米国債の買い方を解説!適切な購入タイミングや注意すべきポイント
(画像=RomanR/stock.adobe.com)

目次

  1. 米国債を買うタイミング
  2. 米国債の基本と値動きをチャートで解説
  3. 米国債に投資する3つの方法
  4. 米国債投資に強い証券会社3選
  5. こんなにある米国債のメリット4選
  6. 米国債のデメリットやリスクも留意しよう
  7. 円建てで利回り5%を狙えるおすすめの投資

米国債を買うタイミング

米国債投資では、購入するタイミングにこだわりたいところです。既発債を購入して償還前に売却して値上がり益を狙うのであれば、金利の動向にも注目しましょう。すでに解説したように金利が上昇している局面では、既発債が売られやすくなるため、価格下落圧力が強くなります。逆に金利が下がっていく局面では既発債の価格が上昇しやすくなります。

2023年11月時点で、米国債は依然として金利上昇圧力が強い地合いです。この金利上昇が止まり、ピークアウトすると今度は金利が低下する局面が予想されます。そのタイミングから購入すると「金利低下→米国債価格上昇」というトレンドに乗ることができるため、短期間で利益を上げられる期待値が高くなります。

米国債の基本と値動きをチャートで解説

米国債10年物利回りの推移

まずは、米国債10年物利回りの推移を最新のチャートで見てみましょう。

米国債10年物利回りの推移
出典:TradingView

上の週足チャートを見ると2021年10月ごろからほぼ右肩上がりの上昇を続けています。10年物利回りは、米国の金利動向を示す指標として広く用いられている傾向です。そのため、このチャートは米国内の実質金利が上昇し続けていることを示唆しています。

米国債の基本情報

米国債とは、米国政府が発行している債券のことです。債券とは、借金の証文となるため、米国債を購入することで米国政府へお金を貸していることになります。債券は、あらゆる投資商品のなかでもリスクが小さいローリスク・ローリターンで有名です。しかし米国債は、比較的高い金利水準にあり、債券でありながら高い利回りが見込めるとして注目を集めています。

米国債は、米国政府が発行したものを購入して満期まで持っておくと利息を含めた返済金を受け取ることが可能です。ただし米国債には、半年ごとに利息が支払われる「T-Notes」や「T-Bonds」といった種類もあり、期間も4週間と短いものから数十年に及ぶものまで多岐にわたります。

数十年というと満期までかなり待たされると思うかもしれません。しかし債券は、市場で自由に売買できるため、満期を迎える前に売却することも可能です。

米国債に限らず、債券の金利と価格は逆相関の関係にあります。金利が上昇すると新規で発行される債券(新発債)の金利水準が上がり、すでに持っている「金利が低い債券」の魅力が薄れるため、価格は下落する仕組みです。逆に金利が下落するとすでに持っている「金利の高い債券」の価値が高くなります。米国債だけでなく債券投資を検討している方は、この逆相関の関係性も理解しておくと良いでしょう。

米国債に投資する3つの方法

証券会社から投資する

米国債は、既発債が市場で流通しているため、証券会社を通じて購入することができます。証券会社によって手数料体系が異なるため、実際に投資をする際は手数料面で最も有利な証券会社の口座で購入することがおすすめです。最低購入単位は、どの証券会社もおおむね1,000米ドル程度となるため、例えば1米ドル=150円だと投資額は15万円程度からということになります。

ただし状況によっては在庫に限りがあるため、いつでも自由に好きなタイプの米国債を購入できるとは限らない点に注意が必要です。

ETFを通じて投資する

ETFとは、Exchange Traded Fundsの略で、和訳すると上場投資信託です。ETFは、さまざまな指数などと連動するように運用されていますが、そのなかには米国債と連動するETFもあります。

現物の米国債には満期があるため、「ずっと持っておく」という投資をするには定期的に買い直すことが必要です。しかしETFには満期がないため、長期保有をしながら分配金を得ることができます。なかには、日本の証券取引所に上場している米国債ETFもあるため、こうした銘柄を購入することで日本円建てでの投資が可能です。

投資信託を通じて投資する

上述したようにETFは上場している投資信託ですが、投資信託には非上場の銘柄もたくさんあります。ETFと違って証券取引所で取引されているわけではないため、取引時間中のリアルタイム取引はできませんが、長期保有が前提であれば米国債型投資信託を選んでもそん色はありません。

証券会社だけではなく銀行や郵便局などでも購入できることは、投資信託の大きな特徴です。そのためこういった金融機関で米国債型投資信託の取り扱いがあれば、証券会社の口座がなくても購入することができます。

米国債投資に強い証券会社3選

ネット証券最大手「SBI証券」

ネット証券の草分けで最大手のSBI証券は、もとより米国株式や米国債など米国向け投資に力を入れている証券会社です。既発債の取り扱いも豊富で、それぞれの米国債について利回りや償還日などが詳しく紹介されています。

楽天経済圏に圧倒的な強み「楽天証券」

楽天グループの証券会社として知られる楽天証券は、SBI証券と並ぶネット証券の雄です。米国債の売買にあたって外貨決済もできるため、為替リスクを回避した投資ができるのもユニークな特徴です。楽天グループは、ポイントシステムを共有できる楽天経済圏が有名で、楽天証券での投資で貯めたポイントを買い物などに利用できます。

米国投資に強い「マネックス証券」

マネックス証券は、大手ネット証券の一角として設立当初から米国向け投資に力を入れている証券会社です。もちろん米国債の既発債も取り扱っており、同社の口座を通じて手軽に売買ができます。米国債について詳しく解説しているコンテンツが秀逸なため、初心者でも安心です。

こんなにある米国債のメリット4選

安全資産でありながら高利回り

債券は、さまざまな投資商品のなかで比較的リスクの低い資産とされており、米国債もその一種です。米国債は、安全性が高い一方で利回りが高く、冒頭で紹介した最新チャートでも4%台で推移しています。

日本の国債は、YCC(イールドカーブ・コントロール)といって金利が上がりすぎないオペレーションをしており、2023年はそのYCCの上限を引き上げたことが話題になりました。それでも2023年11月時点で販売されている第164回変動金利型10年満期の個人向け国債の金利は0.6%です。約7倍の差があり、米国債がいかに高利回りであるかが実感できます。

日本人投資家にもなじみがある

米国経済に関する情報は、日本の一般ニュースでも報道されています。外国債券に投資をするには、対象となる国の政治や経済の事情をある程度知っておくことが必要です。200近くある国・地域のなかで日本人投資家にとって最もなじみが深く情報を入手しやすいのは米国といえます。その米国政府が発行している債券のため、米国債は投資のハードルを下げてくれるといえるでしょう。

米国そのものの信用力が高い

国債を購入するというのは、その国にお金を貸している状態です。貸したお金を約束通り利息込みで返済してもらえる見通しが立っていることは、とても重要です。その点で米国は世界一の経済大国であり、先進主要国の筆頭格です。第三者的な視点で債券の格付けをしている格付け会社の評価においても、米国債は高評価で特に長期債券については最高ランクの評価を獲得しています。

日本の国債よりも評価が高いことを考えると、実質的に元本保証に近い債券と考えてよいでしょう。

いつでも手軽に売買できる

米国債は、流通量が多く取り扱っている金融機関が多いため、高い流動性があることも魅力です。流動性が高いということは、「いつでも手軽に売買ができる」ということを意味しています。そのため保有している米国債を現金化するのも容易です。いつでも手軽に現金化できることも、投資商品の重要なスペックの一つといえます。

米国債のデメリットやリスクも留意しよう

リスク① 為替差損のリスク

米国債を購入するには、日本円を米ドルに両替することが必要です。逆に米国債投資を終えた際には、必要に応じて日本円に戻すこともあります。また米国債の購入時よりも円高米ドル安になると、為替差損が生じるリスクがあることも忘れてはいけません。これについては、米国債そのもののリスクではなく円建て以外の金融資産を購入する際にはつきものの「為替リスク」です。

1米ドル=150円のときに米国債を購入し、投資を終えたときに1米ドル=130円になっていたとすると20円の円高です。この条件下で米国債投資を終えると、せっかく米国債の償還を迎えて利息が得られたとしても、日本円に戻した時に為替差損が発生することになります。

もっとも米国債投資が終わったからといって必ずすぐに日本円に戻す必要はありません。引き続きドル建てで米国株式や米国債などに投資をして円相場の回復を待つ方法もあります。

リスク② 価格値下がりのリスク

償還前の米国債は、市場価格で売買されており保有している米国債の市場価格が購入時よりも低くなっているときに売却すると損失が出ます。これは、株式や外貨など市場価格で売買されているものに共通するリスクですが、米国債も例外ではないため留意しておくことが必要です。

しかし保有しているだけで売らなければ損失は確定せず、満期まで保有すれば額面金額が戻ってきます。短期的な値動きに振り回されないようにするには、余裕資金で投資をすることが重要です。

リスク③ 償還されないリスク

世界一の経済大国であり、格付けも高い米国債が償還されない(お金が返済されない)リスクはほとんどゼロに近いです。しかしその可能性が完全にゼロではありません。万が一、米国を揺るがすような重大な事態が生じた際には、米国債の償還が遅れたり全額償還されなかったりする可能性があります。

事実、米国では頻繁に債務上限問題が起き、「政府機関が閉鎖に追い込まれる」「その寸前に至る」といった事態となっています。ただこの問題は、政治的な駆け引きの意味が強いため、米国の重大な信用リスクではありません。しかし今後もこうしたことが繰り返されるとリスク要因と見なされる恐れがあります。

円建てで利回り5%を狙えるおすすめの投資

本記事では、5%程度の利回りが期待できる米国債投資について解説しました。しかし米国債には、どうしても為替リスクが付きまといます。しかも2023年は「超」がつくほどの円安米ドル高が進行しており、ここから米ドル建ての米国債を購入すると今後円高に転じて為替差損を出してしまうリスクがあります。しかし円建ての投資商品であれば、為替変動を考慮する必要がありません。

少額から不動産に投資できる「不動産クラウドファンディング」

日本は、長らく超低金利政策が継続しているため、「国内に5%の利回りが期待できる投資商品はない」と思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。ここで紹介したいのは、利回り5%を超える案件も多数ある不動産クラウドファンディングです。投資家から集めた資金で優良不動産を購入し、一定期間運用したうえで賃料収入や売却益が分配される仕組みです。

小口化されているため1万円から購入できる案件も多く、個人投資家も手軽に投資ができます。また物件の選定や運用はプロが行うため、不動産投資のノウハウが全くない人であっても問題ありません。もちろんメリットばかりではなく、案件によっては「元本割れが起きる可能性がある」「実質的に中途解約ができない」「融資を利用できない」などのデメリットもあります。

そのためメリット・デメリットを総合的に勘案したうえで投資判断をするようにしましょう。

田中タスク
田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

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