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2019.4.26

不動産投資の「2022年問題」とは?土地オーナーが知っておくべき知識

(写真=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
(写真=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
不動産業界では、「東京オリンピックが開催される2020年を境に市況が冷え込むのではないか」という懸念がささやかれており、「2020年問題」と呼ばれることがあります。2020年問題は、オリンピック開催を一つのピークと見る景況感によるものです。一方、不動産業界には法的な事情による「2022年問題」というものがあることをご存じでしょうか。

そこで、今回は2022年問題とはどういった問題で、懸念が現実となった場合には何が起きるのかなどについて概要と影響を解説します。

2022年問題とは?

2022年問題を理解するには、都市部にある生産緑地という制度について解説する必要があります。生産緑地とは、大都市圏の市街化区域にある農地のことです。すでに都市化が進んでいてビルやマンションが建ち並んでいる中に、農地があるような風景を目にしたことはないでしょうか。こうした農地が市街化区域の中にある場合は、生産緑地である可能性が高いでしょう。

元々は農地が多かった地域であっても都市化が進むと必然的に農地が減ることになります。しかし、それによって農地が激減すると食糧自給率の低下や緑地の減少といった問題につながりかねない懸念が生じて1991年に生産緑地法が改正されました。改正生産緑地法では、市街化地域の農地を生産緑地に指定しています。

そのうえで、30年間の営農をする代わりに市街化地域であっても固定資産税や相続税において農地並みの優遇を与えるという制度が生まれました。生産緑地の指定が始まった1992年から30年後が2022年です。2022年から順次、営農義務の「満期」を迎える都市部の農地が不動産市場へ大量に供給されるのではないかと懸念されているのが、2022年問題の概要です。

2022年問題が顕在化すると不動産市場に何が起きるか

30年間の営農義務を終えた生産緑地について、所有者がとりうる選択肢は3つあります。

①自治体に買い取りを請求する
②宅地などに転用する
③売却する

①の自治体による買い取りは制度面では謳われているものの、「実際には予算の都合で大半は買い取りができないのではないか」という指摘もあります。その場合は、宅地に転用して不動産市場に供給されることになります。日本全国では、空き家の急増が社会問題化しており、すでに2013年の時点で約820万戸に迫る勢いで増加し続けている事実があるため、程度の差はあるものの都市部でも例外ではありません。

空き家を含めて不動産がだぶついているところに、宅地転用による不動産の大量供給が起きたら、不動産市場に与える影響は決して小さくはないでしょう。

2022年以降の影響を考察

2022年問題には、「2022年」という年号が入っているため、2022年に大量の生産緑地が一斉に転用されるようなイメージを持ってしまいがちです。しかし、あくまでも30年間の営農義務が順次解除される始まりの年にすぎません。生産緑地に指定されている農地のすべてが一斉に転用されるわけではない点に注意してください。

もう1点、生産緑地の取り扱いについて注目しておくべき制度があります。それは、相続税の納税猶予です。30年間の営農義務期間が終了した後も終身にわたって営農を続けるのであれば、相続税の納税を一部猶予されるという優遇制度があります。生産緑地を相続した人がこの制度を利用している場合、営農をやめると納税猶予されていた相続税と利子税を納めることが必要です。

そのため、それを理由に引き続き宅地転用をしない人が相当数いるのではないかという見方もあります。こうした理由により、2022年問題の影響がいきなり大きく表れるということはないかもしれませんが、大都市圏に物件を所有する不動産投資家は押さえておくべき知識といえるでしょう。

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