マンション,組み換え
(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

投資用不動産は一度買ってしまえば「あとはなにもしないでOK」ということではありません。より豊かな生活を実現するためには、不動産の買い増しが必要です。また環境変化などに対応して資産の組み換えが必要になることもあります。そうした適切な管理を行ってこそ資産が拡大し安心の老後につながるでしょう。

中古マンションの価格は築21年以降急激にダウン

賃貸住宅として運用するマンションは、建築後の経過年数が長くなると資産価値が低下します。なかには、人気エリアの交通アクセスに恵まれた物件のように希少性の高さから値上がりするケースもあるかもしれません。しかしそれはかなりレアなケースであり一般的には値下がりしていくものと考えておくべきです。

例えば自動車の場合でも何年も乗っていれば価値が下がります。不動産は自動車ほど極端ではありませんが、やはり物件の経年劣化は避けられず、それに応じて価値は下がるものです。公益社団法人東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」によると2019年度の首都圏の中古マンション成約価格は、以下のようになっています。

築年数首都圏の中古マンション成約価格
(2019年)
築0~5年5,619万円
築6~10年4,885万円
築11~15年4,391万円
築16~20年3,941万円
築21~25年2,846万円
築26~30年1,787万円
築31年~1,835万円

特に変化が激しいのが築20年までとそれ以降です。築20年までは4,000万円前後の価格を維持していますが、21年が過ぎると3,000万円を切り築26年以降では1,000万円台まで下がります。マンションの資産価値を考えれば築20年まではそれなりの価格を維持できるものの、それを過ぎると価値が大幅に低下していくといえるでしょう。

同時に入居率や賃料も下がりますから可能であればこの段階で買い換えなどを検討します。新築マンションを入手したり資産価値を高めたりすると同時に入居率や賃料の安定を図っておきたいところです。

中古マンションは築21年以上になると売りにくくなる

売りやすさを考えても中古マンションは築20年までが一つの分岐点です。同調査の築年数帯別の対新規登録成約率、つまり「新規登録された物件のうち何%が売れたか」という数字をみると築6~10年が31.9%と最も高く次いで築11~15年の26.1%、築16~20年の25.8%となっています。しかし築21~25年になると18.6%と急激に低下し築26~30年では13.5%、築30年~では12.6%まで低下。

築30年を過ぎると新規登録時の価格で成約するのは10戸に1戸程度に留まりますが築20年以内であれば確実に4戸に1戸は契約が成立しているのです。築年数の浅い物件なら一度市場に出せば売却できる可能性が高く一度は売れ残っても多少の値下げによって次には売れる可能性が高いとみていいでしょう。つまり価格的にみても築20年以内に売却するのが有利といえます。

築20年以内であれば当初の見込み通りの価格で売却できる可能性が高いといえるでしょう。

資産価値の高まりそうなエリアに組み換えていく

投資用不動産を取得して一定の利回りを確保できていると安心してしまわないことも大切です。定期的に見直して「より利回りの高い物件」「より資産価値の高い物件」などへ組み換えながら効率的に資産価値の向上を図りましょう。特にマンションは立地先によって資産価値に大きな影響を受けます。もちろん都心の駅前立地という需要が高い物件を取得できれば安心です。

しかし需要が高い物件は価格が高くなりすぎていることも多く簡単には手を出せない可能性があります。現状注目されていなくても生活利便性や交通アクセスなどの良さに比べて価格や賃料相場が低い水準に留まっているエリアも少なくありません。そうしたエリアのなかには、5年先、10年先に人気が高まって価格や賃料相場が上がる可能性があります。

長い目で見ながらそうしたエリアに投資するのも不動産投資のもう一つの楽しみではないでしょうか。

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