不動産投資で本当の成功をつかむための「出口戦略」のポイント
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本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

不動産投資を成功に導くには、投資前にしっかりと出口戦略を描いていくことが大切です。出口戦略のプランニングをせずに購入・運用・売却をしてしまうと「儲かっていると思っていたのに最終的に損をした」といった結果になりかねません。ここでは、不動産投資の初心者向けに出口戦略とは何か、成功ポイントや失敗パターンについて解説します。

目次

  1. 不動産投資における出口戦略とは?
    1. 出口戦略の選択その1:売却
    2. 出口戦略の選択その2:更地処分
    3. 出口戦略の選択その3:物件の建て替え
  2. 不動産投資の本当の成功は、出口戦略でしかわからない
  3. 不動産投資の出口戦略で成功するためのポイント
    1. 出口戦略の成功ポイント1:売却条件を決めておく
    2. 出口戦略の成功ポイント2:物件を安く仕入れる
    3. 出口戦略の成功ポイント3:稼働率を高める
    4. 出口戦略の成功ポイント4:残りの法定耐用年数を意識する
    5. 出口戦略の成功ポイント5:市場が好況のときに売り抜ける
    6. 出口戦略の成功ポイント6:所有期間5年以下では売らない
  4. 出口戦略のよくある失敗パターン例
    1. 出口戦略の失敗パターンその1:物件を高値づかみにしてしまった
    2. 出口戦略の失敗パターンその2:低利回りのため買いたたかれた
    3. 出口戦略の失敗パターンその3:経済的ショックのときに売却した
  5. ベストな出口戦略は状況によって変わり続ける
  6. 不動産投資の出口戦略に関するよくある質問
    1. Q.不動産投資で成功した具体的な状態とは?
    2. Q. 不動産投資の出口戦略で成功するポイントとは?
    3. Q. 出口戦略でよくある失敗のパターンとは?

不動産投資における出口戦略とは?

不動産投資の世界における出口戦略とは、所有していた物件を売却・処分して利益(損失)確定させることです。 なかには「出口戦略=イコール売却」と解説されることもありますが「更地処分」「物件の建て替え」といった選択肢もあります。

出口戦略の選択その1:売却

所有している土地と建物を売却して現金化する出口戦略です。ただし売却すれば必ず利益が出るわけではありません。運用中の赤字や売却差損によっては、収支がマイナスになることもあります。

出口戦略の選択その2:更地処分

所有している建物を解体して土地を売却する出口戦略です。特に地価が高騰しているエリアでは、売却差益を得られる可能性があります。運用中に得られたキャッシュフローや土地の売却差益、解体費などの収支を総合的に判断して選択するのがよいでしょう。

出口戦略の選択その3:物件の建て替え

所有している建物を解体した後、同じ土地に新たな建物を造って賃料を得る出口戦略です。オフィスや賃貸住宅の需要が強いエリアであれば長期的な収益を得られる可能性があります。解体費以外に立ち退き料が発生するケースもあるため、注意しましょう。

本稿では、最も一般的な「売却による出口戦略」を中心に解説していきます。

不動産投資の本当の成功は、出口戦略でしかわからない

「安定的に賃料を得られれば不動産投資はうまくいく」と考えている人もいるかもしれません。しかし実際は、以下のような状態になって初めて不動産投資で本当に成功したといえます。

(初期費用+ローン残債)<(キャッシュフロー+売却差益)
※厳密には、節税額も含まれます。

つまり「初期費用とローン残債の合計」よりも「(家賃収入を源泉とした)キャッシュフローと売却差益の合計」が上回れば「不動産投資は成功した」といえるのです。キャッシュフローがいくら積み上がってもそれは含み益でしかありません。売却差損でコツコツと増えていった含み益がなくなってしまえば結局損をしたことになります。

だからこそ不動産投資では、購入時・運用中・売却前に出口戦略を意識し続ける必要があるのです。具体的に以下の内容をチェックしながら最終的な利益確定を目指しましょう。

  • 購入時:売却時に有利な価格で物件を仕入れられているか
  • 運用中:キャッシュフローが安定的に積み上がっているか(あるいは、ローン残債が順調に減っているか)
  • 売却前:売却によって最終利益はどれくらいになりそうか

理想と現実のズレが把握しやすくなることから思ったようにリターンが上がらないときでも損切りを早めにしやすくなります。

不動産投資の出口戦略で成功するためのポイント

不動産投資の出口戦略で成功するには、以下の6つのポイントを押さえることが大切です。

出口戦略の成功ポイント1:売却条件を決めておく

「購入からこれくらいの年数が経ったら売却する」「売却見込額がこれくらいになったら処分する」など売却条件をあらかじめ決めることで利益を最大化しやすくなります。ただし条件設定には、専門的な知見が必要なため、不動産会社のコンサルタントや税理士などのアドバイスを参考にしながら決めるのがよいでしょう。

出口戦略の成功ポイント2:物件を安く仕入れる

安く物件を仕入れることができれば売却差益を得られるチャンスが広がります。同じ物件を同じ期間所有しても仕入れ価格が異なれば「売却差益が出た」「売却差損が出た」と180度違う結果が出る可能性もあります。

出口戦略の成功ポイント3:稼働率を高める

物件の稼働率を高めることは、安定経営だけでなく出口戦略においてもプラスとなります。なぜなら稼働率の高い物件は、高利回りとなりやすく買い手を見つけやすいからです。

出口戦略の成功ポイント4:残りの法定耐用年数を意識する

建物は、構造(木造22年、鉄筋コンクリート造47年など)によって法定耐用年数が決まっています。 多くの金融機関は、不動産投資ローンの融資期間を「残りの法定耐用年数以内」を目安に設定している傾向です。そのため法定耐用年数がある程度残っているタイミングで売却したほうが買い手を見つけやすいでしょう。

出口戦略の成功ポイント5:市場が好況のときに売り抜ける

物件を高値で売却したいのであれば不動産市場が好況のタイミングのほうが有利です。例えば金融機関が不動産投資の融資に積極的な時期は、買い手も増えるため、相場が高騰しやすいといわれています。

出口戦略の成功ポイント6:所有期間5年以下では売らない

不動産投資の出口戦略では、売却差益に課せられる譲渡所得税を抑えることも重要です。譲渡所得税は、物件の所有期間が「5年超」と「5年以下」で税率が19.315%も異なるため、注意しておきましょう。

短期譲渡所得長期譲渡所得
保有期間5年以下保有期間5年超
所得税:30.63%
住民税:9%
合 計:39.63%
所得税:15.315%
住民税:5%
合 計:20.315%

※所得税には復興特別所得税を含む

なお「所有期間」とは、譲渡(売却)した年の1月1日時点の所有期間となるため、注意が必要です。例えば2021年12月時点で所有期間5年になる場合は、2022年1月で所有期間5年と見なされます。

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出口戦略のよくある失敗パターン例

不動産投資の出口戦略で成功するためのポイントについて理解できたのではないでしょうか。ここからは、その内容に基づき出口戦略のよくある失敗パターンを3つ紹介します。

出口戦略の失敗パターンその1:物件を高値づかみにしてしまった

物件の高値づかみは、絶対に避けたい出口戦略の失敗パターンです。相場よりも割高な価格で物件を購入してしまうと売却差益が圧縮されたり売却差損が膨らんだりする原因となりかねません。相場と比較したうえで物件を購入することが大切です。

出口戦略の失敗パターンその2:低利回りのため買いたたかれた

物件を所有している間に「稼働率が低下する」「家賃が著しく下落する」といったことが起こると購入したときよりも低利回りになる可能性があります。低利回りになると売却交渉が不利になり買いたたかれるケースも少なくありません。高稼働になるように経営努力を心がけましょう。

出口戦略の失敗パターンその3:経済的ショックのときに売却した

リーマンショックやコロナショックなど経済的ショック時に「不動産市場も大きな影響を受けるのではないか」と不安になって狼狽(ろうばい)売りをすることは避けましょう。一般的に不動産は、株式のように短期間で大暴落する可能性は低いです。経済的ショックが起こっても状況を見極めながら売却すべきか否かを冷静に判断してください。

ベストな出口戦略は状況によって変わり続ける

不動産投資を成功に導くには、出口戦略を描くことが欠かせないことが理解できたのではないでしょうか。本稿の内容をおさらいしてみましょう。不動産投資における出口戦略とは、所有物件を売却して利益(損失)確定させることでした。また不動産投資の成功とは「初期費用とローン残債の合計」よりも「キャッシュフローと売却差益の合計」が上回ることです。

つまり売却してみなければ「その不動産投資が本当に成功したか」は分かりません。だからこそ購入時・運用中・売却前に出口戦略を描くことが重要なのです。また出口戦略の成功ポイントは、以下の6つでした。

  1. 売却条件を決めておく
  2. 物件を安く仕入れる
  3. 稼働率を高める
  4. 残りの法定耐用年数を意識する
  5. 市場が好況のときに売り抜ける
  6. 所有期間5年以下では売らない

最後に補足ですが不動産投資のベストな出口戦略は、状況によって変わり続けます。そのため一定期間ごとに「キャッシュフローが予定通り積みあがっているか」「不動産市場がどうなっているか」などをチェックし続けることが重要です。

不動産投資の出口戦略に関するよくある質問

Q.不動産投資で成功した具体的な状態とは?

「初期費用とローン残債の合計」よりも「(家賃収入を源泉とした)キャッシュフローと売却差益の合計」が上回れば「不動産投資は成功した」といえます。

Q. 不動産投資の出口戦略で成功するポイントとは?

売却条件を決めておくことや物件を安く仕入れること、稼働率を高めることなど、主に6つのポイントが大切です。

Q. 出口戦略でよくある失敗のパターンとは?

物件を高値づかみにしてしまったことや、低利回りのため買いたたかれたなどがあげられます。