不動産オーナーのためのSDGs実践入門 物件の魅力を高めながら社会貢献!
(画像=Choat/stock.adobe.com)

賃貸経営でSDGsの取り組みをどう進めてよいかわからない……そんな不動産オーナーにSDGsの実践方法を紹介します。いずれもアパートやマンションを経営されているオーナーなら取り組み可能な内容です。社会や地域に貢献しながら物件の魅力を高めていきましょう。

はじめに「SDGsの基本」をあらためて整理

SDGsが注目されている理由をご存じでしょうか。たくさんの問題を抱えたままの現状では、地球全体の継続が危ぶまれているからです。ビジネスも無関係ではなく社会の継続自体が難しいのであれば当然ビジネスも成り立たちません。そもそもSDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で「持続可能な開発目標」の意味です。

2015年に国連で採択された2016~2030年までの世界共通の国際目標となっています。SDGsをひらたくいえば「社会を未来につなげていくためにみんなで共有していく目標」となるでしょうか。ここでいう「みんな」とは、国や自治体、民間企業、非営利組織、個人事業主などあらゆるレイヤーのことです。SDGsは、17の大きな目標(ゴール)と169の具体的な目標(ターゲット)で構成されています。

不動産オーナーのためのSDGs実践入門 物件の魅力を高めながら社会貢献!
(画像=日本ユニセフ協会 公式サイト「SDGs17の目標」)

国や自治体、大企業などであれば17の大きな目標の大半を進めていく責任があるでしょう。また中小企業や個人事業主などであれば17の大きな目標のうち取り組めるものから着手するのが現実的です。もちろん賃貸経営をしている法人や個人事業主でもSDGsに取り組むことはできます。

やみくもに社会貢献活動をしてもSDGsの活動にはならない

SDGsの活動を進める際に最も重要なポイントは、SDGsの17の目標と169の具体的目標の内容をしっかりと把握することです。やみくもに環境や社会に貢献する活動をしても厳密には「SDGsの活動をしている」とはいえません(※)。SDGsは、あくまでも持続可能な開発目標がありそれを世界中で共有して2030年までに進めるものです。

※環境や社会に貢献する活動を否定するものではありません。

そのためSDGsの活動を進める際は、17の目標と169の具体的目標の中身を知ることが大事です。そのうえでSDGsに取り組むと目標とのズレがなくなります。

賃貸経営のSDGsの実践方法、6つの例

SDGsで設定された目標に沿った「賃貸経営のSDGsの実践方法」について6つの例を紹介します。

SDGs実践方法1.太陽光発電システムを導入する

SDGsの目標7は「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」。「目標7」の具体的な目標の一つが以下の目標7-2です。

「2030年までに、エネルギーをつくる方法のうち、再生可能エネルギーを使う方法の割合を大きく増やす」
出典:ユニセフ

二酸化炭素などを排出しないエネルギー源となる再生可能エネルギーには、太陽光・風力・地熱などがあります。賃貸経営は、建物や土地を所有しているため、このうち太陽光発電が採用しやすい傾向です。太陽光発電パネルを屋根や敷地に設置かつ共有スペースなどで自家消費し余った電力を売電すると環境貢献度が大きいです(※)。

※発電した電力の利用には、さまざまなやり方があります。あくまでも一例です。

「太陽光発電システムを導入するとコストがかかる」という不動産オーナーもいるかもしれません。しかし「PPAモデル(電力販売契約)」を利用すればコストなしで太陽光発電システムを導入することもできます。PPAモデルとは、Power Purchase Agreementの略で電力を使う企業や住宅が屋根などを提供しそこにPPA事業者が太陽光発電システムなどを初期コスト0円で設置し運用する仕組みです。

SDGs実践方法2.有害物質を抑える

SDGsの目標3は「すべての人に健康と福祉を」。「目標3」の具体的目標の一つが目標3-9です。

「2030年までに有害な化学物質や、大気・水・土壌の汚染が原因で起こる死亡や病気を大きく減らす」
出典:ユニセフ

賃貸経営では、以下のシーンで有害な化学物質を発生させてしまう可能性があります。

  • マンションやアパートを建築するとき
  • リフォームをするとき
  • 原状回復工事をするとき

有害物質をできるだけ抑えた部材を厳選して使う建築業者やリフォーム業者に発注することでSDGsの活動の一助となります。

SDGs実践方法3.入居者審査で行き過ぎた排除をしない

SDGsの目標10は「人や国の不平等をなくそう」。「目標10」の具体的な目標のうちの一つが以下の目標10-2です。

「2030年までに、年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる」
出典:ユニセフ

賃貸経営において入居者審査は大事ですが年齢や障がい、民族などを理由に行き過ぎた排除をすることはSDGsの考え方に反しています。これらの人たちでも家賃を払う能力があるなら受け入れる姿勢も大切かもしれません。また家賃保証や孤独死保険などのサービスを利用することでこれらの人たちを受け入れやすい環境をつくることも可能です。

住宅に困っている高齢者などを受け入れる賃貸住宅には、リフォーム費用の補助金もあります(住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業)。こういった制度を利用してSDGsの活動をすることも可能です。

SDGs実践方法4.災害発生時に地域に貢献する

SDGsの目標11は「住み続けられるまちづくりを」。「目標11」の具体的な目標のうちの一つが以下の目標11-3です。

「2030年までに、だれも取り残さない持続可能なまちづくりをすすめる。すべての国で、だれもが参加できる形で持続可能なまちづくりを計画し実行できるような能力を高める」
出典:ユニセフ

敷地や建物を所有している賃貸経営は、この目標で特に災害時に貢献できる可能性があります。例えば以下のような内容も選択肢の一つです。

  • 賃貸住宅の敷地内に住人や地域の人たちが災害時に使える共有の井戸を設ける
  • 共有スペースを災害発生時に地域の人たちに開放する
  • マンション住人の災害時用の食料や水をストックするなど

SDGs実践方法5.敷地内にSDGs自販機を設置する

比較的、手軽にできる賃貸経営におけるSDGsの実践方法の一つが所有するマンションやアパートの敷地内への「SDGs自販機の設置」です。自販機の中には、ジュースなどが1本売れるごとに設置オーナーが希望する団体に対して決まった額を寄付する「寄付型自販機」があります。SDGsに取り組む団体に寄付をすることで間接的にSDGsに参加することが可能です。

一方でフードロス削減に貢献する自販機もあります。SDGsの目標12は「つくる責任、使う責任」。この目標12のうちの具体的な目標の一つが以下の目標12-3です。

「2030年までに、お店や消費者のところで捨てられる食料(一人当たりの量)を半分に減らす。また、生産者からお店への流れのなかで、食料が捨てられたり、失われたりすることを減らす」
出典:ユニセフ

フードロスの削減でSDGsへ貢献したい場合は、自販機でこれを進められる可能性もあります。例えば北陸コカ・コーラボトリングでは、2021年1月よりフードロスの削減に貢献する自動販売機を提供開始。これは、賞味期限切れが近いジュースなどを割引価格で販売するものです。2021年時点で設置場所は、役所が中心となっています。

2021年1月29日付の日本経済新聞では、「希望する自治体や企業に置き、フードロスの削減につなげる」と報じています。

SDGs実践方法6.SDGsに取り組む不動産業者を選ぶ

全社を挙げてSDGsに取り組む不動産会社や管理会社、リフォーム会社などが増えています。こういった業者をパートナーに選ぶことで間接的にSDGsを推進することも一案です。ただ本気度の高いSDGsへの取り組みがある一方、SDGsを推進するメッセージだけが先行して活動をほとんどしていない企業も見受けられます。

またSDGsの目標とかけ離れた活動をしているのに「SDGsに取り組む企業」とPRする企業も少なくありません。SDGsに取り組む不動産業者を選ぶのであれば「具体的にどのような取り組みをしているのか」について詳しいヒアリングが必須でしょう。

SDGsの実践は、最終的に不動産オーナーのリターンになる

最後に本記事で紹介したSDGsの実践方法を振り返ってみましょう。例えば以下のような内容がありました。

  • 太陽光発電システムを導入する
  • 有害物質を抑える
  • 災害発生時に地域に貢献するなど

これらは、すべて社会貢献になると同時に入居者のベネフィットになる内容です。つまりSDGsに取り組む賃貸住宅は、入居者にとっても魅力的な賃貸住宅といえるでしょう。また最終的には入居者に選ばれやすくなることで安定経営がしやすくなり不動産オーナーにもリターンをもたらします。長期的な視点でSDGsを進めていくことを検討してはいかがでしょうか。

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