
一棟マンションの経営に興味がある人は多いようです。しかし、マンション経営をはじめる前の心配事として、費用面が第一に挙げられます。
確かに、建築費用やランニングコストをしっかり把握しておかなければ、一棟マンションの経営で成功するのは難しいでしょう。
この記事では一棟マンションに必要な初期費用やランニングコストを分かりやすく紹介します。これから検討したいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
一棟マンションの経営に必要な初期費用
一棟マンションの経営に必要な初期費用は、建築費用と諸費用の2つがあり、これらの相場を知っておくことで、実際に提示される見積の内容について的確に理解できます。
ここでは、一棟マンションを建築するために必要な初期費用について紹介します。
建築費用
マンションの建築費用は、マンション本体の建築にかかる「本体工事費用」と付随して生じる「付帯工事費用」に分けられます。
ただし、業者によっては、本体工事費用と付帯工事費用を区分しない場合もあるため、見積で比較するときには、見積の内容を理解することが重要です。
本体工事費用
本体工事費用は、マンションの構造や地域によっても異なりますが、国土交通省の「建築着工統計調査 住宅着工統計 (2022年2月度)」から、全国と東京都の㎡あたりの平均建築単価はそれぞれ以下のとおりです。
全国の㎡あたりの平均建築単価
- 鉄筋コンクリート造:27万円
- 鉄骨鉄筋コンクリート造:37万円
東京都の㎡あたりの平均建築単価
- 鉄筋コンクリート造:33万円
- 鉄骨鉄筋コンクリート造:39万円
坪単価に換算すると下記のとおりです。なお、1坪は約3.3057㎡です。
全国の坪あたりの平均建築単価
- 鉄筋コンクリート造:27万円×3.3=89万1,000円
- 鉄骨鉄筋コンクリート造:37万円×3.3=122万1,000円
東京都の坪あたりの平均建築単価
- 鉄筋コンクリート造:33万円×3.3=108万9,000円
- 鉄骨鉄筋コンクリート造:39万円×3.3=128万7,000円
しかし、統計調査のデータは工事費予定額であり、実際の建築費は予定額よりも上がることが多いです。
付帯工事費用
マンションの建築時には、本体工事のほかにも水道やガスを設置する費用であったり、敷地を整地する費用であったりと、さまざまな付帯工事費用が必要です。
この付帯工事費用は、敷地の状況やプランによって金額が大きく異なりますが、本体工事費用の約20%です。
諸費用
一棟マンションの経営には、下記のような諸費用が必要です。これら諸費用は、マンションの規模や依頼する業者などによって差異がありますが、一般的には本体工事費用の約5%かかると言われています。
ローン関係 | ローンを組む際の事務手数料、保証料、団体信用生命保険料など |
---|---|
登録免許税 | マンション完成後に、法務局へ登記申請する際、所有権保存登記・抵当権設定登記にかかる税金 |
司法書士・ 土地家屋士報酬 | 法務局への登記申請を依頼する時にかかる手数料 |
印紙税 | 契約書や領収書などの文書を作成した場合に、課税される税金 |
不動産取得税 | マンションの建築(不動産取得)によりかかる税金 |
火災保険・地震保険 | 火災保険や地震保険に入る際にかかる費用 |
仲介手数料 | 土地購入時など、不動産会社を介して購入した場合にかかる費用 |
実際に建てられたデザイナーズコンパクトマンションの概算費用
ここでは、実際に建てられたデザイナーズコンパクトマンションを例に必要な初期概算費用を紹介します。マンションの条件は下記のとおりです
- 東京都23区(所在地)
- 鉄筋コンクリート造
- 地下1階地上5階
- 延べ床面積約300㎡(約90坪)
本体工事費用:約1億3,800万円
付帯工事費用:約2,750万円(本体工事費用の約20%)
諸費用:約750万円(本体工事費用の約5%)
初期概算費用:1億7,300万円
【1億3,800万円(本体工事費用)+2,750万円(付帯工事費用)+750万円(諸費用)】
こちらの初期概算費用は東京都の平均より少し高いですが、デザイナーズマンションは他の一般マンションとの差別化により、平均よりも高い賃料収入を得られることが多いため、そういった要素も含めて総合的に検討することが大切です。

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一棟マンションの経営で発生するランニングコスト
一棟マンションの経営には、年間を通して、さまざまなランニングコストがかかります。
ローン返済
マンション経営にあたり、ローンを利用した場合は、毎月のローン返済が必要です。このローン返済は元本分と利息分に分けられますが、利息分のみが確定申告で経費計上が可能です。
ローン返済は、ランニングコストの中でも大きなウエイトを占めるため、収支シミュレーションするなどして、無理のない返済額を設定することが大切です。
税金
固定資産税および都市計画税を納める必要があります。
毎年1月1日時点で所有している不動産に対して課税され、マンションが所在する市町村から納付書が送付されます。
税額は原則下記のとおりです。
- 固定資産税:固定資産評価額×1.4%
- 都市計画税:固定資産評価額×0.3%
また、マンション経営の家賃収入から固定資産税や諸経費を差し引いた利益には所得税が課せられ、住民票の住所地を管轄する税務署へ確定申告する必要があります。
同じく住民税については、住所地の市町村役場へ申告書を提出しますが、確定申告することで住民税の申告書を提出したものとみなされるため、住民税の申告を省略できます。
委託管理費
委託管理費は、一棟マンションの管理を管理会社に委託する場合に支払う経費です。
支払う費用は、管理会社や委託する内容によって異なりますが、一般的には家賃の5%程度が相場です。
修繕費
一棟マンションの経営では、室内の原状回復以外に屋根や外壁といった外装についても定期的な修繕費が必要です。
また、給湯器やエアコンなどの設備が経年劣化により故障したときの費用は、経営者負担となるため修繕費が発生します。
共有部の共益費
一棟マンションの玄関や廊下、階段、エレベーターといった共有部の光熱費は、通常はマンションの経営者負担です。
入居者から共益費を集金する契約の場合は、集金額を共益費に充てられますが、不足分についてはマンションの経営者が負担します。
マンション経営の費用を抑えるためにできること

マンション経営の収益を上げるためには、どのような対策をすべきなのでしょうか。
ここでは、マンション経営の費用を抑えるためにできることについて紹介します。
建築費用を見直す
建築費用を見直すことは、一番わかりやすい費用の抑え方です。
上述した、鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造の全国の㎡あたりの平均建築単価は10万円もの差がありました。
鉄骨鉄筋コンクリート造を検討する場合は、本当に必要かどうか見直してもよいでしょう。
また、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造を得意とする業者であれば、比較的リーズナブルな単価で提供してくれることもあります。業者によっても建築費用は大きく左右されます。
ランニングコストの圧縮
ランニングコストの圧縮は、すぐ目に見える効果ではありませんが、長い目で見れば大きなコスト削減が可能です。
特に年間を通して発生する共有部の光熱費や税金については、対策を講じる必要があります。
ほかにも、設備のメンテナンス費用を抑えることで大きなコスト削減につながります。
単身者向けの低層マンションであればエレベーターを除くことも有効な手段です。
エレベーターのメンテナンス費用は依頼先や内容によって異なりますが、年間で約50万円が必要といわれています。
満室をキープする
安定したマンション経営のためには、満室をキープすることが不可欠で、そのためには、入居希望率を上げる取り組みが重要です。
入居者のニーズに応える機能やデザイン性にこだわることは、入居率や賃料を上げるために必要です。また長期経過後も、他の物件とは違う付加価値が空室リスクを防いでくれます。
信頼できるパートナーを見つける
マンション経営を成功させるために大切なことは、信頼できるパートナーを見つけることです。
入居者の確保から経営についてのサポートまで、安心して任せられるかどうかは、パートナーの力量によるところが大きいです。
信頼できるパートナーを見つけるためには、マンション経営について確かな実績がある不動産会社に相談することをおすすめします。信頼できるパートナーは、マンション経営するうえで欠かせない存在です。
土地活用に関するお困りごとがあれば、YANUSY編集部の下記お問合せフォームにご相談下さい。
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