不動産投資は消費税増税の前後どちらのタイミングで行うべき?
(画像=ADragan/Shutterstock.com)
檜垣嘉孝
檜垣嘉孝
不動産賃貸仲介業、マンション管理業を経て、不動産専門ライターとして独立。コンサルティング会社を経営する傍ら自らも不動産投資を行う中で、投資家の目線に立った記事制作を心がけています。

2019年10月に消費税増税が行われます。家賃収入への影響や物件取得時の費用が上がることが予想されますが、「投資物件をどのタイミングで取得すべきか」は多くの不動産投資家が頭を悩ませる問題でしょう。消費税増税が不動産投資にどのような影響を与えるのかを俯瞰しつつ、関連業界の状況も押さえながら、適切な購入時期を見定める必要があるでしょう。

増税によって増加する費用

消費税増税により、不動産投資に関連する様々な費用が増加することが予想されます。家賃収入や土地取得費用は非課税なので「消費増税は不動産投資には影響しない」と考える投資家もいるようですが、それは間違いです。

物件取得費用

土地の取得費用には課税されませんが、物件自体の取得費用には消費税が課税されます。数億円規模の投資物件の購入を検討している場合、税率が2%上がるだけで数百万円もの差が発生します。

修繕費

不動産投資において、投資物件は「買って終わり」ではありません。長期間にわたって投資物件の魅力を保つための努力を継続的に行わなければなりません。

給排水設備や外壁、各種設備など、定期的なメンテナンス・修繕が必要になる箇所がたくさんあるので、これらについての出費も考慮して長期的な収支計画を立てる必要があります。

物件のメンテナンスや修繕にかかる費用は消費税の課税対象なので、物件取得後のランニングコストが増加し、収支にダイレクトに影響します。

管理会社への管理委託費用

管理会社に物件管理を委託している場合、管理委託費用に関しても消費税増税の影響を受けます。増税によるコスト増を機に、管理委託契約内容の見直しやダウングレードによるコスト削減を図るのも一案ですが、それによって物件の品質低下を招いてしまう可能性もあります。よって、この点については慎重に検討する必要があります。

関連業界の状況も注視すべき

消費税増税に伴い、不動産投資に直接的・間接的に関連する諸業界の動向も注視しておく必要があります。不動産投資には、実に多くの業界が関係しているからです。

建築業界

消費増税の直前は、投資物件建築の「駆け込み需要」が発生することは想像に難くありません。同じ品質の投資物件を建築するのに、増税前と後で支払う金額が変わるからです。

駆け込み需要によって、建築業界では人手不足と建築資材不足が予想されます。物件建築需要が増加しても、人員と建築資材は有限だからです。

したがって、消費税増税の直前・直後に建てられる物件は、十分な品質が保たれているかどうかについて、特に注意を払う必要があります。

リフォーム業界

不動産投資においては、中古物件を買い取って内装をリフォームし、入居者にとって魅力的な物件にして貸し出すという流れがあります。リフォーム業界においても消費税増税前は駆け込み需要が発生することが予想され、増税後には施工費が増税分高くなります。

内装リフォームを必要とする物件の購入を検討している場合には注意が必要です。

投資物件の購入はなるべく早めに

上述の状況を考えると、現在投資物件の購入を検討している人は、消費税増税前の極力早いタイミングで購入するほうがメリットが大きいでしょう。また、消費税増税に伴うコスト増も最小限に抑えることができるでしょう。

まとめ

投資物件の購入を検討中の人はもちろん、これから不動産投資を始めたいと考えている人は、できるだけ早く物件を購入するのがベターです。特に増税の直前には、大規模な駆け込み需要が発生することが予想されるので、希望通りのスケジュールで購入できなくなる可能性もあります。こうした事情を含めて、ご自身の不動産投資が円滑に進むよう計画していきましょう。

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