資産運用
(画像=zimmytws/stock.adobe.com)

投資信託は、リスク分散効果の高さや売買の手軽さなどで人気の投資商品の一つです。その中でもとりわけ人気なのが上場されている投資信託であるETFでしょう。しかし配当(分配金)収入狙いの投資家の中には微妙な銘柄が多いと感じている人も多いのではないでしょうか。特に国内の投資信託で毎月分配型のものについては投資元本から分配金を支払う「タコ足ファンド」も多い傾向です。

「タコ足ファンド」は自分のお金を少しずつ払い戻してもらっているだけなので長期的に見ると資産増にはつながりません。そこでおすすめしたいのが米国株の高配当ETFです。「運用資産の大きさゆえの安定感」「圧倒的なコストの安さ」「高配当なのにタコ足ファンドではない」など長期的な視野で配当収入を狙っていきたい投資家にとって大変魅力的でしょう。

本記事ではそんな米国高配当ETFの世界を基本から詳しく解説します。

目次

  1. 米国株ETFのすばらしいところ
    1. 圧倒的な低コスト
    2. 巨大な運用資産ゆえの安定感
    3. 配当性向の強い経済風土
  2. 高配当ETFの3大人気銘柄
    1. VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)
    2. HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF)
    3. SPYD(SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF)
  3. 高配当ETFを利用した資産形成術
  4. 米国株ETF投資の始め方、続け方

米国株ETFのすばらしいところ

米国株の中でも高配当ETFのすばらしいところは、主に以下の3つです。

圧倒的な低コスト

米国株ETFは総じて低コストです。日本でいう信託報酬にあたる運用コストが0.1%未満であるものもあり高くても0.5%未満というものも少なくありません。日本の投資信託では1%を超えるものも珍しくないため、コストの安さは圧倒的です。

巨大な運用資産ゆえの安定感

米国はETF大国ともいえるほどその市場は巨大です。ETF市場全体の規模を見ても米国は日本の10倍以上でありその市場はさらに成長・拡大を続けています。銘柄別に見ても純資産残高が20兆円を超えるようなモンスター級ETFがあるのも米国ならではです。これだけ運用資産が大きいと安定感も抜群で長期にわたって人気を維持しているETFも多数あります。

配当性向の強い経済風土

日本とは対照的に米国には株主への配当性向が強い傾向があります。「もの言う株主」が多いことも理由の一つです。しかし利益に応じて配当をしっかりと出すことが株価の維持・上昇につながる考え方もあるため「配当性向が強い=配当利回りが高い」という図式が成り立ちやすくなります。米国の高配当ETFはその中でも配当性向の強い銘柄を中心に保有しているのが特徴です。

そのため4%や5%といった分配金利回りを維持することができます。

高配当ETFの3大人気銘柄

米国の高配当ETFには、3つの人気銘柄があります。それぞれの特徴とともに紹介しましょう。

VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)

米国高配当ETFの代表格ともいえるほど有名なETFです。経費率(信託報酬と同義)が0.06%で超低コストであることに加えて395社に分散投資をしているためリスクヘッジ能力も高くETF価格自体の成長性も期待できます。2020年7月21日時点の分配金利回りは4.13%です。

HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF)

米国株の中でも高配当かつ財務健全性の高い銘柄をピックアップして運用しているETFです。組み入れ銘柄の入れ替えを3ヵ月に1度行うほどリスクに対して敏感になることでETF自体の安全性向上が図られています。2020年7月21日時点の分配金利回りは4.25%です。

SPYD(SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF)

S&P500に組み込まれている銘柄の中から配当が高い順に80銘柄を機械的にピックアップして運用するETFです。VYMは成長力、HDVは健全性を重視しつつ高配当を狙っていくのに対してSPYDは「何はともあれ高配当」を狙います。その方針もあって2020年7月21日時点の分配金利回りは5.23%となっており他の2銘柄よりも高めです。

高配当ETFを利用した資産形成術

上記以外にもまだ高配当ETFはあります。低コストであることに加えて高配当であることは非常に魅力的です。しかしこういった高配当ETFはすべて市場で売買されているため、価格の騰落があります。事実、コロナショックで米国株が大暴落したときには上記の主要高配当ETFも軒並み大幅に下落しました。こうしたリスクをうまく管理していくための手法として高配当ETF投資ではドルコスト平均法による分割購入が有効です。

「毎月決められた日に一定額ずつ購入する」といったように時間軸でのリスク分散を図ると購入回数が多くなるほど取得価格が平均化されるため変動の影響を受けにくくなります。またETFから支払われた分配金を再投資していくと複利効果も得られて資産形成のスピードを加速させることが可能です。

米国株ETF投資の始め方、続け方

ここで紹介したETFはすべて米国の取引所に上場されている銘柄です。そのためこれらのETFに投資をするためには米国株の取引が可能な証券会社の口座を利用する必要があります。主要なネット証券の場合、おおむね米国株の取引ができるため、こうした口座を通じて簡単に購入することが可能です。例えばSBI証券にはあらかじめ設定した通りに定期買付ができるサービスがあります。

そのため前述したドルコスト平均法を実践するのに便利です。インカムゲイン狙いのETF投資は、時間を味方にすることが成功のポイント。少しでも早く始めることで投資効果が大きくなるため、ぜひ一度検討してみてください。

田中タスク
田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

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