未然に防ぎたい不動産投資トラブル!巻き込まれないための3つのポイントとは?
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鈴木まゆ子
鈴木まゆ子
税理士・税務ライター|中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。「ZUU Online」「KaikeiZine」「朝日新聞『相続会議』」「マネーの達人」「納税通信」などWEBや紙面で税務・会計に関する記事を多数執筆。著書「海外資産の税金のキホン(税務経理協会、共著」。

不動産投資には、さまざまなトラブルがつきものです。具体的にどういったトラブルが多く生じているのでしょうか。今回は、ありがちなトラブルを紹介しつつ未然に防ぐための3つのポイントを解説します。

不動産投資でよくあるトラブルとは

不動産投資には多くのメリットがありますが、さまざまなトラブルがともなうこともあります。大きく分けると以下の4つになります。

サブリース契約

サブリース契約とは、所有している賃貸物件を不動産管理会社が一括して借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。サブリース契約では、不動産管理会社がオーナーに対して一定額の家賃を保障します。そのため「入居者が家賃を滞納した」「空室になった」といった場合でも一定の賃貸料収入がオーナーへ支払われることが最大の魅力です。

また不動産管理会社が家賃回収や必要経費の支払いなどの業務を行ってくれるため、オーナーとしては「手間をかけず安定して収益を得られる仕組み」といえるでしょう。こう聞くとサブリース契約には、非常にメリットが多いと感じる人もいるかもしれません。しかし当初の家賃保証額がずっと続くわけではない点には、注意が必要です。

一般的にサブリースの契約書を見ると「入居状態の悪化」「家賃の減額」といった不測の事態に備えて一定期間ごとに家賃の見直しができる旨の条項があります。見直しができる期間が「何年ごとなのか」は、サブリース提供業者によっても異なるため、しっかりと確認しておくことが必要です。

修繕費

不動産投資に修繕は欠かせません。なぜならアパートやマンションなどを新築で購入した場合でも年数が経過すれば当然劣化していくからです。物件が劣化していくと入居者や入居希望者に管理が行き届いていない印象を与えかねません。その結果入居率が低くなり家賃収入が減少してしまう可能性が高くなります。

不動産の修繕の際に意識しておきたいのが修繕費です。オーナーが費用を負担する修繕は、高額なものになりがちです。例えば入居者の入替時のクロス張り替えであれば、一般的なワンルーム1部屋あたり5万~10万円程度で済みますが、空室対策のフルリフォームとなると数百万円に及ぶケースもあります。そのため不動産投資を行う場合は「いつ何にどれくらいの修繕費がかかるのか」について見積もっておいたほうがよいでしょう。

不良入居者

空室が発生しなくても不良入居者がいる場合は、以下のような問題が生じることがあります。

・家賃を滞納する
・隠れてペットを飼う
・タバコのニオイが内装にしみつく
・深夜の騒音で苦情が出る
・人の出入りが多く近所から問題視されるなど

不良入居者を放置したままでは不人気物件となりかねません。「気づいたときには入居者が激減していた」といったことを防ぐためには、オーナーが定期的に賃貸物件の状況確認に足を運ぶことなどが必要です。例えば近年では、賃貸契約書と別に「マナー同意書」にサインをもらい入居者同士の挨拶や生活ルールの厳守を意識してもらう事例もあります。

税金

不動産投資は「不労所得」といったイメージが浸透していますが、収入や資産があれば当然税金の支払いも必要です。不動産投資を始めると「所得税」「住民税」「固定資産税」「都市計画税」といった税金がかかります。他にも以下のような税金がかかるため、押さえておきましょう。

・購入時:不動産取得税や登録免許税、印紙税
・売却時:譲渡所得税や住民税、登録免許税(抵当権抹消時)
・相続時:相続税や登録免許税

どんな人がトラブルに巻き込まれやすいのか

不動産投資にトラブルはつきものです。しかしすべての不動産投資家が巻き込まれるわけではありません。トラブルで悩まされやすい人の特徴としては、以下のような点があります。

メリットしか見ていない

「不労所得が得られます」といった甘い言葉に弱いタイプは、注意が必要です。「とにかくお金がほしい」など目先の利益を中心に考えていると不動産投資のメリットしか目に入りづらくなります。例えば「不動産投資って本当に大丈夫なの?」と周囲から忠告があっても耳を傾けなられないタイプです。このようなタイプは、後で苦労する可能性があります。

自分の頭で考えようとしない

不動産は、普段の生活で聞き慣れないような難しい用語や書類を目にすることが少なくありません。すでに紹介した「サブリース契約」「税金」もその一つです。トラブルが生じやすいからこそ不動産関連の法律は、細かくなっています。しかし以下のような自分の頭で考えないようとしない姿勢では、思わぬトラブルに悩まされる恐れが高くなるでしょう。

・難しいから契約書に目を通さない
・自分で不動産の勉強をしない
・不動産仲介会社からの情報を鵜呑みにする

トラブルに巻き込まれないための3つのポイント

トラブルに巻き込まれないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。具体的には、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

不動産投資の知識を身につける

まず不動産仲介会社に任せっぱなしではなく自ら不動産投資の知識を学ぶことが必要です。先述したように不動産投資は、普段では聞き慣れないような言葉や法律が関係します。さらに事業として収益を確保していくためには「収支シミュレーション」「ローン返済計画」といった資金繰り対策も重要です。これらを自ら行うために不動産投資の知識は不可欠といえます。

デメリットを自分から調べる

不動産投資の失敗事例を参考に自分からデメリットを調べることも重要です。不動産投資は「何もせずに家賃収入が入り続ける」といったものではありません。当然メリットだけでなくデメリットもあります。不動産投資に着手する前に生じうるトラブルやリスクといったデメリットを調べておけば未然に防ぐことが期待できるでしょう。

長期的視点で考える

不動産投資を行う場合は、長期的視点にもとづいたさまざまなシミュレーションが必要です。不動産投資は、他の投資と違い流動性が低いため簡単に売却して終了させることができません。例えば物件の運用がうまくいかないからやめたい場合でも買い手がつかないことがあります。また安定的に収益が得られた場合でも将来的に訪れる相続について想定しておくことも大切です。

長期的視点で不動産投資が自分や家族のメリットにつながるのであればチャレンジする価値があるでしょう。

不測の事態も考えてから投資しよう

本稿で解説した内容以外にも不動産投資には、さまざまなリスクが潜んでいます。例えば近年頻発する地震や風水害といった自然災害で建物が毀損する可能性も少なくありません。思わぬ損失を被らないように不動産投資に関する事前の調査や勉強、シミュレーションを丁寧に行っておきましょう。

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