百万円単位のプレゼントをもらった人が最初に読む贈与税に関する記事
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佐古野 道人
佐古野 道人
一般企業で不動産運用や税務を経験後、ファイナンシャル・プランナーとして独立。マネー専門ライターとしてWEBライティングの他、書籍の企画・構成にも携わる。得意分野は資産運用。日本FP協会資格認定会員(AFP)。

こんな状況を思い浮かべてください。ある日、あなたは高齢の両親に呼び出されました。いわく、先祖代々の土地を整理したら、まとまったお金が手に入ったとのこと。その中から現金100万円と、売れ残った土地をくれるといいます。子供の大学費用などの捻出に苦労していたあなたにとって、願ってもないプレゼントです。しかしある考えがふと頭をよぎります。「給与収入、銀行預金の利子、株式投資の利益、どれも所得税が源泉徴収されている。親からもらったこのお金には、税金がかからないんだろうか?」 --かかる場合もありますが、かからない場合もあります。

1年間の合計が110万円以上なら確定申告が必要

基本的に、あらゆる収入には税金がかかると思ってください。給与収入は、働いた報酬として受け取ることができます。利子は銀行にお金を貸すことへのお礼として、株式投資の利益はリスクへの見返りとして手に入ります。このように「何かをした代わりに受け取る」お金には、所得税がかかります。

しかし冒頭のように、特に何をしたわけでもないのに無償でもらうプレゼントは贈与と呼ばれ、贈与税がかかかります。

贈与税は、所得税法とは別の相続税法に規定されており、計算方法や税率、納付の方法などが異なります。給料や預金と違い、源泉徴収の制度はありません。年末調整でも対応不可です。納付義務がある人は、翌年の3月15日までに確定申告をする必要があります。

贈与税を払うのは、贈与したほうではなく、されたほうです。1月1日から12月31日までの1年間にいろいろな人から複数回もらっていたら、すべて合計します。

この合計額からは、基礎控除と呼ばれる110万円を差し引くことができます。つまり1年間で贈与を受けた額が110万円以下なら贈与税はかからず、確定申告をする必要もありません。

土地の評価は難しい

贈与税を納めるべきかどうか、納めるとしたらいくら払うのか。もらう方法が現金や銀行振込などであれば簡単です。受け取った額面で計算すればよいだけです。しかし土地や建物など不動産の場合は、いくらくらいのものをもらったのか、すぐにはわかりません。

この「金額にするといくらなのか」を決めることを「評価」といいます。

贈与税の計算においては、土地は相続税路線価、建物は固定資産税評価額で評価します。路線価は国税庁のホームページに載っています。固定資産税評価額は所有者の元に固定資産税の納付書と一緒に、毎年送られてきているはずです。これらはおおよそ実勢価格の7割~8割に設定されています。

不動産の評価、特に路線価の算出は、場合によっては複雑な計算が伴います。税理士などのプロに相談したほうが確実です。

110万円を超えても贈与税がかからないパターン

冒頭のようなケースでは、受け取る土地の評価が10万円を超えるようであれば、贈与税を納めなければなりません。現金100万円との合計が基礎控除の110万円を超えるからです。

しかし、場合によっては、1,000万円以上の贈与が非課税となることもあります。

このような特例にはいくつかのパターンがあります。その中の1つ、「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」は、親や祖父母が子や孫に教育資金として贈与した場合、1,500万円までが非課税となります。2021年3月31日までの一時的な措置です。

この特例を受けるためには、金融機関に専用の口座を作る必要があります。学費や塾代などにお金を使ったら、その領収書を金融機関に提出しなければなりません。こうして、純粋に教育費として使った分のみが非課税扱いになります。

他にも「結婚・子育て資金の一括贈与」、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与」など、さまざまな特例があります。

迷ったらプロに相談を

贈与税は1月1日から12月31日までの間に、合計110万円以上のプレゼントをもらったときに発生します。ごく基本的なことについて述べましたが、他にも相続時精算課税や負担付贈与、名義預金、その他の非課税の特例など、さまざまなパターンがあります。相続や贈与の問題はなるべく税理士などのプロに相談しましょう。

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