合、「強さ」や「温かさ」ではなく、「弱さ」や「冷たさ」を感じさせる何かがあることがわかります。
たとえば、アルバイトであっても、お客様に優しい言葉をかけるなど丁寧で温かなサービスをしつつ、落ち着いて状況を把握し、すべきことをスタッフに指示できる強さを持っている人は、多くの人に尊敬されます。
課長というポストで真面目に働いてはいるものの、ぎこちない身のこなしのせいで自信なさげに見え(弱さ)、自分の仕事でいっぱいいっぱい(結果、部下まで目が回らない・冷たい)の人は、部下の尊敬を集めることができません。
あなたの周りの人は、いかがでしょうか?
そして、あなた自身はどうでしょうか?
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