「投資」ではなく「事業」と捉えることが不動産運用を成功へ導く

輝かしいキャリアを活かし不動産投資アドバイザーとして活躍する小原正徳さん。インタビューの前半では、異色とも言えるその経歴と共に、地方物件に投資するスタイルから都心の土地を購入しそこに自らマンションを建て収益物件として運用する投資スタイルへの転換について語っていただきました。インタビュー後半では、その投資スタイルをどのように身につけたか、また不動産投資と向き合ううえでのマインドについて語っていただきます。

【プロフィール】 小原 正徳(こはら まさのり)
不動産投資アドバイザー。東京大学文学部思想文化学科卒業。世界四大会計系コンサルティングファームの一つ「EYグループ」のEYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社での不動産ファンド監査業務、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社での不動産ファンド運用業務に従事後、2016年7月に株式会社不動産科学研究所(IRES)創業。不動産投資家向けにアドバイザリーサービスを提供する他、YouTube上にて個人投資家、ビジネスマン向けの情報を発信している。
保有資格:不動産鑑定士、宅地建物取引士
「投資」ではなく「事業」と捉えることが不動産運用を成功へ導く

目次

  1. 知識は本から。あとは実践あるのみ
  2. 常についてまわる融資付けの苦労
  3. 消費者マインドでは業者に足元を見られる
  4. 「下がったら買う」のではなく「今安いものを買う」

知識は本から。あとは実践あるのみ

――土地から手がけることにメリットがあるとはいえ、個人の投資家がその状況を整えていくことは非常にハードルが高いことだと思うのですが、小原さんはどのようにそのハードルをクリアしたのでしょうか?

本で勉強しました。新築を手がけるうえで勉強になる書籍は何冊か出ているので、それを読んで基本的なところを押さえつつ、もう少し実践的、技術的なところについては、市販の教材のようなものを何万円かで購入して勉強しました。とはいっても勉強したのは1週間ぐらいで、あとは実践あるのみでしたね。土地を探して、資料をプリントアウトして、方眼紙とペンと定規を買ってきて土地の形に線を引いて、どんなプランならその土地に入るか、教材を見ながら自分で線を引いて考えます。何㎡の部屋が何室取れるから家賃をいくらにして、そうすると利回りがいくら取れて…みたいなことをどんどん組み立てていく感じです。

――土地から手掛けることを目指してスクールにいらっしゃる投資家の方々にはどのようにアドバイスをされているのでしょうか?

最初に必ず面談をしています。お勤め先やご収入、資産の状況を伺ったうえで、将来どういう姿になりたいか、どういうところを目指しているかをお聞きし、「それなら土地から手掛けるのもアリですね」と提案するようにしています。その方向性を擦り合わせたうえで不動産投資全般のサポートをさせていただく流れです。

特に融資や収支に関しては、同じプレーヤーとして丁寧にアドバイスをしています。わざわざ土地から投資をしようと思っている人達は大手と組んだら利回り的に成り立たないことがわかってる人たちなので、大変であることをある程度わかったうえで相談にいらっしゃいます。そうした人たちに向けて、良い土地かどうかのアドバイスや施工会社の情報共有などをしています。

常についてまわる融資付けの苦労

――土地から投資用物件を手がける中で小原さんが苦労された部分があるとすれば、その部分はきっと他の投資家さんも間違いなく苦労される部分だと思います。どのプロセスが最も大変でしたか。

2つあります。施工会社を探すところと融資をつけるところです。施工会社さんに関しては、「安かろう悪かろう」的な会社もたくさんあるし、最初は安かったのに次にお願いしたらなぜか高くなっていたというケースもあります。良い施工会社さんは常に探し続ける意識でいけなればいけません。

融資についても都度都度トライしていかなければいけないので、これはいまだに僕も苦労するポイントです。どうしたらいいのかと言われれば、しっかり準備をする前提でとにかく数をあたるしかないというのが率直な意見です。

――たとえば、案件ごとに事業計画書を書いて、それをいろいろな銀行さんに持っていくというようなことでしょうか。

はい。ちょうど今、融資付けを何件かやっている最中で、今月も10以上の金融機関に足を運びました。30ページぐらいある資料を作り、その資料を提示しながら1時間近くプレゼンをするという作業を金融機関ごとにやります。「この銀行だったらこれぐらいの条件で融資が引き出せるだろう」といったような尺度はまったくありませんし、一度融資が通ってしまうと、その物件が竣工し稼働するまでは同じ金融機関から追加の融資を受けることはかなり難しいので、数が増えれば増えるほど新しい金融機関を探さなければいけなくなります。融資が簡単に通るならどんなに楽だろうと思いますけど、この事業をやり続ける限りずっとついてまわる苦労ですね。

「投資」ではなく「事業」と捉えることが不動産運用を成功へ導く

消費者マインドでは業者に足元を見られる

――YouTubeでも積極的に発信されていますよね。

そうですね。YouTubeでの発信からスクールまでつなげるという個人投資家向けの一連の情報発信も教育事業の一環として行っています。内容としては、「不動産投資って良いからやりなよ」ということを言う方は他にもたくさんいるので、それよりも「せっかくやるならちゃんとやろうね」という感じの話をします。不動産って、買うところまでは手間隙をかけるべきなんですが、最初にしっかり頑張ってまわるようにしてしまえばあとはそれほど手間をかけずに回せるので、複数の仕事を同時にまわすことができます。つまり、本業がありながら運用するにはすごくいい商品なんです。投資というより副業、事業という観点で考えるということですね。

――「投資」と考えないほうがいいということでしょうか?

投資と言ってしまうと、どうしても「お金を出せば増えるんでしょ?」みたいな感覚になってしまうと思うんです。でも、手間隙はやはり必要です。そもそも「不動産投資」というネーミングが良くなかったのかもしれないですね。「不動産事業」あるいは「不動産賃貸業」と言うべきなのかもしれません。

普通、銀行は投資にお金を貸さないじゃないですか。でも不動産は、担保があるからということもありますが、事業だから金融機関がお金を貸してくれる。事業性を見て融資をしてくれるわけです。だから取り組む側も「これは事業だ」と思って取り組まないといけない。消費者マインドでは業者に足元を見られ、それで高値掴みさせられてしまうわけです。そうならないよう、事業主としての自覚を持って取り組みましょうといつも言っています。

「下がったら買う」のではなく「今安いものを買う」

――今後、不動産のマーケットは今後どういうふうに変わっていくとお考えでしょうか?

不動産市場の将来予測って非常に難しいというか、やるだけ無駄なので、僕はあまり予測はしないようにしてるんですが、あえて言うならば、価格が下がるのはどういう時かというと、融資がもっと厳しくなる時だと思います。金利が上がるとか、リーマンの時のように海の向こうで何かが起きて金融市場全体がクラッシュするとか、そういうクライシスが起きると融資が厳しくなって価格が下がるということはあるかもしれません。しかし、それはあくまで「かも」なので、今の状況が続く前提でいくと、不動産の価格は下がることはなさそうだと思いながら取り組んだほうが良いだろうと思います。「下がったら買います」と言う人もいますが、そういう人には「どうせ下がらないので今ある中で安いものを探す努力を常にしておくべきです」と話しています。

――小原さんご自身が今後事業として展開しようと思っているようなことがあれば、ぜひ教えてください。

自社企画としての第1号ファンドが作れたので、まずはこれをうまく活かし、第2号ファンド、第3号ファンドと増やしていきたいと思っています。都心に物件をつくる事業も継続していきますが、一方ではその売却市場をつくっていくことも一つの仕事になると思っています。相続対策を目的とした富裕層の方が典型的な購入者像となりますが、海外の投資家さんが数億円規模の物件を購入するような流れがもう少しスムーズになっていけば、そうした人たちも購入者像となります。実は東京って、世界の先進国の大都市のどこよりも利回りが高いんです。そこに注目している海外の投資家さんは必ずいらっしゃるので、そういうところを狙っていきたいですね。

小原正徳さんのYoutubeチャンネル(外部リンク)
https://www.youtube.com/channel/UC9PYiD73q11jIMvaeBsqMvQ

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