少額投資は、元本が小さいためハイリターンは見込みにくい難点がありますが、方法によっては可能です。本記事では、少額でハイリターンを得るための4つの投資方法とポイントについて解説します。
目次
少額投資でハイリターンは狙えるのか
例えば10万円までを少額投資として考える場合、10万円を投資して5~10%(税引前、以下同様)の利回りを上げることができれば、得られる利益は5,000円~1万円です。これなら十分にハイリターンと考えてよいでしょう。
また少額であってもの積立投資を続けることで、複利効果によって数十年後に大きなリターンになる可能性があります。
以下では、毎月1万円を積み立てた場合で、利率3%・5%・10%の3パターンでシミュレーションしてみました。
<条件>
毎月積立額:1万円(ボーナスなし)
利息計算方法:12ヵ月
<シミュレーション1 利率:3%>
積立期間 | 元金分 | 利息分 | 利息分(税引き後) | 積立合計額 |
---|---|---|---|---|
10年 | 1,200,000円 | 194,480円 | 155,000円 | 1,355,000円 |
15年 | 1,800,000円 | 454,765円 | 362,447円 | 2,162,447円 |
20年 | 2,400,000円 | 842,106円 | 671,158円 | 3,071,158円 |
<シミュレーション2 利率:5%>
積立期間 | 元金分 | 利息分 | 利息分(税引き後) | 積立合計額 |
---|---|---|---|---|
10年 | 1,200,000円 | 339,828円 | 270,842円 | 1,470,842円 |
15年 | 1,800,000円 | 818,088円 | 652,016円 | 2,452,016円 |
20年 | 2,400,000円 | 1,561,988円 | 1,244,904円 | 3,644,904円 |
<シミュレーション3 利率:10%>
積立期間 | 元金分 | 利息分 | 利息分(税引き後) | 積立合計額 |
---|---|---|---|---|
10年 | 1,200,000円 | 766,885円 | 611,207円 | 1,811,207円 |
15年 | 1,800,000円 | 1,997,053円 | 1,591,651円 | 3,391,651円 |
20年 | 2,400,000円 | 4,153,850円 | 3,310,618円 | 5,710,618円 |
少額でハイリターンが狙える投資4選
少額でハイリターンが狙える主な投資方法は、以下の4つです。
- 株式投資
- FX投資
- 不動産投資
- エマージング債券投資
株式投資
株式投資は、100株を1単元として購入するのが一般的です。しかしネット証券の台頭により単元未満株(1株単位)にも投資しやすくなりました。日本を代表する優良企業にも数百円~数万円で投資でき、なかには配当利回りが5%を超える銘柄もあるため、このような個別株の保有でもハイリターンが期待できます。
ただし株価に連動して利回りは変わるため、日によって利回りが異なる点に注意が必要です。ほかにも値上がりした場合のキャピタルゲインや銘柄によっては株主優待も得ることができるため、総合利回りではかなりのハイリターンになる銘柄もあります。
FX投資
FX(外国為替証拠金取引)投資は、米ドル/円など2ヵ国のペア通貨を売買して利益を上げる投資方法です。利益を上げる主な方法は、買った通貨の値上がりによるキャピタルゲインとスワップポイントを得ることによるインカムゲインがあります。
キャピタルゲインの一例としては、米ドル/円に1,000通貨単位で投資した場合、円安方向に1円動くと1,000円の評価益(※)が発生します。例えば1米ドル140円のときに1,000通貨(14万円)購入した場合、1米ドルが141円になると14万1,000円になるといった具合です。
またインカムゲインでは、低金利の通貨を売って高金利通貨を買った場合、金利の差額となるスワップポイントを受け取ることができます。つまり高金利の外貨預金と同じような効果が期待できると考えてよいでしょう。
※為替手数料や税金などは考慮しない場合
不動産投資
不動産投資は、家賃収入でローンを返済し完済後に純資産となって大きなリターンを得ることができる投資です。例えば5,000万円(購入時の諸経費除く)の物件を頭金20%(1,000万円)で購入し、ローン完済後に3,500万円で売れた場合、1,000万円の投資で2,500万円の利益(売却時の諸経費除く)を得たことになり、大変効率の良い投資といえます。
ただし現物不動産に少額投資することは難しいため、REIT(不動産投資信託)や不動産クラウドファンディングといった形で投資する方法も選択肢の一つです。J-REITであれば5万円前後から、不動産クラウドファンディングであれば1万~10万円程度(銘柄や案件によっては10万円を超えるものもあります)といった少額から投資ができます。
エマージング債券投資
エマージング債券とは、新興国の政府や企業などが発行する債券を指します。発行している債券の種類は、国債や利付債、割引債などです。エマージング債券は、財政破たんリスクが高い国ほど利回りが高く設定されている傾向があります。
例えばSBI証券が扱っている南アフリカランド建て債券(既発債)の利回りは、8.023~10.104%(税引前、複利。2023年10月6日現在)です。高利回りですが、10.104%の銘柄の残存期間は約11.6年のため、満期までに南アフリカの情勢がどのように変化しているかわからないという懸念があります。また為替の変動リスクがある点も注意する必要があります。
少額でハイリターンを狙うための3つのポイント
少額でハイリターンを狙うためには、行うべきポイントがあります。特に以下の3つのポイントは、重要になるため、実行するようにしましょう。
長期投資
少額投資でハイリスクを狙うためには、長期投資を前提に考えることがおすすめです。なぜなら長期投資は、複利運用で加速度的に資産を増やすことが期待できるからです。
例えば株式投資であれば受け取った配当金を同銘柄へ再投資することでと、持ち株数が増え、比例して配当金(※)も雪だるま式に増えていきます。
※あくまでも無配当や減配とならない場合
分散投資
一般的な投資と同様に、少額を投じる場合でも分散投資は基本です。もし1つの投資商品に全資金を集中してしまうと価格が上がったときは大きな利益が見込めますが、下降相場に入ると塩漬け(買い値を下回り、売ると損になる状態で保有し続けること)になってしまうなど身動きがとれなくなります。場合によっては、暴落によって資産の大半を一気になくしてしまう可能性も否めません。
株式や投資信託、不動産小口化商品、純金積立、エマージング債券などカテゴリーを分散することが大切です。これにより1つの投資商品あたりのリスクを小さくできます。
節税できる制度を活用する(NISAなど)
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など配当金や運用益が非課税になる制度を確実に活用することもポイントの一つです。
証券投資にかかる譲渡所得税の税率は、一般的に20.315%(復興特別所得税含む)です。例えば10万円の利益があっても2万315円の税金を引かれてしまいます。非課税制度を上手に活用することで、投資パフォーマンスを大きく上げることができます。
ハイリターン投資で注意すべきリスク
ハイリターンを狙う投資には、リスクがつきものです。主に注意したいリスクには、以下のようなものがあります。
・高値づかみのリスク
「高値づかみ」には、注意が必要です。なんらかの理由で上昇相場になっている株は、買えばすぐ利益が出ることから多くの投資家の買いが殺到しやすくなります。上昇の初動で買えば大きなリターンを得られる場合もあるでしょう。しかし上昇末期で買った場合は高値づかみとなり、あとは下がり続けるだけの展開も考えられます。
・過剰投資のリスク
次に注意が必要なのが、レバレッジ取引を利用した「過剰投資」です。例えば国内のFX業者では、最大25倍までのレバレッジをかけることができます。100万円相当の取引も4万円の証拠金で行うことができるため、分不相応な過剰取引に陥るリスクがあります。
・財政破たんのリスク
例えばエマージング債券に投資した場合は、「財政破たんのリスク」があります。現実に新興国の債務不履行は時々発生しているため、高利回りだからといって多額の投資をするのは避けたほうがよいでしょう。
ローリスクで高利回りを狙うなら不動産クラウドファンディングがおすすめ
ハイリスク・ハイリターンという言葉があるように、リターンが高いほどリスクも高いのが一般的です。しかし例外的に、比較的ローリスクで高い利回りを狙える投資先として不動産クラウドファンディングがあります。
不動産クラウドファンディングが比較的ローリスクである理由
・少額で投資できる
現物不動産への投資は、一般的な物件で数百万~数千万円、エリアや規模によっては数億円かかることもあります。不動産投資は事業であることから融資を受けることができ、購入時はローンを組むのが一般的です。ローンを組むと金利上昇リスクや返済が滞ることがないかなど心配があります。
その点、不動産クラウドファンディングのような不動産小口化商品は1万~10万円の少額で不動産に投資できます。また融資を受けることができないことから、そうした心配はありません。
・値動きがない
不動産クラウドファンディングは売買市場がないため、価格が変動することはありません。例えばJ-REIT(上場不動産投資信託)の場合は、株式と同様に値動きを見ながら購入したり売却したりできることはメリットですが、下降相場になった場合は評価損を抱える可能性があります。
一方不動産クラウドファンディングは価格変動がないため、日々の価格を見て一喜一憂する必要がありません。また株式のように好きなときに売却できない点はデメリットといえます。しかし基本的に満期まで保有しておけばいいだけのため、「ほったらかし投資」としても有効です。
・投資家保護が徹底されている
不動産クラウドファンディングは、投資家保護が徹底していることもローリスクといえる理由の一つです。各事業者やファンドによっても異なりますが、例えば以下のような投資家を保護するための仕組みが充実しているため、元本割れしにくい商品といえます。
優先劣後方式 | 売却で損失が出た場合、決められた範囲内で事業者が優先的に損失を負担する方式 |
---|---|
マスターリース契約 | 空室が出た場合でも一定の家賃が保証される契約 |
不動産クラウドファンディングで期待できる利回り
不動産クラウドファンディングの予定利回りは、インカムゲイン型で4~8%程度、キャピタルゲイン型で5~10%程度(あくまでも一例で事業者や案件によって異なる)です。そのためローリスクのわりには高い利回りが期待できます。1万~10万円で高利回りを狙える不動産クラウドファンディングは、毎月新しい案件が次々募集されていることも魅力の一つです。
まずは、不動産クラウドファンディング比較サイトにアクセスして、どのような案件があるかチェックしてみてはいかがでしょうか。
※本記事は2023年10月6日現在の情報をもとに構成しています。紹介した投資方法は一例であり、結果を保証するものではありません。参考程度にお考えください。
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