賃貸物件には都市ガスとプロパンガスのどちらがいいのか?
(画像=100pk/Shutterstock.com)
平 行男
平 行男
フリーライター。企業広報の制作会社を経て2005年からフリーランスに。主にビジネス、マネー、ITの分野で、Web、書籍、広報・販促媒体などメディアを問わず執筆活動を展開している。ライティングのほか企画・編集・簡単な撮影も行う。

収益物件を選ぶ際の重要な検討要素といえるのが「都市ガスか」「プロパンガスか」といった点です。場合によっては物件購入後にガスの切り替えをすることで賃貸経営を有利に進めることができます。

都市ガスとプロパンガスではどう違うか

アパートなどの投資用物件を購入する際、建物そのもののスペックはもちろん、上下水道やガスなどのインフラ部分についてもよく確認することが必要です。特にガスは「都市ガスか」「プロパンガスか」で大きな違いが出てきます。都市ガスとは、道路の下にあるガス管を通じてガス会社から供給されるガスのことです。

一方でプロパンガス(LPガス)は、ガス事業者がガスボンベを各家庭に配送し供給されます。全国にある都市ガスの事業者が約200社なのに対してプロパンガス事業者は約2万社です。(2013年3月時点)一般に都市部では都市ガス、それ以外の地域ではプロパンガスが多く使われています。

プロパンガス業者ならサービス内容が充実

賃貸経営において支出を抑えるポイントとなり得るのがプロパンガスです。給湯器の無償提供や無償メンテナンスなどのサービスを受けられる可能性があります。前述の通りプロパンガス業界には多数の業者があり各地域で激しい競争を繰り広げているため、給湯器の無償提供などの特典をつけてでも新規顧客を獲得したいのが実情です。

給湯器は新規設置すれば20万円前後の費用がかかるものですが、ガス会社としては契約後のガス料金収入によって投資額を回収できると見込んでいます。場合によってはTVモニター付きインターフォンなど、さらにサービスを上乗せしてくれるケースもあり、無償提供の代わりに「〇年契約」などの長期契約になることが多いでしょう。

一方、都市ガスの場合、給湯器の無償提供などのサービスはありません。そのため賃貸物件のオーナーは、自分でお金を出して給湯器を設置したり修理・交換したりすることが必要です。物件購入後に給湯器の故障が続けば、それだけ収支が大きく圧迫されてしまいます。そこで賃貸物件のオーナーのなかには、都市ガスが供給されている物件を買った後、プロパンガスに切り替える人がいます。

また、もともとプロパンガスの物件でも別のプロパンガス会社に切り替えることで新たなサービスを引き出したりするケースもあります。

プロパンガスにはデメリットも

一見、有利に見える賃貸物件へのプロパンガス導入ですが、デメリットも伴うことを理解しておく必要があります。大きなデメリットは、入居者の支払うガス料金が高くなる可能性があること。プロパンガスは都市ガスよりも毎月のガス料金が高い傾向があります。他のガス会社からの切り替え時に給湯器の無償提供などを受けていると基本料金にさらに上乗せした高いガス料金を設定するケースがあります。

その割を食うのは入居者です。特に料理やお風呂でガスを多く使うファミリーなどにとっては、ガス料金の高さは切実な問題となるでしょう。なかには「ガス料金が高いので、そもそもプロパンガスの物件は避ける」という人もいます。プロパンガス物件であることが競争力の低下につながる可能性もあるということです。

特に都市ガスが敷かれている物件をプロパンガスに切り替える場合には注意しておきましょう。なぜなら「ガス料金がいきなり高くなった」とクレームが発生する可能性があるからです。

最終的には管理会社に相談しながら決める

以上のように賃貸経営におけるプロパンガスの利用にも一長一短があるということです。これから購入する物件、あるいはすでに持っている物件をプロパンガスに切り替えていいかどうか迷ったときは、管理会社に相談するとよいでしょう。「単身者向け物件でガスをあまり使わない人が多いので、プロパンガスでも問題ない」「このエリアはどこも都市ガス物件なので、プロパンガスにしたら入居者募集がしづらくなる」などと物件のニーズを踏まえつつアドバイスをしてくれるはずです。

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