浅井様インタビュー前編

浅井佐知子さんは、ベストセラー『世界一やさしい 不動産投資の教科書1年生』の著者として知られます。不動産鑑定士、不動産投資スクールの主宰者であり、ご自身でも賃貸経営をされている浅井さんに、不動産投資で失敗しないためのポイントなどについて伺いました。

【浅井佐知子さんのプロフィール】
不動産鑑定士・不動産投資コンサルタント。三井ホームエステートなどでの10年間の法人営業を経て、2001年、不動産鑑定士事務所を開設。国土交通省の地価公示評価員、国税庁の相続税路線価評価員などを担当。著書に『世界一やさしい 不動産投資の教科書1年生』『世界一楽しい 不動産投資の授業』などがある

目次

  1. 不動産投資の初心者が、物件を買えない理由とは?
  2. 空室対策でオーナーができることはたくさんある

不動産投資の初心者が、物件を買えない理由とは?

−−−浅井さんは不動産鑑定士としてご活躍されて、その後、2016年に不動産投資スクールを始められたそうですね。スクールを立ち上げたきっかけは何でしょう?

不動産業界での私のキャリアは、賃貸営業からはじまって法人営業に携わり、その後、不動産鑑定士として独立開業しました。約10年間、不動産鑑定士として仕事をしてきて、この職種の範囲内では、やり切った感がありました。次に「何ができるんだろう?」と考えたとき、一般の投資家さんを育てることだなと思ったんですね。

−−−主宰されている『不動産投資スクール』を始めたときのお気持ちを改めて伺いたいのですが。

不動産投資で失敗する人を減らすために貢献できないか、そんな気持ちでスクールを始めました。そのために、不動産投資のことを勉強してもらいたいなと思ったんですね。

−−−浅井さんのスクールの生徒さんには、不動産投資をスムーズに始められる人と、そうでない人がいると思います。その差は何でしょうか。

そうですね。生徒さんは、大きく2つのタイプに分かれます。ご自身で物件をどんどん買い進める人と、買えなくてやめてしまう人です。後者のタイプは少数で全体の2〜3割ぐらいでしょうか。

物件を買えない原因は、怖くてはじめの一歩を踏み出せないからです。だから、私はそういう人に向けて「小さな不動産を買ってみてください」とアドバイスしていますが、それでも、一歩が踏み出せないんですね。

逆に買い進める人は、スクールで不動産投資のリスクやその対応策を学んでいるため、怖がらずにご自身でどんどん物件を探し出す。こういうタイプの人は、いい物件を探し出すのがすごく上手ですね。よくそんな物件あったなあ、と感心することもしばしばです。

−−−不動産投資スクールでは、不動産投資のどこまでの知識を教えるんですか?

目標設定からはじまって、不動産の価格の求め方、市場調査と業者探し、融資契約……ようは、不動産投資で失敗しないためのすべてを教える、そんなカリキュラムになっています(下記参照)。

『やさしい不動産投資スクール』公式サイト
画像引用:『やさしい不動産投資スクール』公式サイト

スクールを通じて生徒の皆さんは、不動産投資に必要な知識を得られますし、物件探しのシミュレーションもできるようになります。ただ、頭でわかっていても、行動に移せない人がいるわけです。あと、仕事が忙しくて、やりきれない人もいますね。

−−−そもそも浅井さんのスクールに通われている生徒さんは、どういうタイプの人が多いんでしょうか?

不動産投資の初心者が多いですね。女性と男性の割合は3対7ぐらいです。年齢的には私がスクールを立ち上げた頃は、40代から上の世代が中心でした。最近は20代など若い世代も増えました。

−−−若い世代が増えたのは、時代の流れですか?それとも著作を出された影響ですか?

時代の流れだと感じます。スクール立ち上げ当初は、40代50代の方が「将来の年金が心配だから、不動産投資を始めたい」というケースが多かったですね。その後増えた若い世代は「FIRE(経済的自立による早期リタイア)したい」という人も目立ちます。

−−−浅井さんのスクールは、老若男女が幅広く学べる場だということが分かりました。不動産鑑定士が教えてくれるスクールということで、受講生は安心感があるのではないでしょうか。

不動産投資の知識をお伝えすることだけでなく、例えば、契約になったときの売買契約書のチェックなどもサポートしています。契約書にとんでもないことが書いてある、そんな可能性もゼロではありません。また、買い手に不利なことが書かれていたり、本来入れておくべき事項が抜けていたりする可能性もあります。

−−−たしかに、売買契約書のチェックは、第三者である専門家のチェックがあると安心ですね。

ちなみに、2022年1月に発売した書籍『世界一楽しい 不動産投資の授業』の5章で、売買契約書、重要事項説明書それぞれのチェック事項を分かりやすくまとめています。1棟アパートとマンションでは、チェック事項の内容が違いますのでこれも含めて解説しています。もし、ご興味がありましたら、そちらをご覧下さい。

『世界一楽しい 不動産投資の授業』(ソシム)
2022年1月発売『世界一楽しい 不動産投資の授業』(ソシム)

空室対策でオーナーができることはたくさんある

−−−さきほど、不動産投資スクールを立ち上げた経緯は、不動産投資で失敗する人を減らすためとおっしゃっていましたね。スクールでは不動産投資で失敗しない方法を詳しく伝えていると思いますが、そのポイントを挙げるとしたら、どのようなものでしょう?

不動産投資で失敗しないためのポイントは3つです。1つ目はシミュレーションができること。2つ目は市場分析ができること。3つ目は空室対策ができること。これらを適切に実行できれば、ほぼ失敗しません。

−−−3つのポイントのうち、例えば、空室対策はどのような内容ですか?

空室対策には、いろんなやり方があります。例えば、オーナーさんは、決まらない、早く決めたいと悩んでいますが、まずは、決まらない理由を考えることが大事です。決まらない理由は、リフォームが出来ていないせいかもしれません。あるいは、部屋が汚れているせいかもしれません。

具体的な空室対策では、入居者を募集している部屋をモデルルーム化する「ホームステージング」も有効です。コンパクトな部屋なら、100円ショップや量販店でアイテムを揃えれば数万円の予算で済みます。

あとは、客付業者(賃貸業者)さんにご挨拶に行くのも有効です。伺ったときに、AD(広告料)や賃料の相場をヒアリングするのがおすすめですね。ADに関して言えば、地域によって相場が違うので要注意。ADが少ないと、業者さんが積極的に紹介してくれない可能性もあります。

業者さん回りをしたとき、お会いした担当者のメールアドレスをリスト化しておくと、後々便利です。空室が発生したとき、業者さんたちに一斉メールで空室情報を配信することができますからね。

物件の情報発信を工夫するのもよいでしょう。例えば、私のスクールの生徒さんには、地元情報の掲示板『ジモティー』にご自身で物件情報をアップして、どんどん決めている人がいますよ。

−−−他の2つの不動産投資で失敗しないためのポイント、シミュレーションと市場分析
についてはいかがでしょう。

シミュレーションと市場分析は、物件の種類によってチェック項目が変わったり、情報が膨大だったりするので書籍『世界一楽しい 不動産投資の授業』の特典ツールを使うのが早いかもしれません。本を購入された方向けの特典で、シミュレーションシートとチェックシートをご用意しています。

−−−不動産投資の初心者だと、ツールが用意されていても、シミュレーションと市場分析は難しそう……と敬遠する人も多そうですが。

これらのツールは、初心者でも簡単に使えるものです。例えば、シミュレーションシートであれば、物件価格、利率、年数など基本的な情報を入れるだけで、税引前のキャッシュフロー、税引後の不動産投資による利益、さらには、いつ売却するのが最も有利なのかの出口戦略まで把握できます。

不動産投資においてシミュレーションは必須です。「これぐらいの利益が出るのかな?」というぼんやりとしたレベルではダメなんですね。何パーセントの金利で借りれば、いくらの手残りがあるというように、クリアに状況を把握しなければなりません。

−−−シミュレーションを苦手にしている人も多いと思いますので、このようなツールが本の特典であると助かりますね。

このインタビューの後半では、今は物件の買い時か待つべきか、浅井さんご自身で所有されている物件についてなどのテーマを伺っていきます。引き続きよろしくお願いします。

浅井佐知子さんのH P(外部リンク):https://asai-kantei.jp/

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