不動産オーナーのためのSDGs実践入門 物件の魅力を高めながら社会貢献!
(画像=Choat/stock.adobe.com)
本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

「賃貸経営でSDGsの取り組みをどう進めてよいかわからない」「不動産投資でSDGs活動をしたときのポイントを知りたい」という不動産オーナーに、SDGsの基本や賃貸経営で行ったときのメリット・デメリット、実践方法などを紹介します。いずれもアパートやマンションを経営されているオーナーなら、取り組める内容です。社会や地域に貢献しながら、物件の魅力を高めていきましょう。

目次

  1. はじめに「SDGsの基本」をあらためて整理
    1. SDGsの17の目標に対する、不動産関連企業の取り組みとは?
    2. 目標1.貧困をなくそう
    3. 目標3.すべての人に健康と福祉を
    4. 目標5.ジェンダー平等を実現しよう
    5. 目標6.安全な水とトイレを世界中に
    6. 目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
    7. 目標8.働きがいも 経済成長も
    8. 目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう
    9. 目標10.人や国の不平等をなくそう
    10. 目標11.住み続けられるまちづくりを
    11. 目標12.つくる責任 つかう責任
    12. 目標13.気候変動に具体的な対策を
    13. 目標16.平和と公正をすべての人に
    14. 目標17.パートナーシップで目標を達成しよう
  2. SDGsに対する企業の意識はどれくらい高まった?
  3. やみくもに社会貢献活動をしてもSDGsの活動にはならない
  4. 不動産オーナーがSDGsに取り組んだときの5つのメリット
    1. メリット1:一般消費者に選択される
    2. メリット2:若い世代(学生)に選択される
    3. メリット3:企業に選択される
    4. メリット4:投資家に選択される
    5. メリット5:中途採用者に選択される
  5. 不動産オーナーがSDGsに取り組んだときの5つのデメリット
    1. デメリット1.本業によい効果がない
    2. デメリット2.本業に悪影響が出る
    3. デメリット3.コストが重くなる
    4. デメリット4.活動を続けにくい
    5. デメリット5.活動内容が伝わりにくい
  6. 賃貸経営のSDGsの実践方法、6つの例
    1. SDGs実践方法1.太陽光発電システムを導入する
    2. SDGs実践方法2.有害物質を抑える
    3. SDGs実践方法3.入居者審査で行き過ぎた排除をしない
    4. SDGs実践方法4.災害発生時に地域に貢献する
    5. SDGs実践方法5.敷地内にSDGs自販機を設置する
    6. SDGs実践方法6.SDGsに取り組む不動産業者を選ぶ
  7. SDGsの実践は、最終的に不動産オーナーのリターンになる
  8. 主要な不動産会社のSDGsの取り組みの一例
    1. 三井不動産:社会貢献活動が体験できる場を提供
    2. 三菱地所グループ:再生可能電力比率などの目標値を設定
    3. 住友グループ: 再開発を通じて災害に強い街づくり
    4. 東急不動産ホールディングス:その街の多様性を生かした開発
    5. オープンハウスグループ: 属性にとらわれない組織づくり
    6. 東日本都市開発:保育園建築でジェンダー平等に貢献
    7. ウスイホーム:環境負荷の少ない住宅の普及
    8. オハナ不動産:住宅ローン返済困難者を支援
  9. SDGsについてよくある質問
    1. Q.SDGsとは?
    2. Q.不動産オーナーができるSDGsの実践方法は?
    3. Q.SDGsとESG投資はどんな関係なの?
    4. Q.SDGsに関する消費者の認知度はどれくらい?
    5. Q.SDGsウォッシュとは?

はじめに「SDGsの基本」をあらためて整理

SDGsが注目されている理由をご存じでしょうか。たくさんの問題を抱えたままの現状では、地球全体の継続が危ぶまれているからです。ビジネスも無関係ではなく社会の継続自体が難しいのであれば当然ビジネスも成り立たちません。そもそもSDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で「持続可能な開発目標」の意味です。

2015年に国連で採択された2016~2030年までの世界共通の国際目標となっています。SDGsをひらたくいえば「社会を未来につなげていくためにみんなで共有していく目標」となるでしょうか。ここでいう「みんな」とは、国や自治体、民間企業、非営利組織、個人事業主などあらゆるレイヤーのことです。SDGsは、17の大きな目標(ゴール)と169の具体的な目標(ターゲット)で構成されています。

SDGs17の大きな目標
(画像=日本ユニセフ協会 公式サイト「SDGs17の目標」)

国や自治体、大企業などであれば17の大きな目標の大半を進めていく責任があるでしょう。また中小企業や個人事業主などであれば17の大きな目標のうち取り組めるものから着手するのが現実的です。もちろん賃貸経営をしている法人や個人事業主でもSDGsに取り組むことはできます。

SDGsの17の目標に対する、不動産関連企業の取り組みとは?

では、SDGsの17の目標に対して、各企業はどんな取り組みを行っているのでしょうか。ここでは、オーナーになじみのある不動産関連企業(住宅設備メーカー)の取り組みの事例をご紹介します。

目標1.貧困をなくそう

YKK APの取り組み:人事制度改革に取り組み、年齢・性別・学歴・国籍に関わらない人事制度、同一の役割・成果・処遇の実現を目指しています。

目標3.すべての人に健康と福祉を

YKK APの取り組み:空調設備・ 空調服を導入して暑熱対策を実施。また、食堂やトイレなどの環境整備を進めて、従業員がいきいきと働ける職場づくりを進めています。どんな環境で住宅設備が生まれているかについて、不動産オーナーが意識することも大切かもしれません。

目標5.ジェンダー平等を実現しよう

LIXILの取り組み: 性別・年齢に関係なく、平等な育成・キャリア機会を提供しているとのこと。そのために、多様性の尊重を推進する専門部署を設置しています。

目標6.安全な水とトイレを世界中に

LIXILの取り組み:「トイレをはじめとする衛生ソリューションの展開を通じて、生活の質を向上させることを目指す」としています。下水が整っていない開発途上国向けに開発された簡易式トイレシステム「SATO」を、約510万台出荷(2021年7月現在)するなどの活動を進めています。

目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

LIXILの取り組み:メガソーラー発電施設の運営や再生可能エネルギー由来の電力の導入、CO₂排出量削減に貢献する省エネや断熱に貢献する製品・サービスの提供などを進めています。

目標8.働きがいも 経済成長も

YKK APの取り組み:場所を選ばない働き方を実現するため、テレワーク環境を整備。受動喫煙ゼロに向けた職場づくりや、社員全員が同じベクトルで企業活動を行うための「経営理念浸透活動」なども実施しています。

目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう

YKK APの取り組み:同社のモノづくりプロセスの基盤となっている3つの技術施設(YKK AP R&Dセンター、価値検証センター、パートナーズサポートスタジオ)の連携で、課題解決をもたらすモノづくりを進めています。

目標10.人や国の不平等をなくそう

TOTOの取り組み:お子様連れの人、障がいのある人、性的マイノリティの人などが外出先でトイレを使ったときの悩みを調査。これを解決するようなトイレ空間の提案を行っているとのことです。

目標11.住み続けられるまちづくりを

YKK APの取り組み:過酷な台風にも耐えられるような 高性能のシャッターやカーポート、耐震補強に貢献する窓の開発提供などを進めています。これらは災害に強い賃貸物件をつくりたい不動産オーナーにとって、心強いアイテムになりそうです。

目標12.つくる責任 つかう責任

LIXILの取り組み:環境負荷の低いリサイクル原材の利用に加えて、寿命が長く、修理・交換がしやすい商品づくりに取り組んでいるとのこと。また、製品パッケージの使い捨てプラスチックの削減も進めているそうです。

目標13.気候変動に具体的な対策を

LIXILの取り組み:同社は、国際的な企業イニシアチブ「RE100」に参加しています。これは、事業で使う電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す、国際的なイニシアチブです。

目標16.平和と公正をすべての人に

YKK APの取り組み:強固なコンプライアンス遵守体制を構築するために「YKKグループ内部通報制度」を導入。これは法律、就業規則、社内規程に抵触するような行為があったとき、社内・社外の窓口に匿名で相談・報告できる制度です。

目標17.パートナーシップで目標を達成しよう

LIXILの取り組み:目標6でご紹介した会員トイレシステム「SATO」の現地での生産・販売体制づくりを進めてきたそうです。 これにより、現地への雇用を生み出すという貢献もしています。

SDGsに対する企業の意識はどれくらい高まった?

最近は、「SDGsという言葉をよく聞くようになった」と感じている不動産オーナーも多いでしょう。一方で気になるのは、実際にSDGsに取り組んでいる企業がどれくらい増えているかです。この点については、帝国データバンクの実施した「SDGsに関する企業の意識調査(2021年)」が参考になります。

この調査は2020年にも行われていますが、その結果と比べると「SDGsの意味および重要性を理解し、取り組んでいる」と答えた企業の割合は、前回の8%から14.3%と6ポイント以上伸びています。また、「SDGsに取り組みたいと思っている」と答えた企業の割合も、前回の16.4%から25.4%と9ポイント伸びています。

SDGsに「すでに取り組んでいる企業」と「これから取り組みたい企業」を合わせた、SDGsに積極的な企業の割合は約4割であり、企業経営においてSDGsの重要性と注目度が高まっていることがわかります。

一方で気になるデータもあります。企業の規模別にSDGsに積極的な割合を見ると、大企業は半数を超えているのに対し、中小企業・小規模企業は3割台にとどまっています。不動産オーナーは小規模企業に含まれるケースが多いと思いますが、逆にいうと、まだ少数派の今だからこそ、SDGsに取り組めば「競合物件との差別化を図りやすい」といえるでしょう。

やみくもに社会貢献活動をしてもSDGsの活動にはならない

SDGsの活動を進める際に最も重要なポイントは、SDGsの17の目標と169の具体的目標の内容をしっかりと把握することです。やみくもに環境や社会に貢献する活動をしても厳密には「SDGsの活動をしている」とはいえません(※)。SDGsは、あくまでも持続可能な開発目標がありそれを世界中で共有して2030年までに進めるものです。

※環境や社会に貢献する活動を否定するものではありません。

そのためSDGsの活動を進める際は、17の目標と169の具体的目標の中身を知ることが大事です。そのうえでSDGsに取り組むと目標とのズレがなくなります。

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不動産オーナーがSDGsに取り組んだときの5つのメリット

不動産オーナーがSDGsに取り組んだときの具体的なメリットとして、以下の5つが挙げられます。

メリット1:一般消費者に選択される

企業だけでなく、一般消費者もSDGsを意識するシーンが増えています。値段・デザイン・品質に加えて、「社会貢献をしているか」「環境負荷を与えていないか」などを意識して、モノやサービスを選ぶ人が目立つようになりました。

このような流れの中で、SDGsに貢献する賃貸物件とそうでない賃貸物件があったら「前者を選ぶ」という入居者が増えてくることも考えられます。その意味で、不動産オーナーは一般消費者のSDGsに対する意識について、アンテナを張っておくべきといえるでしょう。

ちなみに電通の調査によると、全国の10代〜70代の男女(計1,400人)のうち、SDGsという言葉を知っている人は54.2%で、前回の調査からほぼ倍になっています。SDGsの認知・意識が世の中で急速に広まっていることは、間違いなさそうです。

SDGsの意識調査
出典:電通「SDGsに関する生活調査」(第4回:2021年)

メリット2:若い世代(学生)に選択される

不動産オーナーであれば、若い世代のSDGsへの意識の高さも見逃せません。前出の電通「SDGsに関する生活調査」では、10代のSDGsの認知率が7割を超えています。この結果を不動産投資に活かすためには、例えば学生向けの賃貸物件でSDGsを意識した住宅性能にすることで、競合物件との差別化を図るといった施策が考えられます。

また、一般企業の新卒採用にも、若い世代のSDGsへの意識向上の影響が出ています。ディスコによる853名の就活生を対象にした調査では、「就職先企業の選考基準」の第1位は「社会貢献度が高い」でした。

<就職先企業に決めた理由>

2021年卒2020年卒2019年卒
社会貢献度が高い 30.0社会貢献度が高い 29.4社会貢献度が高い 31.8
将来性がある 28.5給与・待遇が良い 27.0将来性がある 30.4
職場の雰囲気が良い 26.5将来性がある 26.0職場の雰囲気が良い 25.4
給与・待遇が良い 25.9仕事内容が魅力的 25.8給与・待遇が良い 25.3
福利厚生が充実している 25.5福利厚生が充実している 24.6仕事内容が魅力的 25.3
大企業である 23.6有名企業である 22.5福利厚生が充実している 24.1
仕事内容が魅力的 23.1職場の雰囲気が良い 22.4有名企業である 23.5
有名企業である 21.2大企業である 22.4希望の勤務地で働ける 23.5
希望の勤務地で働ける 20.1休日・休暇が多い 19.6大企業である 22.3
業界順位が高い 19.4希望の勤務地で働ける 19.5世の中に影響力が大きい 18.8
出典:ディスコ「就活生の企業選びとSDGsに関する調査」(2020年)

さらに社会貢献度を判断する要素として、26.1%の就活生が「CSR/ESG/SSDなどの取り組み」と答えています。

企業の社会貢献度を判断する要素
出典:ディスコ「就活生の企業選びとSDGsに関する調査」(2020年)

SDGsに積極的に取り組むか否かで優秀な人材を取れるかどうか、すなわち企業競争力が左右される時代になっているといえるでしょう。

メリット3:企業に選択される

前出の帝国データバンクの調査では、SDGsに積極的な企業の割合は全体の約4割でした(※)。この傾向を不動産投資に活かすためには、例えば賃貸物件にSDGsに貢献する住宅性能を導入し、SDGsに取り組む企業に社宅として売り込むといった方法が考えられます。
※SDGsにすでに取り組んでいる企業、これから取り組みたい企業の合計

さらに最近では、SDGsに取り組む中小企業を後押しする銀行の融資メニューも登場しています。例えばSDGsの野心的な目標を達成すると金利を優遇するものや、環境・社会に関する事業に使途を限ったものなどです。このような流れを受けて、SDGsに貢献する住宅性能の賃貸物件は融資で有利になる、そんな時代がやってきてもおかしくありません。

メリット4:投資家に選択される

最近は、SDGsやESG(環境・社会・企業統治)をテーマにした企業活動に対して、投資マネーが集まる傾向にあります。その中で国土交通省は、2023年度を目途に不動産分野にESG投資を呼び込むための施策を行うと発表しています。

具体的には、「安全・尊厳」「心身の健康」「豊かな経済」「魅力のある地域」など4つのテーマに沿った評価項目を整理し、それを活用するというものです。このような国の後押しの中で、「SDGs・ESG」「不動産分野」「投資家」の親和性が高まっていくと予想されます。

メリット5:中途採用者に選択される

不動産投資を行う法人として、またはいくつかある事業の一つとして賃貸事業を行っている不動産オーナーもいるでしょう。新卒採用だけでなく中途採用においても、SDGsに取り組んでいる企業とそうでない企業では、結果が大きく変わる可能性があります。

エン・ジャパンが行った転職関連サイトを利用している約3,000人を対象にした「SDGs意識調査」によると、その傾向が強いことがわかります。この調査の「転職先を選ぶうえで企業のSDGsに対する姿勢や取り組みを重視しますか?」という設問では、65%の人が「重視する(※)」と回答しました。
※重視する(17%)、どちらかというと重視する(48%)の合計

転職先を選ぶうえでのSDGsの重要性
出典:エン・ジャパン「SDGs意識調査」

不動産オーナーがSDGsに取り組んだときの5つのデメリット

一方で、不動産オーナーがSDGsに取り組んだときのデメリットもあります。これらのデメリットを検証した上でSDGsを行うか否か、何をするかを決定する必要があります。

デメリット1.本業によい効果がない

SDGsの取り組みは、どのような施策を行うにしても手間がかかります。それに見合う賃貸経営への好影響が感じられない場合は、無駄骨になってしまいます。このような状況に陥らないために、不動産オーナーは以下の2つを意識するが必要があるでしょう。

・SDGsに取り組む前に、賃貸経営との関連性を整理する
・目標達成の時期を決め、未達成の場合は再考する

デメリット2.本業に悪影響が出る

不動産オーナーが賃貸事業に使える時間には限りがあります。デメリット1でお伝えしたように、好影響が出ないままSDGs活動を惰性で続けていると本業に悪影響が出るおそれもあります。

社会貢献は大切なことですが、これも賃貸経営という本業があってことです。「本業がSDGsの活動によって圧迫されている」と感じたときは、立ち止まって見直すことも大切です。

デメリット3.コストが重くなる

SDGsの活動には手間だけでなく、コストがかかることもあります。不動産投資のSDGsでは、以下のようなケースが考えられます。

・物件の敷地や屋根に太陽光発電設備を導入した
・環境負荷の少ない材料をリフォームで利用した
・地域貢献につながるような活動を行った
・賃貸経営で得られた利益の一部を寄附した

SDGsの活動を成り行きで進めていると、気づいたときには想定以上のコストを投入している可能性もあります。そうならないためにはSDGs活動のコストを明確にし、全体の支出とのバランスをチェックしなければなりません。

デメリット4.活動を続けにくい

経営者や担当者からは、「SDGsのプロジェクトを立ち上げても続かない」という声も聞かれます。SDGsの重要性を頭ではわかっていても、実感がわかないからでしょう。このような状態でSDGs活動を進めようとしても、本業が忙しくなったり、新たな課題が出てきたりすれば、頓挫しやすくなります。

このような状況を打破するためのポイントは、SDGsを「自分ごと」にすることです。不動産投資であれば、「物件の周辺環境に負荷を与えないにはどうしたらよいか?」「地域社会に貢献するにはどうしたらよいか?」と考えると、やるべきタスクとその活動を行う意味を見出しやすくなります。

デメリット5.活動内容が伝わりにくい

SDGsの活動は、自らアナウンスしないと周囲になかなか伝わりません。不動産投資であれば、入居者や見込み客、地域住民などにSDGsの活動を周知することで、本業での成果につながりやすくなります。

SDGsの活動はボランティアではありません。社会貢献と企業活動を融合することで、持続可能な開発目標が達成されます。そのためには、「SDGsの活動と効果的な情報発信」をセットで考える必要があります。その意味では、バランスの取れた企業活動こそがSDGs成功のポイントといえるでしょう。

賃貸経営のSDGsの実践方法、6つの例

SDGsで設定された目標に沿った「賃貸経営のSDGsの実践方法」について6つの例を紹介します。

SDGs実践方法1.太陽光発電システムを導入する

SDGsの目標7は「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」。「目標7」の具体的な目標の一つが以下の目標7-2です。

「2030年までに、エネルギーをつくる方法のうち、再生可能エネルギーを使う方法の割合を大きく増やす」
出典:ユニセフ

二酸化炭素などを排出しないエネルギー源となる再生可能エネルギーには、太陽光・風力・地熱などがあります。賃貸経営は、建物や土地を所有しているため、このうち太陽光発電が採用しやすい傾向です。太陽光発電パネルを屋根や敷地に設置かつ共有スペースなどで自家消費し余った電力を売電すると環境貢献度が大きいです(※)。

※発電した電力の利用には、さまざまなやり方があります。あくまでも一例です。

「太陽光発電システムを導入するとコストがかかる」という不動産オーナーもいるかもしれません。しかし「PPAモデル(電力販売契約)」を利用すればコストなしで太陽光発電システムを導入することもできます。PPAモデルとは、Power Purchase Agreementの略で電力を使う企業や住宅が屋根などを提供しそこにPPA事業者が太陽光発電システムなどを初期コスト0円で設置し運用する仕組みです。

SDGs実践方法2.有害物質を抑える

SDGsの目標3は「すべての人に健康と福祉を」。「目標3」の具体的目標の一つが目標3-9です。

「2030年までに有害な化学物質や、大気・水・土壌の汚染が原因で起こる死亡や病気を大きく減らす」
出典:ユニセフ

賃貸経営では、以下のシーンで有害な化学物質を発生させてしまう可能性があります。

・マンションやアパートを建築するとき
・リフォームをするとき
・原状回復工事をするとき

有害物質をできるだけ抑えた部材を厳選して使う建築業者やリフォーム業者に発注することでSDGsの活動の一助となります。

SDGs実践方法3.入居者審査で行き過ぎた排除をしない

SDGsの目標10は「人や国の不平等をなくそう」。「目標10」の具体的な目標のうちの一つが以下の目標10-2です。

「2030年までに、年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる」
出典:ユニセフ

賃貸経営において入居者審査は大事ですが年齢や障がい、民族などを理由に行き過ぎた排除をすることはSDGsの考え方に反しています。これらの人たちでも家賃を払う能力があるなら受け入れる姿勢も大切かもしれません。また家賃保証や孤独死保険などのサービスを利用することでこれらの人たちを受け入れやすい環境をつくることも可能です。

住宅に困っている高齢者などを受け入れる賃貸住宅には、リフォーム費用の補助金もあります(住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業)。こういった制度を利用してSDGsの活動をすることも可能です。

SDGs実践方法4.災害発生時に地域に貢献する

SDGsの目標11は「住み続けられるまちづくりを」。「目標11」の具体的な目標のうちの一つが以下の目標11-3です。

「2030年までに、だれも取り残さない持続可能なまちづくりをすすめる。すべての国で、だれもが参加できる形で持続可能なまちづくりを計画し実行できるような能力を高める」
出典:ユニセフ

敷地や建物を所有している賃貸経営は、この目標で特に災害時に貢献できる可能性があります。例えば以下のような内容も選択肢の一つです。

・賃貸住宅の敷地内に住人や地域の人たちが災害時に使える共有の井戸を設ける
・共有スペースを災害発生時に地域の人たちに開放する
・マンション住人の災害時用の食料や水をストックするなど

SDGs実践方法5.敷地内にSDGs自販機を設置する

比較的、手軽にできる賃貸経営におけるSDGsの実践方法の一つが所有するマンションやアパートの敷地内への「SDGs自販機の設置」です。自販機の中には、ジュースなどが1本売れるごとに設置オーナーが希望する団体に対して決まった額を寄付する「寄付型自販機」があります。SDGsに取り組む団体に寄付をすることで間接的にSDGsに参加することが可能です。

一方でフードロス削減に貢献する自販機もあります。SDGsの目標12は「つくる責任、使う責任」。この目標12のうちの具体的な目標の一つが以下の目標12-3です。

「2030年までに、お店や消費者のところで捨てられる食料(一人当たりの量)を半分に減らす。また、生産者からお店への流れのなかで、食料が捨てられたり、失われたりすることを減らす」
出典:ユニセフ

フードロスの削減でSDGsへ貢献したい場合は、自販機でこれを進められる可能性もあります。例えば北陸コカ・コーラボトリングでは、2021年1月よりフードロスの削減に貢献する自動販売機を提供開始。これは、賞味期限切れが近いジュースなどを割引価格で販売するものです。2021年時点で設置場所は、役所が中心となっています。

2021年1月29日付の日本経済新聞では、「希望する自治体や企業に置き、フードロスの削減につなげる」と報じています。

SDGs実践方法6.SDGsに取り組む不動産業者を選ぶ

全社を挙げてSDGsに取り組む不動産会社や管理会社、リフォーム会社などが増えています。こういった業者をパートナーに選ぶことで間接的にSDGsを推進することも一案です。ただ本気度の高いSDGsへの取り組みがある一方、SDGsを推進するメッセージだけが先行して活動をほとんどしていない企業も見受けられます。

またSDGsの目標とかけ離れた活動をしているのに「SDGsに取り組む企業」とPRする企業も少なくありません。SDGsに取り組む不動産業者を選ぶのであれば「具体的にどのような取り組みをしているのか」について詳しいヒアリングが必須でしょう。

SDGsの実践は、最終的に不動産オーナーのリターンになる

最後に本記事で紹介したSDGsの実践方法を振り返ってみましょう。例えば以下のような内容がありました。

・太陽光発電システムを導入する
・有害物質を抑える
・災害発生時に地域に貢献するなど

これらは、すべて社会貢献になると同時に入居者のベネフィットになる内容です。つまりSDGsに取り組む賃貸住宅は、入居者にとっても魅力的な賃貸住宅といえるでしょう。また最終的には入居者に選ばれやすくなることで安定経営がしやすくなり不動産オーナーにもリターンをもたらします。長期的な視点でSDGsを進めていくことを検討してはいかがでしょうか。

主要な不動産会社のSDGsの取り組みの一例

最後に、主要な不動産会社のSDGsへの取り組みの一例をご紹介します。
※参照・出典:各不動産会社の公式サイト

三井不動産:社会貢献活動が体験できる場を提供

三井不動産グループの商業施設において、ご家族や仲間で楽しみながら活動や社会貢献活動を体験できる「場ときっかけ」を提供しています(プロジェクト名「& EARTH」)。

三菱地所グループ:再生可能電力比率などの目標値を設定

2025年度までにグループ全体で再生可能電力比率100%達成を目指しています(2022年2月改定後目標)。また、2030年を目標に「廃棄物再利用率90%」「廃棄物排出量20%削減(2019年比)」を目指しています。

住友グループ: 再開発を通じて災害に強い街づくり

火災時の延焼リスクや、川の氾濫による水害リスクが高かったエリアを再開発。再開発事業を通じて、災害に強く地域に活力を生む街づくりを進めています(再開発例:東京都文京区「後楽二丁目東地区」と「後楽二丁目西地区」)。

東急不動産ホールディングス:その街の多様性を生かした開発

その街がもともと持っている多様性を活かしつつ、ハードとソフトを融合させながら街づくりを進めています。具体例としては、渋谷駅を中心としたエリアの価値を長期的・持続的に高めるための「広域渋谷圏構想」が挙げられます。

オープンハウスグループ: 属性にとらわれない組織づくり

ダイバーシティ委員会を設置して、 従業員との対話を実施。性別や年齢、国籍などにとらわれない、多様性を活かした組織づくり・働きやすい職場環境づくりに努めています。

東日本都市開発:保育園建築でジェンダー平等に貢献

優れた保育・教育が可能な建築物の創造で、ジェンダー平等の実現などを進めています。また、SDGsの17の目標のうち6項目で、一般社団法人日本SDGs協会が発行する「SDGs事業認定」を取得しています。

ウスイホーム:環境負荷の少ない住宅の普及

神奈川県「中小企業伴走型支援制度」を活用し、SDGs事業計画を策定。2021年7月に「ウスイグループSDGs宣言」を実施しています。活動では、「長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」の普及を進めています。

オハナ不動産:住宅ローン返済困難者を支援

不安定な経済や雇用などによって、住宅ローン返済困難になった人を任意売却により救済。経済的困窮からの脱却を支援しています。

SDGsについてよくある質問

Q.SDGsとは?

A.Sustainable Development Goalsの略で「持続可能な開発目標」の意味。17の大きな目標(ゴール)と169の具体的な目標(ターゲット)で構成されています。

Q.不動産オーナーができるSDGsの実践方法は?

A. 太陽光発電システムを導入する、有害物質を抑える、災害発生時に地域に貢献するなどがあります。

Q.SDGsとESG投資はどんな関係なの?

A. ESG投資とは、財務情報に加えて環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素を重視する投資のことです。ESGの要素はSDGsの目標でもあり、SDGsに取り組む企業にESG投資が集まりやすくなりつつあります。

Q.SDGsに関する消費者の認知度はどれくらい?

A. 電通が実施した「SDGsに関する生活調査」(第4回:2021年)によると、全国の10代〜70代の男女(計1,400人)のうち、SDGsという言葉を知っている人の割合は54.2%と半数を超えています。

Q.SDGsウォッシュとは?

A. SDGsをやっているふりをする、あるいは実際よりもやっているように見せかける行為を「SDGsウォッシュ」と呼びます。消費者やステークホルダーをあざむく行為であり、信用失墜につながります。

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