不動産投資で本当の成功をつかむための「出口戦略」のポイント
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本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

目次

  1. 不動産投資における出口戦略とは?
    1. 出口戦略の選択その1:売却
    2. 出口戦略の選択その2:更地処分
    3. 出口戦略の選択その3:物件の建て替え
  2. 物件の種類によって、出口戦略の選択肢が変わる
  3. 不動産投資の本当の成功は、出口戦略でしかわからない
  4. 収益物件の売却価格は、どのような算出方法で決まる?
    1. 収益物件の売却価格を割り出す方法
    2. 資産性に基づいて売却価格を決めることもある
  5. 出口戦略の売却タイミングを見極める4つの指標
    1. 長期譲渡所得になるタイミングで売却
    2. 減価償却期間の終了のタイミングで売却
    3. デッドクロスのタイミングで売却
    4. 空室リスクが高まったタイミングで売却
  6. 3つの売却方法とメリット・デメリット
    1. 仲介会社への売却依頼
    2. 買取業者への売却依頼
    3. 個人間取引の売買
  7. 不動産投資の出口戦略で成功するためのポイント
    1. 出口戦略の成功ポイント1:売却条件を決めておく
    2. 出口戦略の成功ポイント2:物件を安く仕入れる
    3. 出口戦略の成功ポイント3:稼働率を高める
    4. 出口戦略の成功ポイント4:残りの法定耐用年数を意識する
    5. 出口戦略の成功ポイント5:市場が好況のときに売り抜ける
    6. 出口戦略の成功ポイント6:所有期間5年以下では売らない
  8. 不動産投資の主な物件の出口戦略、成功例
    1. 区分マンションの出口戦略、成功例
    2. 一棟アパートの出口戦略、成功例
    3. 一棟マンションの出口戦略、成功例
  9. 出口戦略のよくある失敗パターン例
    1. 出口戦略の失敗パターンその1:物件を高値掴みしてしまった
    2. 出口戦略の失敗パターンその2:低利回りのため買いたたかれた
    3. 出口戦略の失敗パターンその3:経済的ショックのときに売却した
  10. 売却価格が高くなる物件の特徴とは?
    1. 収益性の高い物件の特徴:利便性、大規模開発、人気の街など
    2. 資産価値の高い物件の特徴:都心の超一等地、ブランドエリアなど
  11. 出口戦略を意識すると、高利回り物件が良いとは限らない
  12. ベストな出口戦略は状況によって変わり続ける
  13. 不動産投資の出口戦略に関するよくある質問
    1. Q.不動産投資で成功した具体的な状態とは?
    2. Q.不動産投資の出口戦略で成功するポイントとは?
    3. Q.出口戦略でよくある失敗のパターンとは?
    4. Q.仲介会社に依頼する以外の売却方法は?
    5. Q.売却価格が高くなる物件とは?

不動産投資における出口戦略とは?

不動産投資の世界における出口戦略とは、所有していた物件を売却・処分して利益(損失)確定させることです。 なかには「出口戦略=イコール売却」と解説されることもありますが、「更地処分」「物件の建て替え」といった選択肢もあります。

不動産投資で本当の成功をつかむための「出口戦略」のポイント

出口戦略の選択その1:売却

所有している土地と建物を売却して現金化する出口戦略です。ただし売却すれば必ず利益が出るわけではありません。運用中の赤字や売却損によっては、収支がマイナスになることもあります。

出口戦略の選択その2:更地処分

所有している建物を解体して土地を売却する出口戦略です。特に地価が高騰しているエリアでは、売却益を得られる可能性があります。運用中に得られたキャッシュフローや土地の売却益、解体費などの収支を総合的に判断して選択するのがよいでしょう。

出口戦略の選択その3:物件の建て替え

所有している建物を解体した後、同じ土地に新たな建物を造って賃料を得る出口戦略です。オフィスや賃貸住宅の需要が強いエリアであれば長期的な収益を得られる可能性があります。解体費以外に立ち退き料が発生するケースもあるため、注意しましょう。

物件の種類によって、出口戦略の選択肢が変わる

前項でご紹介した出口戦略のうち、実際に「どれを選択できるか」は物件の種類によって変わります。その内容をまとめると、以下の表のようになります。

物件の種類選択できる出口戦略
一棟物件
(アパート、マンション)
そのまま売却
リフォームをして売却
更地にして売却
区分マンションそのまま売却
リフォームをして売却
戸建て住宅そのまま売却
リフォームをして売却
更地にして売却

物件の種類による出口戦略の大きな違いは、「一棟物件」と「戸建て住宅」は更地にして売却できるのに対し、区分マンションはそれができないことです(厳密には住人で規定の合意が取れれば可能)。この「更地にできること」を重視する不動産投資家がいる一方で、更地にすると建物の解体費がかかるため「あまりメリットを感じない」という不動産オーナーもいます。

また、上記のような「売却をする」という出口戦略の他に、「区分マンション」や「戸建て住宅」はご自身やご家族が住むという選択肢もあります。この場合は現金や売却益は得られませんが、物件を活用することで家賃を支払う必要がなくなる、あるいは住居用の住宅を購入する必要がなくなるというメリットがあります

このように広義の出口戦略には「売却」と「自己活用」がありますが、この記事では「売却による出口戦略」を中心に解説します。

不動産投資の本当の成功は、出口戦略でしかわからない

「安定的に賃料を得られれば不動産投資はうまくいく」と考えている人もいるかもしれません。しかし実際は、以下のような状態になって初めて不動産投資で本当に成功したといえます。

(初期費用+ローン残債)<(キャッシュフロー+売却益)
※厳密には、節税額も含まれます。

つまり「初期費用とローン残債の合計」よりも「(家賃収入を源泉とした)キャッシュフローと売却益の合計」が上回れば「不動産投資は成功した」といえるのです。キャッシュフローがいくら積み上がってもそれは含み益でしかありません。売却損でコツコツと増えていった含み益がなくなってしまえば結局損をしたことになります。

だからこそ不動産投資では、購入時・運用中・売却前に出口戦略を意識し続ける必要があるのです。具体的に以下の内容をチェックしながら最終的な利益確定を目指しましょう。

  • 購入時:売却時に有利な価格で物件を仕入れられているか
  • 運用中:キャッシュフローが安定的に積み上がっているか(あるいは、ローン残債が順調に減っているか)
  • 売却前:売却によって最終利益はどれくらいになりそうか

理想と現実のズレが把握しやすくなることから思ったようにリターンが上がらないときでも損切りを早めにしやすくなります。

収益物件の売却価格は、どのような算出方法で決まる?

不動産投資の出口戦略において、「物件の売却価格がどのような過程で決まるか」が気になる人も多いでしょう。不動産の売却価格の算出方法には、以下の3つがあります。

  1. 取引事例に基づいて算出(=類似事例がいくらか)
  2. 収益性に基づいて算出(=稼ぐ力がどれくらいあるか)
  3. 積算価格に基づいて算出(=資産価値がどれくらいあるか)

このうち、収益物件の価格を割り出すときに使われることが多いのが「2.収益性に基づいて算出する方法」です。なお、「1.取引事例に基づいて算出する方法」は住居用の中古不動産、「3.積算価格に基づいて算出する方法」は、金融機関の不動産評価などで多く使われます。
※ただし、金融機関でも収益物件の収益性に注目するケースが増えています。

収益物件の売却価格を割り出す方法

では、収益物件の出口戦略で使われる「収益性に基づいて算出する方法」について詳しく見ていきましょう。この方法では、収益還元法(直接還元法とDCF法)が紹介されることも多いのですが、わかりやすい別の方法もあります。ここでは「年間家賃収入」と「期待利回り」で算出する方法を見ていきましょう。計算式は、以下のとおりです。

物件価格=年間家賃収入÷期待利回り

不動産投資で本当の成功をつかむための「出口戦略」のポイント

例えば、年間家賃収入が500万円で期待利回りが8%なら、売却価格が6,250万円(=500万円÷0.08)という出口戦略になります。この計算式の中の「年間家賃収入」と「期待利回り」の基本的な考え方は以下のとおりです。

・年間家賃収入

年間家賃収入は「毎月の家賃×12ヵ月」で算出できます。ただし、家賃の中身をどう設定するかはケースバイケースです。大きく分けて以下の3つの設定方法が考えられます。

  • 満室時の想定家賃で計算する
  • 現実に近い家賃で計算する
  • 一定の稼働率(例:90%など)を掛けて計算する

上記のどれを選択するかについて、決まりはありません。ただし、実際は空室率が高い物件なのに満室時の想定家賃を選ぶと、現実とかけ離れてしまいます。トラブルの元になりかねないため、注意しましょう。

・期待利回り

期待利回りは、以下の計算式で求められます。

期待利回り=期待される年間家賃年収÷物件価格×100

実際の家賃収入や経費に基づいて割り出した指標に「実質利回り」があります。実質利回りと期待利回りは根拠が異なるため、数値も異なります。とはいえ、両者の差が極端に開くような値付けをすると、トラブルの元になるので注意しましょう。

期待利回りに影響を与える要素には、立地や築年数、空室率などがあります。例えば、立地が悪く築古で空室率が高い物件の期待利回りが高く設定されていても、大半の買い手は信用しないでしょう。期待利回りを盛りすぎると逆に信頼されなくなるため、ある程度納得してもらえる数値を設定することも大切です。

資産性に基づいて売却価格を決めることもある

収益性だけでなく、土地価格などの資産性を考慮して収益物件の売却価格を決めるケースもあります。稼働率が極端に低い物件では、収益性の評価だけで売却価格を決めてしまうと、資産価値よりも割安な値付けになってしまう可能性があるからです。

例えば、以下のような条件の物件があるとします。

資産性(土地価格+建物価格)による評価価値:1億円
収益性による評価価値:約4,000万円
(収益性の計算式:年間家賃収入500万円÷期待利回り8%)

不動産投資で本当の成功をつかむための「出口戦略」のポイント

上記の物件の価格を収益性だけで決めると、1億円の資産価値がある物件を4,000万円で売却することになります。このようなケースでは、例えば資産価格の9掛け、8掛けなどで売却価格を決めることがあります。

出口戦略の売却タイミングを見極める4つの指標

出口戦略の実行ともいえる売却は、不動産投資の判断の中でも難易度が高いです。以下の4つを意識しながら、売却タイミングを慎重に判断しましょう。

長期譲渡所得になるタイミングで売却

賃貸物件などの不動産を売却する際に譲渡所得(売却益)が発生すると、これに所得税・住民税が課されます。「譲渡所得の税率」は、物件の所有期間によって大きく変わります。そのため、まとまった売却益が発生する場合は、税率が低くなるタイミングで売却を検討するのも一案です。

具体的には、不動産の所有期間が5年超の場合は「長期譲渡所得(所得税・住民税の合計約20%)」、5年以下の場合は「短期譲渡所得(所得税・住民税の合計約39%)」になります。この知識は、出口戦略において重要なので覚えておきましょう。
※復興特別所得税を含まない税率。詳しくは本稿の「出口戦略の成功ポイント6」参照

注意しなければならないのは、譲渡所得の計算における物件の所有期間が「不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるか、5年以下か」で判断されることです。わかりやすくいえば、その不動産を購入してから6年以上経っていれば、必ず長期譲渡所得になります。

減価償却期間の終了のタイミングで売却

キャッシュフローを重視する不動産投資家であれば、「減価償却期間が終わるタイミング」で物件を売却する手もあります。

減価償却期間が終われば、それまで経費として計上できていた「減価償却費」を計上できなくなります。つまり、これまでとほぼ変わらない家賃収入と経費であれば、減価償却費が計上できなくなった分、納める税金の負担が増えるわけです。

これによって投資効率が落ちたり、キャッシュフローが出にくくなったりするため、減価償却期間が終わる前後で売却するという出口戦略もよくあります。ただし、税金が増えても十分な手残りがあるような高収益物件であれば、減価償却期間が終わっても所有し続ける選択もあるでしょう。

デッドクロスのタイミングで売却

不動産投資におけるデッドクロスとは、「ローンの元金返済額が減価償却費を上回ること」です。デッドクロスの主な原因は、以下の2つです。

  • 減価償却期間が終了した
  • ローンの元金返済の金額の割合が高まった

いずれにしてもデッドクロスが発生すると、たとえ帳簿上は黒字でもキャッシュフローが悪化するため、このタイミングで物件を売却するという出口戦略もあり得ます。デッドクロスによる黒字倒産も考えられるため、ローンの元金返済額と減価償却費を対比することが大切です。

空室リスクが高まったタイミングで売却

インカムゲイン(家賃収入)を重視する不動産投資家であれば、「空室率」に着目した出口戦略がよいかもしれません。そのまま物件を所有していても思ったような家賃収入が得られないなら、売却して稼働率の高い物件に切り替えるほうが安全です。

一棟物件であれば、集客の努力をしているのに空室の割合が徐々に上昇している場合などはリスクが高まっている可能性があります。また、区分マンションや戸建て住宅であれば、以前よりも入居者が決まりにくくなってきた場合は要注意です。

3つの売却方法とメリット・デメリット

不動産投資の出口戦略においては、「どの売却方法を選択するか」も重要です。以下の3つの選択肢(仲介会社、買取業者、個人間取引)があります。

仲介会社への売却依頼

最も一般的な売却方法は、仲介会社(不動産会社、宅建業者)に依頼する方法です。売却を依頼された仲介会社は自社で見込み客を探したり、不動産業界のネットワークであるレインズ(※)経由で物件の情報を発信したりして、買い手を見つけようと努力します。

※レインズは、宅建業法に基づいて国交大臣が指定した「不動産流通機構(Real Estate Information Network System)の略称です。

仲介会社に売却を依頼するときに注意したいのは、3種類の媒介契約(仲介契約)にはあることです。どの方法を選ぶかで、信頼できる1社に依存するか、複数の不動産会社にお願いできるかなどの条件が変わってくるため、違いを理解した上で契約しましょう。

[一般媒介契約]
売主(不動産オーナー)が、他の仲介会社に売却を依頼することもできる契約です。売主自身が、親戚や知人などの売却相手を見つけても構いません。

[専任媒介契約]
1社の仲介会社に売却を依頼する契約です。ただし、売主自身が親戚や知人などの売却相手を見つけても構いません。

[専属専任媒介契約]
専任媒介契約と同様、1社の仲介会社に売却を依頼する契約です。こちらは、売主自身が売却相手を見つけることができない旨の特約を設けるのが通例です。

さらに、3種類の媒介契約には契約の有効期間やレインズへの物件情報の登録、依頼者への報告義務なども異なります。その内容をまとめると、以下のようになります。

媒介契約
の形態
契約の
有効期間
レインズへの
物件情報登録
依頼者への
報告義務
一般媒介契約法律上の
制限なし(※)
法令上の
義務なし(※)
法令上の
義務なし
専任媒介契約3ヵ月以内契約締結から
7日以内
2週間に
1回
専属専任媒介契約3ヵ月以内契約締結から
5日以内
1週間に
1回
※一般媒介の契約の有効期間は、標準媒介契約約款では3ヵ月以内とされています。また、レインズへの物件情報登録は、一般媒介でも任意で可能です。

買取業者への売却依頼

不動産の買取に特化している買取業者に直接売却するという選択肢もあります。不動産仲介業者に物件の売却を依頼した場合は、成約までに数ヵ月かかるといわれます。さらに、数ヵ月待っていたからといって、必ずしも売買契約が成立するわけではありません。

買取業者への不動産の売却では、価格面で折り合いがつけば、1週間や数週間といった短期間で売却することができます。このように買取業者への売却依頼にはメリットがありますが、売却価格が1〜3割程度下がるというデメリットがあります。

個人間取引の売買

売主と買主が不動産売買の交渉を直接行う方法もあります。しかし、この売買方法は不動産の知識のない者同士が売買することによってトラブルになりやすいため、宅建業者などの専門家を挟むのが安全です。

不動産投資の出口戦略で成功するためのポイント

不動産投資の出口戦略で成功するには、以下の6つのポイントを押さえることが大切です。

出口戦略の成功ポイント1:売却条件を決めておく

「購入からこれくらいの年数が経ったら売却する」「売却見込額がこれくらいになったら処分する」など売却条件をあらかじめ決めることで利益を最大化しやすくなります。ただし条件設定には、専門的な知見が必要なため、不動産会社のコンサルタントや税理士などのアドバイスを参考にしながら決めるのがよいでしょう。

出口戦略の成功ポイント2:物件を安く仕入れる

安く物件を仕入れることができれば売却益を得られるチャンスが広がります。同じ物件を同じ期間所有しても仕入れ価格が異なれば「売却益が出た」「売却損が出た」と180度違う結果が出る可能性もあります。

出口戦略の成功ポイント3:稼働率を高める

物件の稼働率を高めることは、安定経営だけでなく出口戦略においてもプラスとなります。なぜなら稼働率の高い物件は、高利回りとなりやすく買い手を見つけやすいからです。

出口戦略の成功ポイント4:残りの法定耐用年数を意識する

建物は、構造(木造22年、鉄筋コンクリート造47年など)によって法定耐用年数が決まっています。 多くの金融機関は、不動産投資ローンの融資期間を「残りの法定耐用年数以内」を目安に設定している傾向です。そのため法定耐用年数がある程度残っているタイミングで売却したほうが買い手を見つけやすいでしょう。

出口戦略の成功ポイント5:市場が好況のときに売り抜ける

物件を高値で売却したいのであれば不動産市場が好況のタイミングのほうが有利です。例えば金融機関が不動産投資の融資に積極的な時期は、買い手も増えるため、相場が高騰しやすいといわれています。

出口戦略の成功ポイント6:所有期間5年以下では売らない

不動産投資の出口戦略では、売却益に課せられる譲渡所得税を抑えることも重要です。譲渡所得税は、物件の所有期間が「5年超」と「5年以下」で税率が19.315%も異なるため、注意しておきましょう。

短期譲渡所得長期譲渡所得
保有期間5年以下保有期間5年超
所得税:30.63%
住民税:9%
合 計:39.63%
所得税:15.315%
住民税:5%
合 計:20.315%
※所得税には復興特別所得税を含む

なお「所有期間」とは、譲渡(売却)した年の1月1日時点の所有期間となるため、注意が必要です。例えば2021年12月時点で所有期間5年になる場合は、2022年1月で所有期間5年と見なされます。

関連記事:成否を分ける不動産投資の出口戦略とは? 売却やスクラップアンドビルドなど

不動産投資の主な物件の出口戦略、成功例

次に、不動産投資の主な物件(区分マンション、一棟アパート、一棟マンション)の出口戦略の成功例をシミュレーションしてみます。

ここでは内容をイメージしやすくするため、不動産投資ローンの金利や譲渡所得に課される所得税・住民税などを考慮せず、インカムゲイン(家賃収入に基づく累計キャッシュフロー)とキャピタルゲイン(売却益、ただし売却損もあり)を軸に見ていきます。なお、物件の所有期間は2011〜2021年の間とします。

区分マンションの出口戦略、成功例

健美家の「収益物件 市場動向 年間レポート(2021年1月〜12月期)」 によると、区分マンションの平均価格は2011〜2021年の間に687万円上昇しました。ただし、この間所有物件の築年数が増えたことなどを考慮し、売買益を343万円(687万円の約50%)と仮定します。

一方、区分マンションはキャッシュフローがマイナスになるケースも多いため、10年間でマイナス100万円と仮定しました。その結果、売却益と累計キャッシュフローの合計で最終損益はプラス343万円となり、出口戦略は成功しました。

  • 2011年購入価格:846万円
  • 2022年売却価格:1,189万円
    売却益:プラス343万円
  • 累計キャッシュフロー:マイナス100万円
    【最終損益:プラス243万円】

一棟アパートの出口戦略、成功例

健美家のレポートによると、一棟アパートの平均価格は、2011年〜2021年の間に2,469万円上昇しました。ただしこの間、所有物件の築年数が増えたことなどを考慮し、売買益を1,234万円(2,469万円の約50%)と仮定します。

一方、一棟アパートは入居率を維持できればキャッシュフローを得やすいため、10年間の累計でプラス500万円と仮定しました。その結果、売買益と累計キャッシュフローの合計で最終損益はプラス1,743万円となり、出口戦略は成功しました。

  • 2011年購入価格:4,508万円
  • 2022年売却価格:5,742万円
    売却益:プラス1,234万円
  • 累計キャッシュフロー:プラス500万円
    【最終損益:プラス1,734万円】

一棟マンションの出口戦略、成功例

健美家のレポートによると、一棟マンションの平均価格は、2011〜2021年の間に2,767万円上昇しました。ただしこの間、所有物件の築年数が増えたことなどを考慮し、売買益を1,383万円(2,767万円の約50%)と仮定します。

一方、一棟マンションは戸数が多いため、一棟アパートよりもキャッシュフローを得やすいと考えられます。10年間の累計でプラス1,000万円と仮定しました。その結果、売買益と累計キャッシュフローの合計で最終損益はプラス2,383万円となり、出口戦略で成功できました。

  • 2011年購入価格:1億3,545万円
  • 2022年売却価格:1億4,928万円
    売却益:プラス1,383万円
  • 累計キャッシュフロー:プラス1,000万円
    【最終損益:プラス2,383万円】

不動産投資の出口戦略の成功例を見てきましたが。不動産投資の初心者の中には「こんなに儲かるのだろうか」と思う人もいるかもしれません。実際は、以下を反映させると利益が圧縮されます。

  • 不動産投資ローンの金利の支払い
  • 譲渡所得への所得税・住民税の課税
  • 一棟物件の場合は大規模修繕費

また、理想的な入居率を維持した場合の結果であることをご理解ください。

出口戦略のよくある失敗パターン例

不動産投資の出口戦略で成功するためのポイントについて理解できたのではないでしょうか。ここからは、その内容に基づき出口戦略のよくある失敗パターンを3つ紹介します。

出口戦略の失敗パターンその1:物件を高値掴みしてしまった

物件の高値掴みとは、絶対に避けたい出口戦略の失敗パターンです。相場よりも割高な価格で物件を購入してしまうと売却益が圧縮されたり売却損が膨らんだりする原因となりかねません。相場と比較したうえで物件を購入することが大切です。

出口戦略の失敗パターンその2:低利回りのため買いたたかれた

物件を所有している間に「稼働率が低下する」「家賃が著しく下落する」といったことが起こると購入したときよりも低利回りになる可能性があります。低利回りになると売却交渉が不利になり買いたたかれるケースも少なくありません。高稼働になるように経営努力を心がけましょう。

出口戦略の失敗パターンその3:経済的ショックのときに売却した

リーマンショックやコロナショックなど経済的ショック時に「不動産市場も大きな影響を受けるのではないか」と不安になって狼狽(ろうばい)売りをすることは避けましょう。一般的に不動産は、株式のように短期間で大暴落する可能性は低いです。経済的ショックが起こっても状況を見極めながら売却すべきか否かを冷静に判断してください。

売却価格が高くなる物件の特徴とは?

売却価格が高くなる物件の条件は、「収益性」と「資産価値」のどちらか(または両方)が高いことです。具体的には、以下のような特徴がある物件が該当します。

収益性の高い物件の特徴:利便性、大規模開発、人気の街など

収益性の高い土地の特徴は、賃貸ニーズが高い好立地にあることです。好立地の物件は、空室が発生してもすぐに入居者が決まりやすいです。また、築年数が経っても家賃の下落率が小さいため、長期に渡って高収益を維持しやすいでしょう。収益性の高い立地の例は、以下のとおりです。

  • 主要路線を使える利便性の高い駅の近く
  • 大規模再開発が進んでいる、あるいは予定されているエリア
  • 住みたい街ランキングで上位のエリア など

また、収益性の高い建物の特徴としては、入居者に人気の設備やセキュリティー、無料Wi-Fiなどを備えているような物件が挙げられます。

資産価値の高い物件の特徴:都心の超一等地、ブランドエリアなど

資産価値の高い土地の特徴は、都心の超一等地やブランドエリアと呼ばれているようなところです。超一等地などは希少性が高いため、通常の経済状況であれば極端な値崩れが起きにくいと考えられます。

また、資産価値の高い建物の特徴としては、減価償却期間の長い鉄筋コンクリート造のマンションなどが挙げられます。

出口戦略を意識すると、高利回り物件が良いとは限らない

出口戦略を意識すると、「収益性」と「資産価値」のどちらか、または両方が高い物件を購入することがポイントです。不動産投資の初心者は、利回りを重視して物件を選ぶケースもあります。しかし出口戦略を意識すると、高利回りにとらわれて物件を選ぶのはリスキーです。これは具体例で考えると、わかりやすいかと思います。

例えば、銀座・南麻布・青山などの超一等地の高級マンションは希少価値が高く、物件価格が高額なので、家賃を高めに設定したとしても低利回りになるケースがほとんどです。一方、人口が急減している地方の築古アパートは、空室リスクが高く物件価格が安いため、高利回りの物件が目立ちます。

両者のうち出口戦略を描きやすいのは、超一等地の高級マンションです。値付けが適切であれば、相続税対策をしたい富裕層などに購入してもらいやすくなります。これに対して購入時に築古だったアパートは、売却時にさらに傷んでいる可能性があります。そのため、価格を極端に下げないと売却が難しくなるケースが多いのです。

ベストな出口戦略は状況によって変わり続ける

不動産投資を成功に導くには、出口戦略を描くことが欠かせないことが理解できたのではないでしょうか。本稿の内容をおさらいしてみましょう。不動産投資における出口戦略とは、所有物件を売却して利益(損失)確定させることでした。また不動産投資の成功とは「初期費用とローン残債の合計」よりも「キャッシュフローと売却益の合計」が上回ることです。

つまり売却してみなければ「その不動産投資が本当に成功したか」は分かりません。だからこそ購入時・運用中・売却前に出口戦略を描くことが重要なのです。また出口戦略の成功ポイントは、以下の6つでした。

□ 1.売却条件を決めておく
□ 2.物件を安く仕入れる
□ 3.稼働率を高める
□ 4.残りの法定耐用年数を意識する
□ 5.市場が好況のときに売り抜ける
□ 6.所有期間5年以下では売らない

最後に補足ですが不動産投資のベストな出口戦略は、状況によって変わり続けます。そのため一定期間ごとに「キャッシュフローが予定通り積みあがっているか」「不動産市場がどうなっているか」などをチェックし続けることが重要です。

不動産投資の出口戦略に関するよくある質問

Q.不動産投資で成功した具体的な状態とは?

「初期費用とローン残債の合計」よりも「(家賃収入を源泉とした)キャッシュフローと売却益の合計」が上回れば「不動産投資は成功した」といえます。

Q.不動産投資の出口戦略で成功するポイントとは?

A.売却条件を決めておくことや物件を安く仕入れること、稼働率を高めることなど、主に6つのポイントが大切です。

Q.出口戦略でよくある失敗のパターンとは?

A.購入時に物件を高値掴みしてしまったケースや、空室率が高いために買いたたかれたケースなどが挙げられます

Q.仲介会社に依頼する以外の売却方法は?

A.買取業者への売却依頼する方法や、個人間取引で売買する方法があります。ただし、買取業者だと売却価格が割安になる傾向があり、個人間取引の売買だとトラブルのリスクがあるので注意しましょう。

Q.売却価格が高くなる物件とは?

A.「収益性」と「資産価値」のどちらか(または両方)が高い物件です。具体的には、以下のような特徴を持つ物件です。

  • 収益性の高い物件:利便性、大規模開発、人気の街など
  • 資産価値の高い物件:都心の超一等地、ブランドエリアなど

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