最終更新日:2024/8/19
つみたてNISA(積立NISA)以外でやるべき「プラスαの投資」7選
(画像=hearty/stock.adobe.com)
本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

老後資金づくりのために「つみたてNISAなどをすでに始めている」という人も多いのではないでしょうか。しかしすべてを国や会社まかせにできないため、「つみたてNISAさえしていれば老後が安泰」というわけにはいきません。不安のない老後を迎えるには、つみたてNISA以外の「プラスαの投資」が重要です。本稿では、つみたてNISA以外の次にやるべき投資7選を紹介します。

目次

  1. つみたてNISA以外の「プラスαの投資」7選 注目度が高まる個人向け社債ほか
  2. 上記のうちから複数を選んで分散投資することが鍵!

つみたてNISA以外の「プラスαの投資」7選 注目度が高まる個人向け社債ほか

つみたてNISAでコツコツと資産を増やしてもそれ以外の投資で大きな損失を出してしまったら意味がありません。つみたてNISA以外の投資でも堅実な投資をしていくことが大切です。老後資金づくり向きの主な選択肢は以下の7つのようなものがあります。

※預金と個人向け国債以外の商品は元本割れの可能性があります。ご自身の判断と責任に基づいて慎重に運用をしてください。

つみたてNISA以外の投資1.個人向け社債

個人向け社債は、つみたてNISA以外のプラスαの投資におすすめです。株式や投資信託などと比べるとなじみのない社債ですが、「2022年度の個人向け社債発行額」は過去最高額の2兆2,162円(アイ・エヌ情報センター調べ)となり、個人投資家の注目を集めています。

社債の仕組みは、企業が投資家からお金を借りる代わりに社債を発行し約束された償還日までに利子と元本を返済するというものです。社債には大きく2通りがあり、個人投資家におすすめなのは「公募社債」です。

▽私募債と公募債の違い

私募社債・機関投資家など少数を対象にした社債
・50人未満など募集人数を絞った社債
公募社債・不特定多数の投資家を対象にした社債

一般的な個人向け公募社債は、100万円程度から購入できることが多い傾向です。中には1万円単位で購入できる小口取引もあります。さらに、近年は「デジタル社債」と呼ばれる少額かつ手軽に購入できる社債も認知を広げています。

つみたてNISA以外の投資2.ロボアドバイザー

つみたてNISA以外のプラスαの投資として「運用の手間がかからないこと」を重視する個人投資家には、ロボアドバイザー(ロボアド)がおすすめです。ロボアドバイザーとは、設定された質問に回答するだけで自分にとって最適なポートフォリオ(金融商品の組み合わせ・配分)を提案してくれるサービスのことを指します。

ロボアドバイザーは、各金融機関が類似サービスを提供しているため、「どれを選べばよいのか迷う」という人も多いかもしれません。参考までにロボアドバイザーの主要4社を比較すると、2023年3月末時点で預かり残高が一番多いサービスは「WealthNavi」です。

▽ロボアドバイザー主要4社の預かり残高

ロボアドバイザー名称(運営会社)預かり残高
WealthNavi(ウェルスナビ)約7,775億円
THEO(お金のデザイン)約1,671億円
楽ラップ(楽天証券)約1,153億円
ON COMPASS(マネックAM)約511億円
※QUICK資産運用研究所のデータをもとに筆者作成

また2023年4月時点で過去5年間の運用成績がよいサービスも「WealthNavi」です。

▽ロボアドバイザー主要4社の運用成績(過去5年間/リスク水準低)

ロボアドバイザー名称(運営会社)リターン
WealthNavi(ウェルスナビ)39.2 %
THEO(お金のデザイン)27.4 %
楽ラップ(楽天証券)7.5 %
ON COMPASS(マネックAM)0.9 %
※QUICK資産運用研究所のデータをもとに筆者作成

つみたてNISA以外の投資3.個人向け国債

個人向け国債もつみたてNISA以外のプラスαの投資に向いている選択肢の一つです。元本割れリスクがないため、「この金額だけはしっかりと守りたい」というお金を運用するのに向いています。具体的な国債の選び方としては、格付機関から安定的(AAAやAA+)と評価されている国の国債がよいでしょう。

加えて、数多くの国内金融機関の窓口で「手軽に買い付けられること」を考えると日本国債がおすすめです。1万円から購入できて1年以上経過すればいつでも中途換金ができます。個人向けの国債の種類は、以下の3つです。

▽個人向け国債の3つの選択肢

種類利率(税引前の年率)
変動金利型10年満期0.39 %
固定金利型5年満期0.14 %
固定金利型3年満期0.05 %
参照:財務省「個人向け国債
※利率は2023年8月募集分

上記の3つの個人向け国債のなかから目標とする利回りや運用期間にあわせて自分に合うものを選びましょう。

つみたてNISA以外の投資4.iDeCo(確定拠出年金)

つみたてNISA以外の次にやるべき投資では、iDeCo(確定拠出年金)も見逃せません。iDeCoは、自分で金融機関を選んで毎月掛け金を拠出・運用し、リターンを得る資産運用の仕組みです。iDeCoは、3つのタイミング(拠出時・運用時・受給時)で節税効果があるため、「節税投資の王様」と呼ばれます。NISAとiDeCoの両方を運用することで、老後に十分な資金を用意しやすくなります。

iDeCoは、国民年金の加入区分によって毎月の掛け金の上限額が決まっているのが特徴です。加入する場合は、自分の上限金額を確認したうえで計画を練りましょう。例えば、会社員(第2号被保険者)の場合の上限額は、以下の通りです。

▽会社員のiDeCoの掛け金の上限額

加入する年金制度iDeCoの掛け金の上限額(毎月)
企業型の確定拠出年金(DC)のみ加入2万円
確定給付企業年金(DB)のみ加入1万2,000 円
DCとDBに加入1万2,000円
企業型年金がない2万 3,000 円

つみたてNISA以外の投資5.有利な金利を設定している預金

老後資金づくりで不安を感じる人が増えている影響で「超低金利の預金にお金を預けても意味がない」という論調もあります。しかし「この金額だけはしっかりと守りたい」というお金については、原則元本割れのない預金を活用することも大切です。

とはいえ超低金利の預金を利用してしまうとインフレ局面では、実質的なお金の価値が目減りしてしまいます。これを防ぐため、なるべく有利な金利を設定している金融機関を選ぶのが賢明です。例えば、ネットバンクなどでは、郵貯やメガバンクよりも有利な金利の商品を用意しているところもあります。

つみたてNISA以外の投資6.現物資産

つみたてNISAやiDeCo中心の資産運用になると、選んだ投資商品によっては長期的なインフレ局面で資産が目減りしてしまうインフレリスクがあります。このリスクに備えるには、現物資産による投資をするのがおすすめです。個人投資家に広く利用されている現物資産(実物投資)の種類には、以下のようなものがあります。

  • 金/プラチナ/銀
  • 住居用不動産
  • 投資用不動産
  • 美術品
  • 高級時計
  • 希少価値のある高級車 など

例えば、毎月少額をコツコツと積み立てていきたい人は「金/プラチナ/銀」などによる実物投資が向いています。また一定収入がある会社員で金融機関のローン審査に通りやすい人は「住居用不動産/投資用不動産」による現物資産の保有がおすすめです。

つみたてNISA以外の投資7.不動産クラウドファンディング

つみたてNISA以外の次の投資としてポートフォリオに加えておきたいのが不動産クラウドファンディングです。例えば、ローリスク・ローリターンの投資商品だけでポートフォリオを組むと全体の利回りが2~3%など運用効率が下がってしまいます。しかし不動産クラウドファンディングなど利回りが高いファンド(案件)をポートフォリオに加えておけば、全体の利回りを高める効果が期待できるでしょう。

不動産クラウドファンディングは、インターネットを介して不特定多数の投資家から集めた資金で事業者が不動産を購入し、運用で得たリターン(家賃収入・売却益)を分配金として投資家に還元する仕組みです。不動産クラウドファンディングの特徴は、次の通りです。

  • 少額で投資ができる:1口1万円から投資ができるファンドが中心
  • 手軽に投資ができる:ネットで募集・申し込み・契約が完結できる
  • 安定的な投資がしやすい:現物資産の不動産で運用する

不動産クラウドファンディングの利回りはファンドごとに違いますが、一般的に年率換算で5~10%程度の利回りです。

▽不動産クラウドファンディングの利回り例

期待利回り運用期間最小投資金額
A社/5 ~8 %3 ~6 ヵ月1万円 ~
B社/10 ~27 %2 ~4 ヵ月1万円 ~
C社/6 ~7 %12 ~24 ヵ月1万円 ~
D社/8 %12 ヵ月10万円 ~
E社/10 ~10.5 %6 ~12 ヵ月10万円 ~

不動産クラウドファンディングの事業者は多く存在しますが、その中でも人気が高いのがCOZUCHIです。
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上記のうちから複数を選んで分散投資することが鍵!

本稿では、つみたてNISA以外の次にやるべき「プラスαの投資」にふさわしい7つの商品を紹介しました。「資産運用においてどのようなことを重視するか」で選ぶ商品が変わってきます。その一例は、次の通りです。

  • ローリスク重視→個人向け国債、預金
  • 高利回り重視→社債、不動産クラウドファンディング
  • 節税重視→iDeCo
  • インフレ対策重視→現物資産

もう一つの「プラスαの投資」のポイントは、例えば5~6商品など複数の商品を組み合わせて資産運用をすることです。分散投資をしっかりと行うことで1つの商品で万が一損失が出ても資産全体へのダメージを抑えられます。自分の目的に合った商品を選びつつ、分散投資を心がけて老後の資金づくりを成功させましょう。

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