区分所有と一棟所有ではどっちに投資する?
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家賃収入を目的とした収益物件を購入する場合、区分所有と一棟所有の2つの経営方法があります。本稿では、それぞれのメリット・デメリットを9つのポイントで比較し、合わせて経営を始める場合の注意点を解説します。

<目次>

1.区分所有と一棟所有の9番勝負
1-1.収益性が高いのはどっち!?
1-2.銀行から融資を受けやすいのはどっち!?
1-3.初期費用が安いのはどっち!?
1-4.資産価値が下落しやすいのはどっち!?
1-5.リスクを分散できるのはどっち!?
1-6.管理に手間がかかるのはどっち!?
1-7.自由度が高いのはどっち!?
1-8.節税効果が高いのはどっち!?
1-9.将来、売却しやすいのはどっち!?

2.新築ワンルームマンションは投資向きではない理由

3.区分所有、一棟所有、それぞれの始め方と注意点
3-1.区分所有から始める場合
3-2.一棟所有から始める場合

4. 自分の戦略に合わせて物件を選ぼう!

1.区分所有と一棟所有の9番勝負

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(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

区分所有と一棟所有どちらに投資したらいいのか、不動産投資をしようとする人が最初に悩むのがこの選択です。どちらにもメリット・デメリットがあるため、両者の特徴を9つのポイントで比較してみましょう。

1-1.収益性が高いのはどっち!?

収益性を重視するなら一棟所有が優れています。一棟物件は複数の部屋を運用できますので、軌道に乗れば収益性が高くなります。たとえば8,000万円のタワーマンションの一室を家賃25万円で賃貸する場合、年間家賃収入は300万円です。これに対し、同じ8,000万円で10室のマンションを一棟買いし、6万円の家賃で賃貸した場合の年間家賃収入は720万円になります。

25万円×1室×12ヵ月=300万円 < 6万円×10室×12ヵ月=720万円

家賃自体は区分所有のほうが高くとれるケースが多いですが、1室のみの運用ですので、表面利回りは5.0%程度です。これに対し、一棟マンションは1室単価800万円で72万円の年間家賃収入を得るため、表面利回りは9.0%にも達します。

300万円÷8,000万円×100=5% < 720万円÷8,000万円×100=9%

つまり、同じ投資金額で一棟所有の方が区分所有の1.8倍のパフォーマンスを得られることになるのです。仮に平均2室の空室があったとしても72万円×8室=576万円で表面利回り7.2%を確保できます。

不動産情報サイト「 nomu.com/pro 」の調査によれば、表面利回りから諸経費を引いた実質利回りは区分所有が5~6%に対し、一棟所有は6~8%と平均して1~2%高いことが立証されています。

1-2.銀行から融資を受けやすいのはどっち!?

一棟所有は価格が高いため融資審査は慎重に行われるでしょう。ただし、一棟所有の価格のなかでは「土地」が大きな割合を占めるため、強力な武器となります。

時間とともに価値が減ることのない土地を担保にできるという点で、個人の信用に依存した融資が行われる区分所有よりも、一棟所有のほうが融資を受けやすいと考えられます。

また建物の構造がRC(鉄筋コンクリート)造の場合には、木造と比べて耐用年数が長いという特徴があります。耐用年数が長い分だけ、金融機関から長期間の融資を受けやすくなります。

それに対し、区分所有物件は土地の持ち分が小さいため、金融機関が融資審査をする際の積算価値が低いとされています。そのため、個人の信用枠を使って融資を受けます。ただし個人の信用枠には限りがあるので、区分所有を買い進めて賃貸経営事業を拡大していくことは難易度が高いといえるでしょう。

1-3.初期費用が安いのはどっち!?

区分所有のメリットはなんと言っても手頃な価格です。物件にもよりますが、中古のワンルームマンションならば1,000万円を切るものもたくさんあります。人によっては現金一括で買える価格帯であり、不動産投資の初心者にも手を出しやすいといえます。単純に金額だけで比較すると、区分所有のほうが初期費用は安いといえます。

今度は少し見方を変えて、1室あたりの金額で比較してみましょう。一棟所有は部屋数が多く、1室あたりの金額は一棟所有のほうが割安になる場合もあります。たとえば、4,000万円の区分所有マンションと、10室2億円の一棟マンションであれば、1室あたり(2,000万円)では一棟所有のほうが半分の単価で購入できたことになるのです。

1-4.資産価値が下落しやすいのはどっち!?

土地以外の不動産は、経年の劣化により、資産価値が下落していきます。区分と一棟では、どちらが下落しやすいのでしょうか。こちらは比較的明快で、区分所有のほうが下落しやすくなります。

不動産の評価額には「積算評価」という評価基準があり、土地評価と建物評価を合算して算出します。区分所有の場合は、土地の評価はほとんどありません。劣化していく建物部分のみが評価されるため、資産価値が下落しやすいと判断されるのです。

一棟所有は、土地と建物を合わせて保有します。建物は劣化によって価値が下がったとしても、土地は価値が下がることはありません。好立地の一棟物件を手に入れれば、土地の価値が資産を下支えしてくれるのです。
ただし、上記はエリアにより傾向が大きく異なります。

1-5.リスクを分散できるのはどっち!?

区分所有のデメリットは空室リスクを分散できないことです。区分所有1室で、その1室で退去となったら入居率はゼロになり、家賃が入らなくなります。家賃収入がなければ、融資を受けて買っていた場合には赤字です。

一棟所有のメリットは区分所有の逆で、空室リスクを分散できることです。たとえば、10室のアパートを持っていて、1室に空室が発生したとしても、入居率は90%です。区分所有のように「0か100か」ではないので、多少の空室があったとしてもダメージは小さく、安定感があります。

1-6.管理に手間がかかるのはどっち!?

管理の手間は一棟所有のほうがかかります。区分所有マンションの場合は、建物の保守・管理は管理組合が行ない、日常的な清掃は管理組合が委嘱した管理会社がやってくれます。

ところが、ワンオーナーである一棟マンションの場合、管理組合は存在しません。清掃や日常業務は管理会社に委託できますが、重要事項に関しては自分で判断しなければいけない点で、一棟所有はオーナーの負担が大きいといえるでしょう。

1-7.自由度が高いのはどっち!?

自由度の高さでは一棟所有に軍配が上がります。区分所有は300室のマンションであれば自分の権利は300分の1に過ぎません。マンションの運営において改善したい点があったとしても、管理組合の承認を得なければできない点で、自由度はほぼゼロに近いといえるでしょう。自由に修繕などができるのは、あくまで自分が区分所有している部屋の中に限定されます。

その点、一棟所有では外壁も含めた維持管理、リフォーム、建て替えが自由にできます。実施時期も、管理会社の意見を参考にしながら自分で決断できるので、資金計画も立てやすいといえます。

1-8.節税効果が高いのはどっち!?

不動産投資が節税になるという話はよく聞きます。区分所有と一棟所有ではどちらの節税効果が高いでしょうか。

不動産投資で最も節税になるのは、物件購入費用を毎年必要経費にできる「減価償却費」です。減価償却費の計上期間は建物の構造による法定耐用年数によって決められています。RC(鉄筋コンクリート)造であれば47年です。例えば、新築で建物価格4,700万円のRC造マンションなら4,700万円÷47年で毎年100万円の減価償却費を計上できます。

この100万円は帳簿上の支出のみで実際に現金が出るわけではありません。一般的に価格が高い一棟所有のほうが節税効果は高いという考え方もできるかもしれません。

1-9.将来、売却しやすいのはどっち!?

不動産投資では、出口戦略を考えておくことも重要です。売却を考える場合は区分所有に分があります。売買されている物件数では一棟所有よりも区分所有のほうが多く、流動性が高いからです。特にファミリータイプのマンションに限っては、投資家だけでなく実需(実際に住む)層も購入するため売買しやすいと考えられます。

一棟物件は区分物件のように売買実績が多くないため、一棟物件の取り扱い実績が多い不動産会社を選ぶことが大事です。有利な査定をしてくれる会社を選ぶには、一括査定サイトを利用するのも一つの方法です。

2.新築ワンルームマンションは投資向きではない理由

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区分所有のなかでも、“新築”ワンルームマンションには注意が必要です。新築物件には「新築プレミアム」が上乗せされた価格が設定されているからです。

これはデベロッパーの利益や広告費などのことで、新築プレミアムが販売価格の2割ほどになることもあります。そのような新築物件は誰かが住んだ途端に価格が2割ほど下落するケースもあります。融資を受けて新築ワンルームマンションを買った場合には、一時的にバランスシート上の債務超過状態になってしまう人もいます。

また、新築は価格が高いために利回りが低く長期の融資を組んだとしても、毎月の収支は赤字になることが多いです。それがいくら節税につながるといっても、所有している間ずっと赤字では何のために投資しているのかわかりません。

3.区分所有、一棟所有、それぞれの始め方と注意点

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それでは、区分所有と一棟所有のそれぞれの始め方と注意点を確認しておきましょう。

3-1.区分所有から始める場合

区分所有マンションは、原則として1室のみの所有のため、空室が出るとすぐに収入が断たれます。したがって、立地の選定が極めて重要になります。3LDKなどファミリー向けの物件なら、公園や学校、スーパーが近いなどの立地条件で検討することもポイントです。

空室が出てもすぐに入居者を確保できるように、賃貸需要を事前にリサーチしておきましょう。また、借入を行なって購入する場合、家賃を返済に回すことになるため、手取り収入はそれほど多くを望めません。不動産投資が初めての方は、まず副業としてスタートするほうがよいのではないでしょうか。

3-2.一棟所有から始める場合

将来的に、ある程度の規模にまで不動産賃貸事業を拡大したいと考えているのならば、一棟所有からスタートしたほうがいいかもしれません。一棟所有であれば、個人の信用よりも物件そのものの資産価値や収益性を重視して融資審査が行われるからです。金融機関の評価が高い物件を選んで買い進めていけば、事業規模を徐々に拡大していくことも可能になります。

もう一点、税制面を考えると、一棟マンションの経営で所得が900万円以上になるようなら法人化したほうが節税になります。個人の所得税では「900万超え1,800万円以下」の税率は33%ですが、中小法人税の「800万円超の部分」の税率は23.2%(2018年4月1日以降に事業を開始した場合)です。長い目でみたらかなりの違いになりますので、不動産事業を専業でやっていくなら、法人化を検討する価値はあります。

4.自分の戦略に合わせて物件を選ぼう!

ここまで、さまざまな観点から区分所有と一棟所有を比較しました。それぞれにメリットとデメリットがあるので、一概にどちらがいいとは断定できません。単純にメリットだけを比べると一棟所有のほうが有利ですが、自己資金にもよりますので自分の戦略に合わせて選ぶのがベストといえるでしょう。

最後に、それぞれのメリット・デメリットを表にまとめておきます。

区分所有一棟所有
メリット・価格が安い
・自己資金のみでも始められやすい
・管理の手間が少ない
・流動性が高く、売却しやすい
・収益性が高い
・1室あたりの単価が安い
・土地の価値が高いため、融資の審査が通りやすい
・空室リスクを分散できる
・管理、運営の自由度が高い
・事業拡大がしやすい
・不動産価値が下落しにくい
・節税効果が高い
デメリット・空室リスクを分散しにくい
・自由に管理、運営できない
・事業拡大がしにくい
・土地の価値が低い
・建物の価値が下落しやすい
・価格が高い
・自己資金のみで始めにくい
・管理に手間がかかる
・売却しづらい

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