地方発の不動産クラファンの成功事例「わかちあいファンド」を徹底解剖(前編)

わかちあいファンドは、滋賀県の企業が運営し、扱うファンドも滋賀・岡山・京都・軽井沢などの物件というローカルという個性を持った不動産クラウドファンディング。これまで立ち上げたファンドは約40(2023年2月末時点)。そのすべてが短時間で募集金額を達成しています。

なぜ、ここまで投資家に支持されているのか。運営会社の代表者である森田康弘さんと事業担当者の齋藤晃聖さんにお話を伺いました。

【森田康弘さんのプロフィール】
株式会社日本プロパティシステムズ(本社:滋賀県大津市) 代表取締役。中堅不動産会社2社などを経て2000年に独立。当初、不動産会社向けのポータルサイトを立ち上げ、その後、不動産売買を手がけるようになり、分譲地開発販売が主力となる。同社は、2019年不特法免許取得、翌年電子取引認可。。
【わかちあいファンド概要】
運営企業である日本プロパティシステムズの本社がある滋賀県をはじめ、岡山・京都・軽井沢などの物件のファンドを組成。投資対象の物件は、集合住宅や商業ビルの他、最近ではリゾート物件も手がける。
URL:https://wakachi-i.jp/

目次

  1. ローカルであることがプラスに作用している
  2. 投資家へのリターンで特産品を届けることも
  3. 約1,000名の登録者がアクティブに投資している

ローカルであることがプラスに作用している

--わかちあいファンドは、多くのファンドを組成しているにも関わらず、すべてのファンドで募集金額を達成されていますね。募集開始から通常どれくらいで予算達成になりますか。


森田:金額によって違いますが……例えば、募集金額が3,000万円程度だと募集開始から1、2分で予算達成になることもあります。また、5,000〜7,000万円程度だと感覚的には1日くらい。1億円以上だともう少し期間がかかりますね。

--成功している要因をどのように分析されますか。

森田:現状に対して、私たち自身は成功とは思っていません。ファンド数も登録者(投資家)もまだまだ少ない。これを前提にしつつお話すると…「ローカルであること」がプラスに作用していると感じています。大半のファンドが大都市発のものですので、差別化ができていると思っています。



ファンドを組成するための物件取得という意味でも、ローカルだと大都市圏よりも競合他社が少なく予算規模もそこまで大きくない。このあたりも事業のプラスに寄与していると考えます。

--やはり個人投資家の方々は、利回りが気になると思います。わかちあいファンドでは分配金の利回りをどれくらいに設定していますか。

齋藤:あくまでも平均的な利回りになりますが、おおむねインカム型(家賃収入型)で5%前後、キャピタル型(売却収益型)で6〜7%前後と考えています。

--「インカム型」と「キャピタル型」のファンドの違いについて改めて解説していただけますか。

齋藤:インカム型は家賃収入を分配するもので、投資家さんに配当を毎月お支払いします。こちらは、デポジット口座に毎月配当が反映されるので、資産が増えていく実感を得やすい特徴があります。

一方、キャピタル型は、投資家さんへのリターンの原資が不動産の売却代金になるので、 物件を売却したタイミングで出資元金と分配金をお支払いする形になります。キャピタル型の予定運用期間は基本1年の設定ですが、期間中に物件が売れたら償還になるため、実際には償還までの期間が早まることもありますね。

--わかちあいファンドのキャピタル型はプロジェクトの進行に合わせて、Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期といった具合に、フェーズごとに投資していく仕組みが投資家にとってはわかりやすいですね。

齋藤:この辺について説明させていただきますと、キャピタル型では例えばプロジェクトを3分割して、Ⅰ期では土地の取得費用、Ⅱ期目では設計費と建築代金などの費用、Ⅲ期は中間金と最後の支払い分というような流れで資金を集めていくものになります。

投資家へのリターンで特産品を届けることも

--わかちあいファンドの特徴には、特産品でのリターンがありますね。これまでにどんなご特産品でのリターンがありましたか。

齋藤:例えば、滋賀県にある物件のファンドだと、特産品のバームクーヘン、おかき、お酒、鮒ずしなどがありました。鮒ずしは食べたことがない方がいらっしゃるということでラインナップに加えてみましたが……賛否両論でした(笑)。

また、日本酒ではラインナップに入れた銘柄が限定品ということに気づかず、必要な数を集めるのに、地元の酒屋に電話をかけまくったこともあります(笑)。

--不動産クラウドファンディングは事業者と投資家がネットだけでつながるのが普通ですが、リアルなコミュニケーションができるというのはすごくいいですね。

森田:特産品を調達するのは大変ですが、今後は、滋賀県のファンドだけでなく各地のファンドでも特産品のリターンをお届けできたらと思っています。特産品の企画については、社員自体も楽しんでやっておりますので。

--先ほど、わかちあいファンドの強みとして「ローカルであること」を挙げられていましたが、運用する物件のエリア設定についても教えていただけますか。

森田:現状では、滋賀・岡山・京都・軽井沢この辺が中心エリアですね。ただし、これらのエリアはあくまでも現時点のものです。今後は、沖縄なども含めた全国のローカルプロジェクトを展開していきたいと考えています。

具体的には、大都市圏の大阪や京都などの物件に加えて、現在運用している「岡山日生プロジェクト」のような上質なリゾート施設対象にしたファンドを交えながら全国でファンドを組成していきたいですね。

--森田社長のお話を伺っていると、将来のわかちあいファンドは、よい意味でかなり違う雰囲気になっていそうですね。

約1,000名の登録者がアクティブに投資している

--わかちあいファンドの登録者(投資家)について伺います。滋賀県の企業が運営している不動産クラウドファンディングということで地元の登録者も多いのでしょうか。

齋藤:いえ、滋賀県の登録者もいますが、基本的には首都圏の方が多いですね。他には、大阪や愛知など……単純に人口の多いエリアだと、登録者も多くなる傾向です。こういった傾向を見ると、多くの投資家の方々が大都市の不動産だけでなく、地方の不動産にもアンテナを張ってバランスをとられているんだなと感じますね。

--現時点の登録者数はどれくらいですか。

森田:そんなに多くないと思いますよ。現時点で投資家さんの登録者数は1,000名を少し超えたくらいです。

--わかちあいファンドの反響を考えると、もっと登録者数が多いと思っていました。逆にいうと、この約1,000名の投資家が、それだけアクティブに動いているということなんですね。

齋藤:そうですね。親交のある同業者と情報交換をしていると、わかちあいファンドのリピーターは結構多いと感じますね。

リピーターが多い理由としては、実際に投資をしてみて「稼ぐことができた」という実感を得られたことが挙げられるかもしれません。例えば、キャピタル型は前倒しで物件を売却できることも多いです。また、インカム型でも物件をプロジェクト途中で売却する場合は、前倒しになった期間の分配金をお支払いしています。

--投資家の立場でサービス設計をされているんですね。今後、登録者数を増やしていくという観点ではどのようにお考えですか。

森田:「投資したいのに投資できない」という状況は、投資家さんたちのストレスになります。だからこそ、ファンド数に見合った登録者数が大事と考えます。これについては現時点でも投資家さんたちにご迷惑をおかけしている面もあると思いますので、今後、より大勢の投資家さんに投資していただけるよう、募集口数が多い1億円、2億円規模のファンドを組成していきたいですね。

(インタビュー後編に続く)

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