1996年の金融ビッグバン以降、「貯蓄から資産形成へ」と、個人に対し資産形成の必要性を訴えかけ続けた金融庁。しかし思ったように個人の預金が動かぬまま新型コロナウイルスが訪れ、個人は投資よりも現金や預金に意識が向いていることが日本銀行の調査から見えてきました。
家計の現預金残高が増えている
2020年6月25日に公表された「資金循環統計(速報)(2020年第1四半期)」にて、同年3月末の時点で家計における現金・預金高が2.1%増の1,000兆円にのぼることが明らかになりました。
しかし、家計の金融資産の合計は0.5%マイナスの1,845兆円と、資産が増えている様子はありません。ではこの現金・預金はどこからきたのでしょうか。
投資信託や株式はマイナスに
同じく「資金循環統計(速報)(2020年第1四半期)」の家計の金融資産残高をみると、投資信託、株式、保険・年金・定型保証の部門がマイナスになっています。
投資信託では11.7%、株式等は11.9%、保険・年金等は0.5%のマイナスです。新型コロナの影響で株価が落ち込んだことに加え、先行きの不安感から投資関連に割り振っていた資産を現金・預金に戻したのではないでしょうか。
withコロナ時代の投資戦略は
2020年7月現在、株価も落ち着き定額給付金の給付も進んでいることから、4月~6月の家計の金融資産は持ち直すと考えられます。家計の余剰金が増えれば、個人投資家の意識も再び投資へと向けられるようになるでしょう。
新型コロナウイルスの終息のめどが立たない状況下で、個人投資家はどのような株に注目していけばよいのでしょうか。
飲食店がECに進出。ショッピングモール型ネットショップの株に注目
3密になりやすい飲食店がテイクアウトの次に乗り出しているのが自店舗のEC展開です。コロナ対策で強化された小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金を使いつつ、新たな販売ルートを開拓できると感心を集めています。
誰でも簡単にEC展開できるショッピングモール型ネットショップBASE 〈4477〉 の株価も急激に伸びています。2020年4月までは1,500円前後で推移していた株価が5月に入り3,000円まで伸び、7月現在は6,500円前後で推移しています。
BASE以外のショッピングモール型ネットショップの株に注目してみましょう。
コロナ禍で急激に需要が増した分野も
医療分野、遠隔・非接触で業務を進められるロボティクス分野や、リモートワークを進めるためのネットワーク、セキュリティ関連、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)へのニーズの高まりを考えると、これらの株の動向を注視しておいて損はないでしょう。
コロナ禍だからこそ追い風になる業種を見極めて投資を
コロナショックで多くの人が資産を減らし、世界中で行動が制限され経済も回復する兆しのない中でも投資のチャンスはあります。最新の情報を常にキャッチできるようアンテナを張り、「今だから求められている業種」を見極め、投資先を選定していきましょう。
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